妊娠初期に胃の圧迫感に悩まされる原因は?薬のほかに解消法はある?

2018/10/12 記事改定日: 2019/8/2
記事改定回数:1回

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

妊娠したかも?と思うのは、どんなときでしょうか。体の変化として最も感じるのは、つわりの時期ではないでしょうか。実は、つわりと同じくらいの時期に、つわりではないものの、胃の圧迫感も現れることがあります。
しかし、妊娠初期に薬を飲んでも良いのでしょうか?また、薬を飲まない場合の対処はどうしたら良いのでしょうか?

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妊娠初期に胃の圧迫感が出るのはどうして?

妊娠初期は、それまで体の中にいなかった赤ちゃんを育てるために、体内の器官だけでなく、ホルモンの分泌も大きく変化します。このため、どうしても消化器系のトラブルが多くなります。その代表的なものがつわりです。

そのほか、胃もたれや胸焼けを始めとして、胃が重く感じる、食べたものが喉に詰まるような感覚がする、食物が消化されずに胃に残っているような違和感がある、などの症状が現れることがあります。

妊娠初期の胃もたれや胸焼けのはっきりとした原因は、まだわかっていません。ただ、以下のようなことが原因ではないかと考えられています。

  • プロゲステロンの分泌が増える
  • 大きくなってくる子宮が周囲の臓器を圧迫している
  • つわりの一種

受精卵が子宮の壁に着床し、妊娠が始まるとプロゲステロンというホルモンが分泌されます。プロゲステロンは子宮内膜を分厚い状態で維持することで妊娠の継続を助けるとともに、子宮の収縮を防ぐために平滑筋(筋肉の一種)の収縮を抑える作用があります。このため、子宮だけでなく周辺の臓器の筋肉の活動も抑えると同時に、胃腸の働きが弱くなることがあります。こうなると、食べたものを消化しきれずに胃もたれや消化不良を起こしたり、胃の不調から吐き気や胸のむかつきを招いたりしてしまいます。

これはつわりのピークの時期とも一致するため、つわりの一種と考えられることもあるのですが、吐き気や嘔吐がおさまった後でも胃もたれだけが続く場合があるため、全てがつわりであるとも言い切れません。

また、妊娠初期は子宮がそれほど外部に対して目立つほどには下腹部が出てきませんが、体内では少しずつ大きくなっているため、徐々に周辺臓器を圧迫し始めます。特に、胃もたれを感じる場合は胃が圧迫されていることが多く、胃酸が逆流して食道に入り、炎症を引き起こすと「逆流性食道炎」となる場合があります。

逆流性食道炎は、胸焼けや胸部の不快感だけでなく、嘔吐にもつながることがあります。食後や横になったときに不快感が何日も続く場合は、医師に相談しましょう。

妊娠初期の胃の不快感を解消するには?

妊娠初期に現れる胃もたれや胸焼けなどの不快感を解消するために、主に以下のようなことに気をつけると良いでしょう。

食事の摂り方
  • 1回の食事量は減らし、少しずつ食べる
  • お腹がすくと不快感のある「食べづわり」の人は、すぐにつまめるクラッカーなどのお菓子を常に用意しておく
  • 就寝2時間前を過ぎたら飲食は控える
食事内容
  • 脂っこい食事やスパイスの効いた刺激的なメニューは避ける
  • 高カロリーのお菓子はできるだけ避ける
起こってしまったときの対処法
  • 胃を反時計回りにさする
  • 体を右下にして横になる
  • 腹式呼吸をする
  • 体を温める

つわりのときは、1日3回の食事が難しくなります。特に、極端に食べられないときやお腹がすくと吐き気や不快感になってしまう食べづわりのときは、一気に食べようとせず、1回の食事では少しずつ、回数を増やして食べるようにしましょう。

食事内容としては、脂っぽいものやスパイスの多いものはできるだけ控えた方がよいでしょう。つわりのときは食べられるものを食べるというのが鉄則ですが、あまりにも胃の不快感が続くようであれば、あっさりしたものやさっぱりしたもので食べられるものを探しましょう。

食事の摂り方や食事内容を工夫しても、不快感が起こることはあります。そのようなときは、胃を反時計回りにさすったり、体を右下にして横になったりすると胃腸の動きを助けることができます。また、腹式呼吸で体をリラックスさせたり、半身浴や温かい飲み物を飲んで体を温めたりすることも、胃の不快感を和らげるのでおすすめです。

つらいときは薬を飲んでも大丈夫?

妊娠初期は、赤ちゃんの神経系を始めとする非常に重要な器官が作られている時期です。この時期は、市販薬などを服用すると赤ちゃんの器官形成に悪影響を及ぼす恐れがありますので、自己判断で薬を飲むのは絶対にやめましょう。

あまりに胃もたれや胸焼けがひどく辛い場合は、主治医に相談してください。この時期は薬を処方してもらえることは少ないのですが、対処法を教えてもらうなど、精神的な安心感を得ることで症状が少し落ち着くこともあります。

妊娠中期になったら、もう胃の圧迫感・不快感はない?

妊娠中期~後期はほとんどの人でつわりの症状はおさまってきますが、子宮がますます大きくなってくるため、胃の圧迫感や不快感は続く場合があります。しかし、子宮に圧迫されることによる胃の圧迫感や不快感はつわりとは違うため、きちんと対処をすれば症状を抑えたり、改善したりすることができます。

  • 1回に食べる食事の量を少なくする
  • 油を使う調理は避け、蒸したり茹でたりといった調理法にする
  • 生で食べず、温野菜を摂る。スープなどにするのも良い
  • 食事中の過剰な水分摂取をしないようにする
  • 食後はすぐに寝転がらない

1回に食べる食事の量を少なくするのは、つわりと同じです。1日3回の食事を2回ずつに分け、約2時間おきに食事をするような感覚で食べると良いでしょう。また、脂っぽい食事を避け、調理は蒸したり茹でたりするなど、できるだけあっさりさっぱりとした調理法にすると胃に負担がかかりづらいです。

また、食後すぐに横になるのも胃に負担をかけることがあります。お皿を洗ったり、ゆっくり散歩をしたりするなど、30分程度は横にならずに体を起こしておくと消化に良いとされています。疲れているときは、姿勢よく座っているだけでも大丈夫です。

食事中の過剰な水分摂取は、胃液を薄めてしまいます。胃酸が薄まると消化しづらくなるため、それだけ胃もたれを長く感じることになってしまいます。食事中の水分はコップ1杯程度にとどめ、食事と食事の間に水分をたっぷり摂るようにしましょう。

おわりに:妊娠初期の不快感は薬を飲んではダメ!

  • 妊娠初期は赤ちゃんの体の大切な器官ができている最中なので、不快感を和らげるために薬は服用してはいけない
  • 食事の摂り方や内容に気をつけたり、リラックスできるような環境を作ったりして、不快感を軽減することが大切

上記をためしても不快感が解消されないときは、主治医に相談しましょう。

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