肝臓移植が必要とされるのはどんなとき?ドナーになれる人は?

2018/10/16

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

臓器移植にはさまざまな種類がありますが、中でも肝臓移植が適用となるのはどんな人でしょうか。また、肝臓移植のドナーになることができるのはどんな人でしょうか。詳しくは以降で解説していきます。

肝臓移植はどんなときに必要とされる?

肝移植を受けるためには、条件があります。肝移植が必要とされるときは基本的に肝臓の障害が重く、生命の危機があるものの、新しい肝臓によって機能が回復すれば全身の状態が改善するすべての病態が、肝移植の対象となります。

具体的には、胆道閉鎖症、原発性胆汁性肝硬変、先天性代謝異常症、肝静脈血栓症 (Budd-Chiari症候群)、硬化性胆管炎、肝細胞癌 、B型肝炎・C型肝炎に起因する肝硬変、アルコール性肝硬変、非アルコール性脂肪肝炎、劇症肝炎などの病気が対象となります。

ちなみに肝細胞がんの場合は、ミラノ基準(①腫瘍が1個だけで大きさが5cm以下または腫瘍が3個までで大きさが3cm以下、②脈管に浸潤していない、③肝臓以外に転移がない)を満たしていることが移植を保険適応で受ける際の条件となります

肝臓移植のドナーになれるのはどんな人?

肝臓移植のドナーは自発的な意思がある人が大前提となります。他者から強要されたなどという場合にはドナーの対象にはなりません。

基本的には3親等以内の親族(親子、兄弟、夫婦、祖父母、孫、叔父母、伯父母、甥、姪、曽祖父母、曽孫)及び配偶者が望ましいです。日本では親族以外からのドナー提供を禁じており、6親等までは親族として該当します。

20歳から65歳くらいまでの健康な方が対象となり、予測される移植肝の大きさがレシピエント(移植される患者)体重の0.7%程度以上で、かつドナーに残る肝臓がその摘出前の大きさの3割以上となるような方となります。その上で、検査で異常がない正常な肝臓であることが条件です。さらに、提供者と血液型が同じでなければその相手へのドナーになることはできません。

ドナーになる方は外来での問診と血液検査及びCTなどの画像検査を行い、肝臓の状態や大きさを測定して判断します。手術前3~7日と手術後平均2週間程度の入院がドナーにも必要になります。約6~8時間かけて提供するための肝臓を取り出します。

ドナーになった後、健康を害する可能性はないの?

ドナーの方にも20〜30%に合併症が起こるといわれており、左葉より右葉を提供した場合の方が合併症の頻度が高いといわれています。

具体的には創部の感染、肝臓切離面よりの胆汁漏、胃内容停滞、腸閉塞、胃・十二指腸潰瘍、胸水、脱毛症、上肢神経障害(手のしびれ)、声のかすれなどが挙げられます。ほとんどが一過性によるもので、後遺症が無く治癒することがほとんどですが、命に係わる重篤な合併症となることもあり、1例ですが死亡例も報告があります。

手術後は3週間~1ヶ月程度で仕事に復帰することが可能ですが、仕事内容によってはこの範囲で仕事復帰をすることが難しいという場合もあるため、主治医へ相談するようにしましょう。特に術後3か月間は傷が完全に治っていないため、術後3ヶ月までは重いものを持ったり、激しい運動をしたりするのは控えておく方が良いでしょう。しかし、3カ月過ぎれば手術前の生活に戻っても特に問題はないとされています。
また、ドナーはとなっても妊娠・出産をすることは可能ですが、その時期については主治医と相談することが必要です。

おわりに: 肝移植には適応条件が。ドナーについても知っておこう

肝臓の障害が重く、生命の危機があるものの、新しい肝臓によって機能が回復すれば全身の状態が改善するすべての病態が、肝移植の対象となります。

肝移植を受けるためにはドナーが必要です。ドナーについても細かい決まりがあり、日本では親族でなければドナーになることはできません。ドナーにも細かい検査や入院が必要となり、手術後は日常生活に戻るために少々時間を要します。合併症などリスクもあります。肝移植のドナーになりたいという方はドナーについてしっかりと理解しておくと良いでしょう。

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