胃潰瘍で下痢になることはあるの?下痢が続く胃腸の病気って?

2018/10/17

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

お腹の不調を起こす病気は様々ありますが、胃潰瘍は胃粘膜が深く傷ついている状態です。
胃粘膜が深く傷つき、みぞおちあたりに痛みを感じます。
こちらでは、胃潰瘍で下痢になることはあるのか、下痢が続く胃腸の病気について説明していきます。

胃潰瘍で下痢になることはある?

一般的に、胃潰瘍の症状はみぞおちあたりの痛みや胸やけ、胃もたれ、吐き気などです。
胃潰瘍によって下痢を発症するのは比較的稀であり、原因には、以下のようなことがあげられます。

治療による薬剤が原因

胃潰瘍の治療としては通常胃酸の分泌を抑える薬剤などによる治療が選択されます。
胃潰瘍は胃粘膜の保護機能が低下や胃酸分泌の過剰などが主な原因となり、胃の壁が深くえぐれた状態を指します。
胃は、食べたものを吸収しやすくするために胃酸や消化酵素によって殺菌・加水分解してどろどろの状態にしているのですが、胃潰瘍の治療では胃酸の分泌を抑える薬物を使用することが多いです。
治療薬の影響で胃酸の分泌量が少なくなると、食べたものがうまく分解されず、食物の不消化が起こって下痢になってしまうことがあります。

胃のバリア機能の低下が原因

薬が原因だけでなく、胃潰瘍になると、胃酸や消化酵素が正常に分泌されなくなります。
すると胃の消化能力が低下し、下痢になることがあります。また、胃のバリア機能が弱くなってしまうことで、細菌が増殖して下痢を引き起こしてまうこともあります。

検査の結果、胃潰瘍ではなかったけど腹痛と下痢が続く…なぜ?

胃潰瘍ではなかったけれど、腹痛と下痢が続く場合には、以下の病気の可能性が考えられます。

機能性ディスペプシア

胃潰瘍の主な症状と同じ、みぞおちの痛みや胃もたれなどを引き起こし、胃の不調が続いているにもかかわらず、内視鏡で見ても明らかな異常が認められないという特徴があります。
機能性ディスペプシアは胃の働きに問題があると考えられ、症状によって2つの種類に分類されます。

1つ目は、食後の胃もたれや早くに満腹感を得る、食後愁訴症候群(しょくごしゅうそしょうこうぐん)です。
お腹が張った感じ、食後のむかつき、げっぷを伴うこともあります。
2つ目は、みぞおちの痛みやみぞおちが焼けるような感じの症状がある、心窩部痛症候群(しんかぶつうしょうこうぐん)です。

機能性ディスペプシアは、胃の運動不全と知覚過敏により発症すると考えられています。
胃の運動不全により胃が小さくなってしまい食べ物が食べられなかったり、十二指腸へうまく食べ物が運ばれなかったりすることで、すぐにお腹いっぱいになってしまい胃もたれを起こします。
知覚過敏では胃が様々な刺激に対して過敏になり、少しでも食べものが胃に入っただけで満腹感を得て、胃酸や食べ物の刺激によって痛みを感じます。
心窩部痛症候群は食後愁訴症候群と異なり、食後だけでなく空腹時に起こることもあります。

これらの原因の根本はストレスによる自律神経の乱れと考えらえていますので、ストレスをためすぎないような生活を心がけると良いでしょう。

過敏性腸症候群

腸に異常がないのに、慢性的に便秘や下痢が続いている状態のことです。
過敏性腸症候群は、数ある消化器の病気のなかでももっとも多く見られる病気の一つで、お腹の不調を感じて医療機関を受診する患者の20~30%はこの病気だといわれています。

排便回数が多く、日常生活に支障をきたす人も少なくありません。
この病気で体重が減ることはありませんが、便秘や下痢以外の症状には、吐き気や食欲不振、頭痛、めまい、動悸、疲労感などの全身症状、不眠や不安感などの精神症状もあげられます。

発症にはストレスと密接な関係があるとされていて、神経質な人、生真面目な人など、ストレスを感じやすい性格の人がなりやすい病気と考えられています。

胃腸の不調を感じ、検査をしても症状が治まらない場合には、普段の生活や症状などを医師にしっかりと相談しましょう。

おわりに:長引く下痢症状は病気のサインです

胃潰瘍で下痢になることは比較的稀であり、胃潰瘍に対する投薬が原因であったり、他の疾患が原因であることがあります。
つらい下痢によって食事を摂ることが楽しくなくなったり、日常生活に支障をきたしたりしないように、異常を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。

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