そのときおなかの中では!? ~妊娠初期のからだの変化~

2017/4/4

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

妊娠がわかっても、まだ実感はわかないかもしれません。しかし、妊娠していると感じることはあるはずです。これは妊娠ホルモンの増加によって、からだがこれからの9カ月間赤ちゃんを迎える準備をしているのです。そのために倦怠感、頭痛や痛みがあなたを襲ってきます。ここでは、妊娠初期にみられるからだの変化とおなかの赤ちゃんの変化についてお話します。

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妊娠週数とは何ですか?

世界保健機構(WHO)が定めた妊娠週数は、妊娠42週まであります。ほとんどは妊娠40週で出産となり、42週以上は「過期産」と呼ばれます。
妊娠週数は、最終月経日から出産予定日を計算できます。出産予定日はあくまでも目安です。数日の遅れはあることを覚えておきましょう。妊娠1週~13週を「妊娠初期」といいます。

妊娠初期の赤ちゃん

受精卵から胚となった赤ちゃんは、まだ桃くらいの大きさの塊です。腕やからだの組織を作る準備をしています。
腕、脚、手、足:6週目までに形を成し、10週目で指とつま先もできてきます。
皮膚:5週目から8週目のあいだに皮膚が形成され、髪の毛と爪もできてきます。
内臓:8週目までに、消化器官が形成され始めます。また同時に2つの腎臓ができあがります。感触受容器(唇と鼻)ができ顔が形成されてきます。
心臓:5週目までに自発的に鼓動し始め、強く定期的になっていきます。そして9週目から10週目あたりで心音を聞けるようになります!
脳:妊娠8週目あたりから、脳の指令で活発に四肢を動かすようになります。おなかを蹴っている感覚がわかるでしょう。手や足の感触を感じることができるのもこのころです。
生殖器:12週目までに生殖器が形成され、男女の区別がわかるようになります。
視神経と眼球:4週目から形成され始めます。網膜は8週目あたりから形成され始めます。
味覚:8週目あたりまでに味蕾(みらい)が発達します。赤ちゃんは、羊水からあなたがとった食事を感じているでしょう。
その他妊娠初期では、筋肉、細菌と闘うための白血球、声帯が形成されます。

妊娠初期の母体の変化

妊娠初期は母体にも多くの変化があらわれます。よくみられる妊娠初期の症状は、以下のようなものがあります。

悪阻(つわり)

ただ気分が悪くなるだけではありません。朝だけでなく、妊娠5週目あたりまで続く症状です。ジンジャーティーやドロップ、食事は少量を数回に分けてとるほうがいいかもしれません。もし、つらいようであれば医師に、むかつきや吐き気の治療について相談してください。

胸が張る

胸が張り、ヒリヒリし、大きくなります。6週目ぐらいには、以前の自分の胸とは別物になってしまっているかもしれません。

気分の変調が激しい

7週目までに、気分が上がったり下がったり気分の変調が続くかもしれません。うつ病やうつ状態になったことがあれば、医師に相談して「うつ病の検査」を受けましょう。
胸やけ、便秘、味覚の変化、食事への嫌悪感、頭痛など、ほかにも多くの妊娠症状がでるかもしれません。妊娠中期にはいれば、徐々に治まり、もっとリラックスすることができます。その症状には個人差があります。症状はひとりひとり違うということを覚えておきましょう。

体重の増加と食事

このころ赤ちゃんはまだ小さいです。なので妊娠初期には1.5~2kg程度しか体重を増やす必要はないということです。もし食欲がわかないときは体重が減っているかもしれません。これも大丈夫です。妊娠中期から末期に妊娠による体重の増加が起こればいいのです。今は、食べられるときに頻繁に少量の栄養価の高い食事(アボカド、ヨーグルト、バナナ、全粒粉のパンやクラッカー)をとることを意識しましょう。カフェインを控えましょう。

食欲があり過ぎると感じたら、摂取カロリーをチェックするようにしましょう。妊娠初期では余分のカロリーは必要ありません(妊娠中期、末期には摂取カロリーはあがっていきます)。もし勧められている以上に体重が増加してしまったら、無理に体重を減らさないようにすることです。これからの妊娠期間中に徐々に戻していくよう意識しましょう。
カフェインを控え、どの食事を避けるべきか、妊娠中何を食べるべきか調べておきましょう。

運動とセックス

フィットネスの時間をつくりましょう。妊娠中に運動することは、母体にとっても赤ちゃんにとっても有益です。毎日30分は、何かしらからだを動かすことはモチベーションの維持につながります。したいと思ったら、セックスしましょう。セックスすることは楽しいし、胎児にとっても安全です。

おわりに:からだの不調は赤ちゃんの成長の証

妊娠初期は、母体にとっても赤ちゃんにとっても形成期。からだの不調は、もうひとつの命が宿っている「証」です。新しい家族となる赤ちゃんの名前を考えたり、SNSで発表したりすることもモチベーションをあげることになるでしょう。新しい家族のために貯金を始めるのもいいかもしれません(出産、育児にはお金が必要です)。仕事をしているなら、出産休暇や育児休暇についても考えておきましょう。おなかのなかで、がんばっている赤ちゃんに負けないで乗り越えてくださいね。

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