記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/10/20
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
吐き気をもよおしたときにまず疑うのは、お腹の不調や食中毒かもしれません。ところが血糖値が低くなりすぎる「低血糖症」でも吐き気が起こる場合があるのです。この記事では低血糖症であらわれる症状や改善方法を紹介します。
血糖値が正常値より低くなりすぎると、「自律神経症状」と「中枢神経症状」という不調が心身にあらわれます。これは血糖値の低下という異常事態が起きているというサインを、自律神経と中枢神経を介して体が知らせようとするために起こります。
自律神経症状が発生してから血糖値がさらに低下すると、中枢神経症状があらわれる場合が多いです。症状が発生しているとき脳の細胞はエネルギー不足の状態にあります。血糖値を速やかに正常値まで上昇させましょう。対処が遅れると意識障害や昏睡に陥る危険性があります。
低血糖でみられる症状はさまざまで、ほかの病気であらわれる症状ともよく似ています。正しい対処をとるためには、その原因が低血糖症によるものか判断する必要があります。
低血糖症は症状の個人差が大きいことも特徴で、低血糖の状態のときにご自身の体にどんな不調があらわれたかを把握しておくと、より正確に原因と対処法を特定することが可能となります。
低血糖の症状は時間の経過とともに悪化する傾向が強いので、速やかに対応しましょう。ブドウ糖10gまたはブドウ糖を含む飲料水150~200mLを補給します。特に「αグルコシダーゼ阻害薬」を服薬している人はブドウ糖を必ず補給してください。
ブドウ糖は吸収が早く、比較的短時間に血糖値上昇の効果が期待できます。薬局やオンラインショップで購入でき、固形やゼリー状など摂取しやすいタイプを選ぶことも可能です。
砂糖(ショ糖)または砂糖を含むジュースやお菓子でも代用できますが、砂糖の補給量はブドウ糖の二倍必要です。代替品の成分はきちんと確認し、補給に必要な分量を確保してください。なお、人工甘味料では効果を期待できません。
重度の低血糖症状を起こしている人に、無理にブドウ糖を飲ませると誤飲や窒息のおそれがあります。周囲の方はブドウ糖や砂糖を水で溶かした液体を唇と歯肉の間に塗り、無理のない範囲で糖分を与えるようにしましょう。
低血糖の症状を予防するには、ご自身の血糖値変動のパターンを知ることが基本です。どんな食事や運動が血糖値に影響を及ぼすかは、「血糖自己測定器」を使って確認することができます。
血糖自己測定器を使うと、指先などから少量の採血をしてから数秒で血糖値が分かります。持ち運び可能のため、外食や旅行先でもこまめに血糖値管理をすることができます。
血糖値の変動パターンがわかってきたら、血糖値の低下を予想してあらかじめブドウ糖を準備しておくなどの予防がスムーズに行えます。
低血糖は体への症状だけでなく、集中力など意識にも影響を与えます。そのため自動車などの運転中に低血糖症状があらわれると、交通事故を引き起こす可能性があります。実際に低血糖症状が原因とみられる交通事故は発生していますので、乗り物の運転をする人は低血糖症の予防を心がけましょう。
ただの吐き気かと思いきや、その症状は実は低血糖のサインかもしれません。放っておくと意識障害がみられたり交通事故を招いてしまう可能性があります。低血糖症状らしきものがあらわれたら症状を把握し、病院に相談しましょう。治療開始後は血糖自己測定を習慣化し、ブドウ糖を活用しながら症状の改善を目指してください。
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