過敏性腸症候群(IBS)にヨーグルトや納豆はNG!?

2018/10/26

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

腸内環境を整えるのに、納豆などの発酵食品やヨーグルトは心強い味方とされていますが、過敏性腸症候群(IBS)の人はこれらの食べ物を食べると、かえって症状が悪化する恐れがあるという話があります。その理由について、以降で詳しく解説します。

ヨーグルトや納豆で過敏性腸症候群(IBS)が悪化する?

下痢や便秘、腹痛などの下腹部症状をもたらす過敏性腸症候群(IBS)の原因ははっきりわかっていませんが、多くは精神的なストレスが関係しており、また食生活の乱れによる腸内環境の乱れも原因のひとつといわれています。そのため、特に便秘型IBSの患者さんは、腸内環境を整え便秘を解消する効果があるというヨーグルトや納豆を多めに摂取するケースも少なくありません。

しかし、近年このヨーグルトや納豆の摂取が、IBSの症状を悪化させるという見解が出始めています。これはオーストラリアのモナッシュ大学で発見された「高FODMAP(フォドマップ)食」についての研究に基づくもので、こうした食べ物は小腸で十分に吸収されずに大腸に入ると大腸内で発酵し、腹痛や下痢などを起こす原因になることが判明したのです。

IBSを悪化させる「高FODMAP食」とは?

高FODMAP食とは、下記のような食べ物を意味します。

F=発酵性の食べ物
納豆、キムチ、ヨーグルトなど
O=オリゴ糖を含む食べ物
パンや麺などの小麦食品や豆類、食物繊維を多く含んだ穀物類
D=二糖類(乳糖、砂糖など)を含む食べ物
牛乳やヨーグルトなどの乳製品
M=単糖類を含む食べ物
マンゴー、スイカなどの果物やハチミツなど
P=ポリオールを含む食べ物
ガムなどに含まれるキシリトールといった糖質

高FODMAP食品に該当するものをまず3週間やめてみて、それ以降は1週間ごとに1つ1つ高FODMAP食品を試しに摂取し、排便の状態をみてみると、本当に合わない食品も見つかりやすくなります。

なお、こうした食べ物を除いた食事は「低FODMAP食」と呼ばれ、いまでは欧米の大学病院を中心にこの食事療法が多く取り入れられています。ざっと上記で紹介しただけでも制限しなくてはいけない食べ物はたくさん存在するので、「何にも食べられなさそう」と思いがちですが、逆にこれらに該当しない食べ物は基本的に食べてもOKです。

例えば、お米やおそば、グルテンフリーのパスタ、ビーフン、茄子やにんじん、じゃがいも、きゅうり、ピーマン、キャベツなどは食べることができます。また乳製品であってもバターやカマンベールチーズ、チェダーチーズなど、種類によっては摂取してOKのものも存在します。

おわりに:低FODMAP食を実施する前に、主治医に確認を

健康のためにヨーグルトや納豆を食べていたIBS患者さんにとっては、少しショッキングな記事だったかもしれません。ただ、「低FODMAP食」という食事療法は近年発見されたものであり、医師の間でも賛否両論はあるので、実践する前には必ず主治医の確認をとることをおすすめします。

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