記事監修医師
工藤内科 副院長 工藤孝文先生のスマホ診療できるダイエット外来
工藤 孝文 先生
糖尿病治療では、「血糖コントロール」が重要になります。そこで、今回は上手に血糖値をコントロールするために、食べ方や食べ物などのポイントをご紹介します。この記事が、糖尿病を治療・予防するために役立てば幸いです。
まずは「食事によって血糖値がどのように変化するのか」というメカニズムの部分について説明します。大まかには以下のようにして、体内に糖分(ブドウ糖など)が取り込まれます。
そして、血糖値が上昇するのは2つ目の「糖分が血管内に取り込まれ、全身に運ばれる」タイミングで、血糖値が下降するのは4つ目の「インスリンによって、ブドウ糖が細胞内に取り込まれる」タイミングです。一般的に、食後45~90分程度で血糖値の上昇はピークを迎え、健康な人であれば、食後2時間程度で血糖値は元の数値に戻ります。
「一日3食の場合」と「一日2食の場合」を比べてみると、一日3食の場合の方が血糖値は安定しやすいです。この理由は朝食をしっかりと食べることで、インスリンが正しく機能するからです。もし朝食を抜いてしまうと、昼食後と夕食後の血糖値が急激に上がってしまいます。そのため、なるべく一日3食を規則正しく摂取することが大事です。
食後の血糖値をコントロールするためには、食べ方を工夫することも大切です。そこで、血糖値を上げない食べ方のポイントを3つご紹介します。
食間は、少なくとも2~3時間以上あけるようにしましょう。食間が狭いと、血糖値のピーク状態が長引いてしまいます。そのため、「朝食の時間が遅くなった場合は、お昼の時間も遅めにする」といった調整が必要です。
ただし、あまりにも間隔があきすぎると、次の食事量が多くなってしまいます。もし食事の間隔があいてしまう場合は、間食を入れたりして食事量を調整するといいでしょう。
1回の食事量が多くなれば、その分、血糖値も高くなってしまいます。そのため、3食のエネルギー量を同じくらいにして、規則正しく食べるようにしましょう。
なお、食事時間が長くなると、それに伴って食事量も増えやすいです。1回の食事時間は20分程度にして、ダラダラとご飯を食べないようにしましょう。
早食いをしてしまうと、急激に血糖値が上がってしまいます。そのため、よく噛んで、ゆっくりと食事を摂るようにしてください。特によく噛むことで、満腹感を覚えやすくなります。そのため、食事量を抑えるためにも、「よく噛むこと」は大切だといえます。
食べ物には「血糖値を上げにくいもの」と「血糖値を上がりやすいもの」があります。そのため、上手に食べ物を選んで、しっかりと血糖値をコントロールしていきましょう。
血糖値を上げにくい食品には、主に「インスリンの働きをよくするもの」と「糖質の吸収を緩やかにするもの」があります。具体的には、以下のような食品が当てはまります。
こういった食品は血糖値を上げにくいとされているので、必要に応じて食事に取り入れるといいでしょう。とくに「糖質の吸収を緩やかにする食品」には食物繊維の多い食品がたくさんあり、これは「低GI食品」とも呼ばれています。そのため、血糖値をコントロールする際には、食品ごとの「GI値(グリセミック指数)」も意識するといいでしょう。
一方、GIが高い食品は、血糖値が上がりやすいので注意が必要です。具体的には「炭水化物の多い食品(米パン、砂糖、果物など)」や「たんぱく質の多い食品(肉類、魚介類、乳製品、卵など)」があります。ただし、これらの食品を避けると栄養バランスが悪くなってしまう場合もあるので、バランスのよい食事を意識することも大切です。
血糖値を上手にコントロールするためには、食べ方や食べ物といった食事面の工夫が大切です。糖尿病を治療・予防するためにも、日ごろからここで紹介した内容を意識していただければと思います。なお、個別の食事メニューなどについては、医師や管理栄養士などに相談して、自分に合ったものにするといいでしょう。
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