肝臓の線維化が引き起こす病気とは?どんな検査や治療をする?

2018/10/25

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

沈黙の臓器とも呼ばれる「肝臓」。この肝臓が線維化を起こした場合、どんな病気が引き起こされるようになるのでしょうか。検査方法や治療方法と併せて解説していきます。

肝臓が線維化するってどういうこと?

肝臓の線維化は、肝臓が反復的かつ持続的に損傷を受けた際に起こる状態で、特に炎症が慢性化した際に顕著に見られます。

線維組織はコラーゲンを主成分としており、主に細胞と細胞とを結びつける働きをしています。通常、コラーゲンは生体において産生と分解を繰り返しながら一定のバランスを維持しています。しかし、慢性的に炎症が起こっている状態ではそのバランスが崩れてしまい、なおかつ自己修復もうまくできないため瘢痕組織が形成されます。その結果として線維化が見られ、肝臓が硬くなるようになります。

肝臓が線維化した場合、早期に原因を特定して治療が行われれば修復することも可能です。しかし、数カ月から数年と長期間にわたって損傷が継続したり繰り返されたりした場合では、線維化した組織は永久に元に戻ることはありません。

肝臓が線維化する病気、慢性肝炎と肝硬変ってどんな病気?

肝臓が線維化する病気の代表的なものは、炎症が慢性的に続く慢性肝炎と肝硬変です。

慢性肝炎とは肝炎ウイルスによって引き起こされるウイルス性肝炎が慢性化した状態のことをいい、一般的には肝機能異常が6カ月以上続く状態のことをいいます。肝炎ウイルスの感染が原因となり、主な肝炎ウイルスはB型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルスとなります。肝炎ウイルスに感染する要因となるのはウイルスに感染している人の血液、あるいは血液成分が混入した体液や、浸出液を介して感染します。感染後ウイルスによって肝細胞が破壊されていきます。日本の肝炎患者は約70% がC型肝炎ウイルス、15〜20%がB型肝炎ウイルスの感染によるものとされています。

肝硬変とは慢性肝炎やアルコール、非アルコール性脂肪性肝炎などによって肝臓に傷が生じ、これを修復するときにできる線維というタンパク質が増加して肝臓全体に拡がった状態のことをいいます。肝臓が硬くなることで機能することができなくなり、さまざまな症状が出現します。

肝臓の線維化を食い止めるために、どんな検査や治療をする?

肝臓の線維化を調べるためには、腹部超音波検査、腹部CT、MR elastography (MRE)、による画像検査、血液検査、腹腔鏡、肝生検のほか、場合によっては肝臓の硬さを判定する肝硬度検査(フィブロスキャン)という特殊な画像検査を行います。

肝臓の線維化を食い止めるためには、肝臓の線維化を起こしている原因となる病気の治療をすることが必要となります。慢性肝炎などで、B型、C型ウイルスの感染が原因となっている場合には、ウイルスを抑えるための薬物療法が効果的です。肝炎ウイルスが排除されると、肝臓の炎症が治まり、線維化が止まるだけでなく肝臓に溜まった線維が溶けて、時間はかかるものの硬くなった肝臓が元に戻ることもあります。

なお、ウイルスに対する治療が困難な場合には、肝臓が壊れるのを防ぐための肝庇護療法を行い、肝硬変となるスピードをゆっくりとさせることもできます。また、症状が顕著に見られており、これらの治療によって改善が見込めない場合には一定の条件が満たされていれば肝移植という治療方法もあります。

おわりに:肝臓の線維化は、早期に治療が受けられれば改善の可能性も

肝臓の線維化は、肝臓が反復的かつ持続的に損傷を受けた際に起こる状態で、慢性肝炎や肝硬変といった病気の際に併発して起こります。血液検査や超音波検査などさまざまな検査を組み合わせて診断をつけることができ、ウイルスによる肝臓の炎症の場合はウイルス治療を、また病状によっては肝臓を保護する薬などで治療を行います。早期に発見、治療ができれば改善の余地もあるため、該当する疾患に罹患している場合は早期の検査、治療が望まれます。

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