胃潰瘍になると、どんなところに痛みが出てくるの?

2018/10/24 記事改定日: 2019/5/22
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

胃の中が胃酸によって傷ついた状態を「胃潰瘍」といいます。お腹に痛みを感じることで発症に気づくことがありますが、背中の痛みも胃潰瘍によるものかもしれません。
この記事では、胃潰瘍が原因で起こる痛みについて解説していきます。

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胃潰瘍になると、どのあたりに強い痛みが出てくる?

胃潰瘍はさまざまな症状を引き起こします。なかでもみぞおち周辺の痛みや背中に走る痛みを自覚症状として訴える人は多いです。しかし痛みを感じない人もおり、症状の種類や程度は人によって異なります。

胃潰瘍は慢性化することが少なくありません。重症化すると吐血やコールタールのような排便がみられることもあります。以下で、比較的多くの人にあらわれる胃潰瘍の症状を紹介します。

胃潰瘍で多くみられる自覚症状

  • みぞおちから左にかけて出る鈍い痛み
  • 背中の痛み
  • 膨満感
  • 吐き気、嘔吐
  • 胸やけ
  • 胃もたれ
  • げっぷ
  • 食欲不振

胃潰瘍と似たような痛みが出る病気は?

胃潰瘍と似たような痛みや上のような症状が現れる病気もあり、症状だけでどの病気か特定するのは困難なケースがほとんどです。
具体的には、次のような病気が挙げられます。

  • 逆流性食道炎
  • 膵炎
  • 胆嚢炎
  • 胆石
  • 胃がん

これらの病気は早めに治療を行わないと重症化して非常に危険な状態に陥ることもありますので、気になる症状があるときは病院を受診して、検査・治療を受けるようにしましょう。

胃潰瘍の痛みはどうすれば治る?

胃潰瘍と診断されたら薬物療法を始めます。薬で胃酸の分泌を抑え、胃の粘膜を守ります。薬物療法で大体の胃潰瘍に改善がみられますが、服薬を継続しなければ再発する可能性が高いのが特徴です。

近年、胃潰瘍の主な原因として考えられているのが「ヘリコバクターピロリ菌の感染」です。ピロリ菌により胃潰瘍を発症しているケースでは除菌療法がとられることがあります。

出血や胃壁に穴が開くほど重症化した場合、手術や入院が必要となります。胃潰瘍らしき症状があらわれたら、重症化する前に内科や消化器科を受診しましょう。

胃潰瘍の原因として考えられることは?

胃酸が胃の粘膜を傷つけて炎症を起こしていると、胃潰瘍を引き起こしやすいといえます。暴飲暴食や刺激の強いものを口にすると、胃酸が過剰分泌され胃潰瘍を発症することがあります。

胃粘膜を守る働きを持つのが胃粘液です。自律神経が乱れると胃粘液と胃酸のバランスが崩れ、胃粘膜が傷つきやすい状態になります。ストレス、喫煙、飲酒などがバランスを崩すきっかけになると考えられています。
また最近の研究では、ヘリコバクターピロリ菌と薬剤による影響が大きいのではないかとみられています。

ヘリコバクターピロリ菌
ピロリ菌に感染していると、胃潰瘍の発症率が感染していない人と比べて高くなることがわかりました。感染しているかどうかは、内視鏡検査や血液検査、造影検査(バリウム検査)などで調べることができます。
特定の薬剤
日常的に服薬している人も多い関節痛や風邪、アレルギーに対する薬のなかには、胃の粘膜を弱らせる副作用を持つものがあり、生活習慣やストレスなどの影響で胃潰瘍を発症させる場合があります。服薬中に胃潰瘍と思われる症状があらわれたら、内科や消化器科の医師に相談してください。おくすり手帳で服薬している薬の種類を管理し、どの薬剤が原因か判断しやすいようにしておきましょう。

胃潰瘍の痛みを緩和するには?

薬物療法や手術はたしかに効果的ですが、ご自身でも胃に負担をかけないように注意しましょう。日常生活におけるポイントは食生活の改善とストレス解消です。

食生活の改善
胃酸の分泌を促す食品は、胃潰瘍のリスクを上げてしまいます。脂肪分や香辛料が多い食事、アルコール、カフェインを含む飲食物はなるべく避けましょう。
胃にやさしい食習慣として「腹八分目を心がける、よく噛んでゆっくり食べる、熱すぎる・冷たすぎる飲食物は避ける」ことを意識してください。
ストレス解消
ストレスは自律神経を乱したり血行不良を引き起こすなど、胃潰瘍が発症しやすい環境をもたらします。そのためストレス解消は胃潰瘍の予防と改善に必要不可欠ともいえますが、ドカ食いや過度の飲酒に走ってはいけません。胃潰瘍のリスクを上げるだけでなく、すでに胃潰瘍を発症していた場合に一気に症状が悪化するおそれがあります。
軽めの運動やリラックスできる時間を確保するなど、体に負担をかけないストレス解消法を見つけましょう。
そのほか
睡眠不足はストレスや疲労の蓄積、自律神経の乱れにつながります。十分な睡眠時間の確保、仕事や家事の合間に休息をとるなどしてください。

おわりに:不調を感じたらまずは病院へ。繰り返す症状には要注意!

胃潰瘍は症状が幅広く、ほかの疾患との区別がつきにくい病気です。自己判断せずに「おかしいな」と思ったら内科や消化器科を受診してください。治療が始まって改善がみられても再発には要注意。食生活やストレスに気をつけながら胃を労わりましょう。

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