肝臓の調子が悪いと肌がかゆくなるって本当?対処法は?

2018/10/18

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

肌のかゆみは、乾燥や外部からの刺激の他、身体の内側からくる要因でも起こり得ます。
身体の内側からくるかゆみの原因として、あまり知られていないものでは、肝臓病によるかゆみが挙げられるでしょう。
今回は肌のかゆみと肝臓病との関係について、その原因と特徴、症状が出たときの適切な対処法をご紹介していきます。

肝臓病でかゆみを訴える人は多いの?

肝炎や肝硬変など、慢性的な肝臓病の患者には、体中をかきむしったり、夜に眠れなくなるほどの肌のかゆみに悩まされる人が少なくありません

肝臓病によって肌のかゆみが引き起こされる原因は、かゆみをコントロールする物質である「オピオイド」の分泌バランスが乱れるところにあると考えられています。

オピオイドには複数の種類がありますが、そのうちかゆみにかかわっているのは、かゆみの促進と抑制を司る以下2つの物質です。

「かゆみを生じさせる」オピオイド
ベータエンドルフィン
「かゆみを抑制する」オピオイド
ダイノルフィン

通常、この2つの物質はどちらかの分泌が多くならないようバランスを取りながら分泌されていますが、一部の肝臓病患者にはこのバランスが崩れる症状がみられます。

ベータエンドルフィンの分泌が活発になり、ダイノルフィンの分泌量を上回ってしまうと、肌に何の異常もないのにかゆみが発生する原因となるのです。

肝臓病によるかゆみの症状の特徴は?

皮膚疾患や外的環境ではなく、肝臓病が原因で肌にかゆみが出ているときには、以下のような症状が見られます。

  • 肌には赤みや腫れ、蕁麻疹などの異常が一切見られないのにかゆい
  • かゆみの範囲が特定の部位だけではなく、全身的にかゆい
  • かいてもかいてもかゆみが治まらず、夜も眠れない
  • 抗ヒスタミン薬など、一般的な外用・内服のかゆみ止めが効かない

特に、身体の内側からかゆみが発生して脳が直接かゆみを認識しているため、全身的に強いかゆみを感じるところが、肝臓病によるかゆみの最大の特徴と言えるでしょう。

肝臓病が原因のかゆみにどう対処すればいい?

一般的なかゆみ止めである、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬が効かない肝臓病由来のかゆみには、ナルラフィン塩酸塩による治療が効果的とされています。

ナルラフィン塩酸塩は、2015年より慢性肝臓病によるかゆみに使用できるようになった治療薬です。眠れないほどかゆみが強いなら、医師に処方してもらうことをおすすめします。
また薬の使用以外にも、かゆみを改善するためのコツを知り、日々の生活を工夫するだけでもかなり症状の緩和が期待できます。

以下に、慢性的な肝臓病によるかゆみをできるだけ発生させず、症状を改善させるための生活のコツを7つご紹介しますので、実践してください。

  1. 皮膚を刺激しかゆみが誘発されないよう、お風呂のお湯の温度はぬるめにする
  2. 肌を守る油脂まで洗い流さないよう、ごしごし洗いや石鹸の使い過ぎは避ける
  3. 肌の乾燥はかゆみを誘発するので、お風呂上りにはすぐ保湿をして乾燥を防ぐ
  4. 肌の乾燥を防ぐため、暖房器具の使用は最低限にとどめて加湿を心がける
  5. 肌に刺激となる化学繊維、毛織物素材の衣服は直接皮膚に触れないように着る
  6. かゆみを促進する作用のある汗は、できるだけすぐに洗い流す習慣をつける
  7. かいたところから雑菌が入ってかゆみが悪化しないよう、爪は短く整える

おわりに: 慢性的な肝臓病では、全身の肌に強いかゆみを感じることも

慢性肝臓病による症状として、全身的な強いかゆみに見舞われる場合があります。これは、かゆみを司るベータエンドルフィン・ダイノルフィンという物質の分泌バランスが乱れることによって生じるものです。身体の内側から分泌される成分でかゆみが発生しているため、一般的なかゆみ止めでは効果がありません。日常生活の工夫とナルラフィン塩酸塩の使用で改善が可能ですので、内科・消化器科などの医師に相談しましょう。

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