子供の不登校、過敏性腸症候群(IBS)が原因のことも

2018/10/31

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

突然下痢や腹痛に襲われる過敏性腸症候群(IBS)は、子供の場合通学や学校生活を妨げ、不登校の原因にもなる病気といわれています。以降ではこのIBSの特徴や学校生活への影響、IBSの子供に対して学校や家庭でできることなどを、広くご紹介していきます。

いま、過敏性腸症候群(IBS)の子供が増えている

「子供がお腹が痛いというので病院で診てもらったけど、特に異常が見つからなかった」場合、気のせい、仮病として片付けてしまう保護者の方もいらっしゃるようです。しかし、通学や学校生活に支障が出るレベルの腹痛や下痢などが長期的に続いている場合、「過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)」の可能性があります。

IBSとは、検査で明らかな異常(潰瘍や炎症など)が認められないにもかかわらず、下腹部の不快症状が慢性的に続く病気です。突然腹痛がきた後で下痢をする「下痢型」、便秘や硬い便が続く「便秘型」、下痢と便秘の症状が交互に起こる「混合型」など複数のタイプが存在し、そのほかおならやげっぷが止まらなくなってしまう「ガス型」もあります。

IBSは子供から大人まで発症する可能性がありますが、多くは思春期の頃から発症し、思春期以降の年齢層のおよそ5~10人に1人はIBSといわれています。発症者の年齢傾向に関して、小・中学生に限定した経年的なデータはないのですが、高校生まで含めた断片的な統計の上では以前よりも発症率が増加していることがわかっています。

IBSが不登校につながる?

IBSになると、「通学中の電車内や授業中、試験中に突如腹痛に襲われ、トイレに駆け込みたくなる」という事態がよく起こるようになります。また無意識のうちにおならが出てしまい、他の生徒がその臭いに気づいたりするケースもあります。するとからかいやいじめに発展し、本人が学校生活に苦痛を感じるようになったり、あるいは電車内で便を漏らしてしまったトラウマで、「また同じことが起こるのでは」という恐怖から通学を避けるようになった結果、不登校や引きこもりになってしまうことがあります。

また、埼玉県立小児医療センターのまとめによれば、胃腸症状によってこの2年間学校を休みがちだった27人の子供について詳しい検査を行った結果、うち23人に機能性消化管障害(IBSはこの中に入ります)が判明したそうです。

IBSになりやすいのはどんな子供?

IBSの原因は明確にはわかっていませんが、おそらく精神的なストレスに脳が過剰反応し、神経を通じて腸が運動異常や知覚過敏を引き起こした結果、腹痛や下痢などの症状が起こると考えられています。そのためか、真面目、完璧主義、神経質などストレスを感じやすい子供はIBSを発症しやすい傾向にあります。

IBSの子供に対して、学校や家庭ができること

IBSの子供が安心して学校生活を送れるようにするには、まずは専門の医療機関での治療が欠かせません。お腹に作用する薬や抗不安薬、向精神薬の服用、カウンセリングなどの精神療法によって症状自体は徐々に落ち着いていくケースが多いです。

また同時に欠かせないのが、家庭や学校でのサポートです。まずは保護者の方がIBSという病気を理解し、症状が気のせいではないことを認めてあげましょう。そして担任の先生や養護の先生に、主治医からの診断内容を伝え、IBSについての知識を共有してください。また、その話を受けた学校側は、生徒がトイレや保健室に行きやすい環境をしっかり整えることが大切です。

おわりに:IBSで学校生活にストレスを感じる子供のために、まずは専門外来へ

検査をしても特に異常が見つからないために、スルーされがちなIBS。しかし、IBSの子供自身は通学や学校生活にストレスを感じ、傷ついている場合が多いです。まずは専門の医療機関を受診し、診断を受けるところからはじめましょう。

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