食後の急激な血糖値上昇「血糖値スパイク」を防ぐには運動がいいの?

2018/9/28

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

血糖値は食事を摂ることで上下し、生命を維持する上では切っても切れない関係です。血糖値は高すぎても低すぎても危険で、その値のふり幅も私たちの健康に大きく影響します。
こちらでは、急激な血糖値の上昇を指す、血糖値スパイクについて説明していきます。

食後、急激な血糖値の上昇を招く「血糖値スパイク」とは

通常、私たちの血糖値は早朝空腹時で70~110mg/dLを基準値とし、食後2時間後140 mg/dL未満としています。

血糖値は食事の影響を受けやすく、食後に高くなり、その後徐々にインスリンの働きによって低下するのが一般的ですが、血糖値スパイクは食事を摂った後の短時間に血糖値が140mg/dLを超え、その後すぐに正常値に戻る現象のことを指します。

本来、時間の経過とともに下がる血糖値が下がらず、高血糖のままの状態が続いていることを糖尿病と呼び、これはさまざまな病気の原因になります。一方、血糖値スパイクは短時間ですさまじい血糖値の上昇があるものの、元に戻るため問題ないと思われがちですが、血糖値スパイクは糖尿病の初期段階と考えられ、動脈硬化が発生しやすい状態になるなどの危険性があります。

また、血糖値スパイクは食後にしか症状があらわれないため、健康診断などで見つけにくく、とても厄介です。
血糖値が著しく上昇すると眠気や疲労感、視界がぼんやりと見えることがあるので、食後にこのような症状に心当たりのある人は、血糖値スパイクを疑った方がよいといえるでしょう。

食後の血糖値上昇を防ぐには「食後の運動」がいいって本当?

運動には、血糖値を下げる働きのあるインスリンと似たような作用があることがわかっています。これは運動によって、血糖が筋肉で使われるのを促す効果があるからです。

保健指導では、1日1万歩ウォーキングを行うのが理想とされています。
1万歩のウォーキングが難しい場合には、座ったままでいるような時間を減らし、ウォーキングの速度を上げて、ややきつめのウォーキングを1日に3000歩行うだけでも血圧値や血糖値を下げられます。

さらには、コレステロール値も低下し、肥満を解消できますので、血糖値スパイクの疑いがある人や、糖尿病と診断された人は生活に運動を取り入れて、血糖値を下げるように努めましょう。

また、食後に10分間のウォーキングをすると血糖値の上昇が抑えられたという研究結果や、1日の間に時間を決めずにウォーキングを行うよりも、食後にウォーキングをした方が血糖値が12%低下したという研究結果があります。
生活の中に運動を取り入れることが難しい場合には、まずは食後に10分のウォーキングをはじめてみましょう。

食生活も見直して、食後の血糖値上昇を防ごう

生活の中に運動を取り入れることはもちろん、食生活の見直しでも食後の血糖値の上昇を抑えることができます。

カーボカウント

炭水化物(カーボ)は消化や吸収が早く、他の栄養素と比べると食後にもっとも早く、大きく血糖値を上昇させます。
食後の血糖値の上昇の90%は炭水化物によるものとされているので、体に必要な量の炭水化物を計算し、上手に摂ることで血糖値の上昇をコントロールすることができます。

グリセミックインデックス(GI)

グリセミックインデックス(GI)とは、食品に含まれる糖質の吸収の度合いを示す指数のことです。食品によってこの指数は異なり、値が低いほど糖質の吸収がおだやかで、血糖値の上昇もゆるやかになります。反対に値の高いものを食べると血糖値の上昇も急激です。

しかしGIの低い食品を選んでも、食べ過ぎは良くありません。食べた分は吸収されるので注意が必要です。

ゆっくり食べる

食後の高血糖を防ぐため、特に注意したいのが食べる早さです。
早く食べるとインスリンの分泌が追いつかず、食後の血糖値が上昇しやすくなります。ゆっくり食べることを心がけましょう。

おわりに:見落としがちな血糖値スパイクは運動や食生活で改善を

健康診断などでは発見しづらい血糖値スパイクは、気づかないでいると糖尿病や動脈硬化の原因になります。
血糖値が著しく上昇したときにみられる症状に心当たりのある人は、まずは食後に血糖値を測る機会を作ってみましょう。

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