胃潰瘍には初期症状があるの?病院へ行くべきサインは?

2018/10/15

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

胃壁がただれてしまう「胃潰瘍」。過度なストレスで発症することのある病気として知られていますが、胃潰瘍になる前、どんな初期症状が現れるのでしょうか?治療法と併せてお伝えしていきます。

胃潰瘍ってどんな病気?

「胃潰瘍」は、胃酸がなんらかの原因によって胃粘膜を消化してしまい、胃の壁がただれて傷ついた状態です。浅い傷つきであれば「びらん」といい、深く傷つきえぐり取られた状態を「潰瘍」といいます。

胃酸はもともと食物を消化し栄養を吸収しやすい状態にするために分泌されるもので、食物と一緒に入ってきた細菌や微生物などを死滅させる働きも持つ強い酸です。胃壁からは胃酸と同時に胃粘液も分泌され、胃酸が直接胃粘膜に損傷を与えないようになっており、健康な胃であれば胃粘膜の少しくらいの損傷はたちどころに修復されます。

しかし、何らかの原因でそれができないと胃酸による消化が進み胃壁の組織まで失われてしまいます。その原因としては、アンモニア毒素を作りだすピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)や、胃粘膜の血流を阻害する解熱鎮痛剤の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、ストレスなどが知られています。

胃潰瘍にはどんな初期症状があるの?

胃潰瘍の初期の段階で多くみられる自覚症状は、みぞおちあたりの「痛みや不快感」です。典型的なのが空腹時や食事中などに生じる鈍い痛みですが、痛みの程度は人によってさまざまで、全く痛みを感じない人もいます。特に薬剤を原因とする潰瘍の場合は、かなり進行するまで症状が出ないこともあります。

潰瘍によって胃の動きが悪くなると、胸やけ、すっぱいげっぷ、吐き気、胃のもたれ感、腹部膨満感のほか、背中に痛みが出る場合もあります。潰瘍が進行して胃壁の血管に影響を与えると、出血が起きて黒褐色の血を吐いたり、コールタールのような黒い便が出ることがあり、出血量によっては貧血を引き起こします。さらにひどくなると胃に穴が開いて腹膜炎に至る場合があり、そこまで症状が進むと外科的な緊急処置が必要となります。

病院に行った方がいいのはどんなとき?

胃潰瘍をはじめとする胃の病気は発症したばかりの頃には目立った症状が見られないこともあります。また、単なる胃炎と自己判断して市販の胃薬の服用を続け、病気が悪化してしまうケースも少なくありません。
以下のような症状が見られる場合には胃の病気を発症している可能性がありますので、早めに病院に行くようにしましょう。

  • 空腹時に胃がしみるような痛みがある
  • 食欲がなく、体重が短期間で減少した
  • 動悸やめまいなどの貧血症状がある
  • 便に粘り気があり、黒くなった
  • 慢性的な胸焼けがあり、嘔吐することがある

また、これらの症状がない場合でも40歳を過ぎたら病気の早期発見のためにも、定期的に胃がん検診などを受けるようにしましょう。

おわりに:胃潰瘍の初期症状はみぞおちあたりの鈍い痛み。ただし自覚症状がない場合も

胃潰瘍の初期症状としてよくみられるのは、みぞおちあたりの鈍い痛みと不快感ですが、全く痛みがない人もいます。ひどくなると吐血や下血など出血を起こし、胃に穴が開いてしまう場合もあります。治療は医師の処方に従った薬物療法と生活指導が中心ですが、ピロリ菌が原因の場合には除菌療法、穴が開いてしまったら手術が必要となります。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

ストレス(364) 吐き気(122) 胃もたれ(23) 胸やけ(9) げっぷ(18) 背中の痛み(19) 胃潰瘍(53) 解熱鎮痛剤(6) ピロリ菌(43) みぞおちの痛み(13) 胃潰瘍の初期症状(1) みぞおちの不快感(1)