記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/9/29
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
中高年以降になると耳にする機会の多くなる血糖値ですが、この数値は高いと体に良くありません。
高血糖とはどのような状態なのか、高血糖になると体にどのような影響を与えるのか、高血糖がもたらす怖い病気について説明していきます。
私たちの体はブドウ糖と呼ばれるエネルギー代謝のもとを消費して活動しており、血液中のブドウ糖の濃度のことを血糖値といいます。
健康な人の場合、空腹時の血糖値はおおよそ80~100mg/dL程度、食後は若干高い値を示します。
食後の血糖値が上がった状態になると、膵臓からインスリンが分泌されます。また、血糖値をあげるグルカゴン、アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンなどのホルモンにより、狭い範囲の正常値が常に保たれていることが一般的ですが、インスリンが十分に分泌されなかったり、インスリンの働きが悪かったりすると慢性的な高血糖状態が続き、この状態を糖尿病と呼びます。
反対に、血糖値が必要量以下の値になっている状態を、低血糖と呼びます。
低血糖になると大きく影響を受けるのが脳で、血糖値が50 mg/dl未満になると脳がエネルギー不足になり、強い空腹感や冷や汗、ふるえ、動悸などが起こり、重症になると意識がなくなります。
このように、血糖値は高すぎる場合も低すぎる場合も大変危険な状態なのです。
慢性的に血糖値の高い糖尿病を放置しておくと、血管が脆くなりさまざまな合併症を引き起こします。
これは血管が脆くなり損傷することで、酸素や栄養がうまく行き渡らなくなることが原因であり、全身のあらゆる臓器・器官に影響を与えます。
糖尿病の合併症は、細い血管に起こる細小血管障害と太い血管に起こる大血管障害に大きく分けられます。
最小血管障害には糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害があり、これらは糖尿病の罹患期間が長くなるにつれて発症率が高くなっていきます。
これら3つの合併症の特徴は以下の通りです。
一方、太い血管で起こる大血管障害では、動脈硬化が引き起こされます。
動脈硬化が脳の血管で進行すると脳梗塞、心臓で進行すると狭心症や心筋梗塞、足の血管で進行すると閉塞性動脈硬化症になります。それぞれの部位での特徴は以下の通りです。
血糖値の正常値は、空腹時で110mg/dl以下です。
健康な人であれば食後に血糖値が上がっても、インスリンの分泌で再び正常値に戻りますが、糖尿病の疑いのある高血糖の人はこの働きがうまく作用せず、高い数値を示し続けます。
血糖値の数値を知るための検査は、食事の影響によって変動する血糖値を3つのタイミングで測定したものです。
血糖値を下げる方法に薬物治療は大変効果的ですが、合わせて有酸素運動や筋力トレーニングなどを行うのも大変良いとされています。
酸素運動や筋力トレーニングによって筋肉への血流が増えると、ブドウ糖がどんどん細胞の中に取り込まれ、インスリンの効果が高まり、血糖値が低下するのです。
ややきついと感じるくらいのウォーキング、ジョギング、スイミング、サイクリングなど、ゆっくり長時間行える運動がおすすめです。
しかし今まで運動の習慣がなかったのに急激に始めると、思わぬケガや事故につながる可能性があるので、まずはストレッチや準備体操を十分に行ない、最初は軽い運動から少しずつ慣らしていきましょう。
最低でも週に3回、1回につき20から60分、1週間に150分以上行いましょう。
血糖値は高すぎても低すぎても、体に危険な影響を与えます。高血糖に気づかず、いつの間にか重篤な状況になってしまうことも珍しくありません。
生活の質を落とすような怖い病気にならないために、ぜひ自分の血糖値を知る機会を作りましょう。
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