糖尿病になると手足のしびれが出る原因、「糖尿病神経障害」とは?

2017/12/14 記事改定日: 2018/4/6
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

糖尿病は進行すると手足のしびれがあらわれることがあり、それは「糖尿病神経障害」という代表的な糖尿病の合併症によって引き起こされます。
この記事では、糖尿病神経障害によって手足のしびれが起こるメカニズムと、糖尿病神経障害の治療法についての情報をお伝えします。

糖尿病神経障害による手足のしびれはなぜ起こる?

糖尿病神経障害は糖尿病の合併症のひとつで、高血糖が持続することによって起こる障害です。
高血糖状態が続くと血流が悪くなり、神経細胞に栄養が十分に行き渡らなくなるために、身体の先端に存在している末梢神経の伝達機能に異常がみられるようになります。

末梢神経にはホルモンの分泌や内臓のはたらきを調整する自律神経、痛みや温度などを感じる知覚神経、身体の動きを指令する運動神経があるため、糖尿病神経障害を発症すると、それぞれの神経に関連するさまざまな症状があらわれるのです。

糖尿病神経障害の症状

糖尿病神経障害の症状は、足先から膝、手先から肘と、体の中心に向かって広がっていきます。痛みやしびれを引き起こすことが特徴的で、基本的には左右対称に症状が出ることが多いです。

神経障害が進行する、知覚神経のはたらきが弱くなり、感覚が鈍くなってくる場合もあります。傷を負っても気づきにくく、細菌に感染して細胞が壊死する可能性もあります。最悪の場合には、切断をしなくてはいけなくなる可能性があります。

また、不整脈汗をかきやすいなどの症状が起こる可能性もあります。
汗をかく場合には、体の一部分のみに異常にかくことがあります。さらに、尿意を感じずに排尿ができない無緊張膀胱も糖尿病神経障害の代表的な症状のひとつです。

〈痛み・しびれ以外の症状〉

糖尿病神経障害が進行していくと、神経そのものが麻痺してしまいます。そのため、熱いという感覚や痛いという感覚が失われてしまい、やけどなどをしても気づかないまま悪化してしまう可能性が高まります。その結果、潰瘍(かいよう)や壊疽(えそ)へ進行します。特に足は壊疽になりやすいのが特徴です。

低血糖に対する体の反応が薄れるのも、糖尿病神経障害が進行した場合に起こる症状です。具体的には、血糖値を上げるホルモンが分泌されなくなった結果、手足の震えや動悸といった低血糖の警告症状がなくなり、すぐに意識を失う可能性があります。
また、消化管運動のリズムが乱れる場合もあります。その場合には低血糖と高血糖を繰り返し、食欲がなくなり、血糖のコントロールが困難になります。

手足のしびれや痛みは治る? ~治療法について~

糖尿病神経障害による手足のしびれや痛みは、基本的に薬物療法で治療していきます。
薬物治療では神経の過敏性や筋肉の緊張を抑える「抗不整薬」や「抗けいれん薬」の他、「消炎鎮痛薬」なども処方されます。
また、つらい症状のために気分が落ち込んでいて、そのことが症状に拍車をかけている場合もあるという考えから、「抗うつ薬」が処方されることもあります。

薬物治療の他には、足や手をもんだり温めたりすることで症状が緩和することもあります。
ただし、神経障害で感覚が鈍くなっていると温度を感じにくいため、温めるときにはやけどをしないよう注意して行いましょう。

〈糖尿病治療の基本:血糖コントロールと並行して行おう〉

糖尿病を発症すると慢性的な高血糖の状態が続きますが、高血糖状態を放っておくと合併症を発生する可能性が極めて高くなります。
糖尿病の合併症を発症・進行させないためには、血糖値コントロールを行うことがとても大切なのです。
血糖値コントロールは主に、食事・運動・薬物療法によって行われます。

おわりに:糖尿病神経障害の改善のカギは早期発見・治療!

糖尿病神経障害は発症初期に発見して適切な治療を行えば、神経機能を回復できる可能性もあります。適切な治療を早く開始した場合には、個人差はあるものの、一般的には半年から一年ほどで症状の改善がみられます。
糖尿病神経障害の症状を感じた場合はすぐに医師に診てもらうようにしましょう

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