記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/6 記事改定日: 2019/8/27
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
非常に感受性が豊かな分、傷つきやすく繊細な「HSP(Highly Sensitive Person)」。このHSPは「AC(Adult Children)」と似通った特徴を持つため、混同されることもしばしばありますが、両者はどういった点に違いがあるのでしょうか?
HSP(Highly Sensitive Person)とは、とても敏感な人、繊細で感受性が豊かな人を指す言葉で、アメリカの心理学者・エレイン=アーロン博士が名づけた概念です。HSPは特性・生まれもっての気質であり、疾患や障害ではありません。
HSPの人は、「DOES」という4つの特徴を持っています
非常に感受性が高いため、突然の大きな音や光などの外的な刺激に弱く、また他人が怒られている場面を見ると、自分のことのようにダメージを受けてしまいます。また、相手のちょっとした表情の変化や動き、声のトーンなどから「この人はいま機嫌が悪い」といったことを敏感に察知し、そのフォローに回ろうとするため、一日が終わった頃にはぐったりと疲れ果ててしまいます。そのほか、「物事を深く考えるために決断が遅い」「疲れると自分の殻に引きこもってしまう」といった特徴も見受けられます。
一方のACとは、幼少期の虐待や不適切な教育環境によるトラウマから自己評価が極端に低くなっており、不安感や親に愛されなかった飢餓感を持っている人のことです。医学用語ではなく、HSPと同じくその人の特性を指す概念になります。
ACにはいろいろなタイプがあり、たとえば、家庭の雰囲気を壊したくないという自己防衛の気持ちから、勉強などで良い成績を取り続け、評価をしてもらうために過剰に努力をし続ける「ヒーロータイプ」、家庭が崩壊しないよう、自己犠牲的に家族の世話をし、支え続けようとする「ケアテイカータイプ」、家庭が暗い雰囲気になるのを避けたいがために、わざとおちゃらけたり、笑わせようとしたりして顔色を伺い続ける「ピエロタイプ」などがあります。
結論からいえば、HSPとACはそれぞれ別の概念です。ACの人は虐待や親からの否定的な言動、機能不全家族などの家庭環境が素因となって発現しますが、HSPの人は必ずしも家庭環境に問題があるわけではありません。
ただ、HSPの中ではAC心性を持ち合わせている人も少なくありません。なぜなら、HSPの子供が非HSPの保護者に育てられた場合、その繊細な特性がうまく理解されず、否定的な言動を浴びることになってしまったり、またHSPの保護者に育てられた場合も「どうやって子育てしたらわからない」という困惑から、愛情を十分受けられないケースが多々あるからです。その結果、過度に自己肯定感が低い子供に育って生きづらさを感じるようになります。
HSPとACは混同されがちですが、それぞれ別の概念です。ただ、HSPの人でも幼少期に特性を理解してもらえず、家庭内で否定的な言動を受け続けると、ACの心性を持ち合わせてしまうことがあります。いずれにしても、家庭で適切なアプローチができるかどうかが、子供のその後を左右する重要なポイントになっていきます。
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