HSPとAC(アダルトチルドレン)の違いは?

2018/11/6

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

非常に感受性が豊かな分、傷つきやすく繊細な「HSP(Highly Sensitive Person)」。このHSPは「AC(Adult Children)」と似通った特徴を持つため、混同されることもしばしばありますが、両者はどういった点に違いがあるのでしょうか?

HSPとは

HSP(Highly Sensitive Person)とは、とても敏感な人、繊細で感受性が豊かな人を指す言葉で、アメリカの心理学者・エレイン=アーロン博士が名づけた概念です。HSPは特性・生まれもっての気質であり、疾患や障害ではありません。

まずHSPの人は、「DOES」(「D=Depth of processing(深く処理する)」「O=being easily Overstimulated(過剰に刺激を受けやすい)」「E=being both Emotionally and having high Empathy in particular(全体的に感情の反応が強く、特に共感能力が高い)」「S=being aware of Subtle Stimuli(ささいな刺激を察知する)」)という4つの特徴をもっています。

そして非常に感受性が高いため、突然の大きな音や光などの外的な刺激に弱く、また他人が怒られている場面を見ると、自分のことのようにダメージを受けてしまいます。また、相手のちょっとした表情の変化や動き、声のトーンなどから「この人はいま機嫌が悪い」といったことを敏感に察知し、そのフォローに回ろうとするため、一日が終わった頃にはぐったりと疲れ果ててしまっています。ほかにも、「物事を深く考えるために決断が遅い」「疲れると自分の殻に引きこもってしまう」といった特徴も見受けられます。

AC(アダルトチルドレン)とは

一方のACとは、幼少期の虐待や不適切な教育環境によるトラウマから自己評価が極端に低くなっており、不安感や親に愛されなかった飢餓感を持っている人のことです。医学用語ではなく、HSPと同じくその人の特性を指す概念になります。

ACにはいろいろなタイプがあり、たとえば、家庭の雰囲気を壊したくないという自己防衛の気持ちから、勉強などで良い成績を取り続け、評価をしてもらうために過剰に努力をし続ける「ヒーロータイプ」、家庭が崩壊しないよう、自己犠牲的に家族の世話をし、支え続けようとする「ケアテイカータイプ」、家庭が暗い雰囲気になるのを避けたいがために、わざとおちゃらけたり、笑わせようとしたりして顔色を伺い続ける「ピエロタイプ」などがあります。

HSPとACは同じ?それとも違う?

結論からいえば、HSPとACはそれぞれ別の概念です。ACの人は虐待や親からの否定的な言動、機能不全家族などの家庭環境が素因となって発現しますが、HSPの人は必ずしも家庭環境に問題があるわけではありません。

ただ、HSPの中ではAC心性を持ち合わせている人も少なくありません。なぜなら、HSPの子供が非HSPの保護者に育てられた場合、その繊細な特性がうまく理解されず、否定的な言動を浴びることになってしまったり、またHSPの保護者に育てられた場合も「どうやって子育てしたらわからない」という困惑から、愛情を十分受けられないケースが多々あるからです。すると過度に自己肯定感が低い子供に育ち、生きづらさを感じるようになります。

おわりに:HSPとACは別物だが、併存することも多々ある

HSPとACは混同されがちですが、それぞれ別の概念です。ただ、HSPの人でも幼少期に特性を理解してもらえず、家庭内で否定的な言動を受け続けると、ACの心性を持ち合わせてしまうことがあります。いずれにしても、家庭で適切なアプローチができるかどうかが、子供のその後を左右する重要なポイントになっていきます。

この記事に含まれるキーワード

HSP(7) HSC(3) DOES(2) AC(1) アダルトチルドレン(1) Highly Sensitive Person(1)