炭水化物と糖質の違いと 食べるときの注意点は?

2018/11/13 記事改定日: 2019/6/24
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

炭水化物と糖質は違うものですが、キチンと区別できている人は少ないかと思います。そこで今回はこれらの違いを説明しつつ、炭水化物を上手に摂取するコツをご紹介します。これらの違いを正しく理解し、ダイエットや糖質制限などに役立ててください。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

炭水化物ってどんな働きを持つ栄養素なの?

炭水化物はご飯()、パン、麺類、いも類などに多く含まれている栄養素です。このことは多くの人がご存知かと思います。ただ、炭水化物の働きを知らない方も少なくないと思いますので、まずは炭水化物の3つの働きについて確認してみましょう。

身体を動かすためのエネルギー源になる

炭水化物は体内で1gあたり約4kcalのエネルギーを産生します。とくに脳のエネルギー源になる物質は、基本的に炭水化物の一種である「ブドウ糖」だけです(正確にはケトン体という物質もエネルギー源となります)。そのため、炭水化物が不足すると、思考力や集中力などの低下に繋がります。

エネルギー源として体内に貯蔵される

血液中の余分なブドウ糖は、エネルギー源(グリコーゲン)として体内に貯蔵されます。そして、空腹時や運動時にはグリコーゲンが使われ、身体の血糖値を維持しています。なお、グリコーゲンの貯蔵上限は決まっているため、それを超えた分は体脂肪になります。

身体を作る際の成分になる

炭水化物は一部ですが、分泌液、粘液、核酸(DNA、RNA)などの材料になります。これらは身体にとって大切な働きを担っています。

炭水化物と糖質って何が違うの?

炭水化物と糖質は似たような意味合いで使われることも多いですが、実際には別のものを指しています。そこで糖質について説明した後に、炭水化物との違いについて解説します。

そもそも糖質って何のことをいうの?

糖質は体内で分解されて、エネルギー源として活用される物質です。糖質には単糖類、少糖類、多糖類などの種類があり、代表的な糖質には以下のようなものがあります。

単糖類
グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトース、マンノースなど
少糖類
ラクトース(乳糖)、スクロース(ショ糖)、マルトース(麦芽糖)、オリゴ糖など
多糖類
グリコーゲン、デンプンなど

一般的に「炭水化物がエネルギー源となる」という表現は、実は「糖質がエネルギー源になる」ということを意味しています。つまり、糖質は炭水化物を構成する物質の1つなのです。

炭水化物と糖質の違いは「食物繊維」にある

実は、炭水化物は「糖質」と「食物繊維」に分けることができます。つまり、消化吸収される糖質と、消化吸収されない食物繊維を合わせて炭水化物というのです。この言葉の違いを理解すると、「糖質制限が単に炭水化物を控えることではない」というのが理解できるでしょう。そのため、ダイエットや糖質制限の際は、糖質に着目するといいかと思います。

炭水化物を効率よく摂るにはどうすればいい?

炭水化物を上手に摂取したいのであれば、ほかの食品・栄養とのバランスに気をつけることが必要になります。そこで具体的なポイントを3つご紹介します。

食物繊維、ビタミン、ミネラルと一緒に摂取する

食物繊維には、炭水化物の吸収を緩やかにする働きなどがあります。また、ビタミンB1やミネラルなどには、エネルギー代謝を促進する役割があります。そのため、炭水化物を摂取する場合は、これらの栄養も意識した食事にするといいでしょう。

たんぱく質や脂質と一緒に摂取する

たんぱく質や脂質は消化に時間のかかる栄養素です。そのため、これらの栄養素を炭水化物と一緒に摂ると、血糖値の上昇を緩やかにできます。食事の際はご飯やパンだけですませるのではなく、主菜も加えるといいでしょう。

有機酸と一緒に摂取する

有機酸とは酸味のもととなる物質のことで、たとえば、クエン酸やリンゴ酸などがあります。有機酸にも、血糖値の上昇を緩やかにする働きがあります。そのため、食事の際は酢の物、梅干、ヨーグルト、酸味のある果物なども、一緒に摂ることをおすすめします。

低カロリーでバランスよく栄養を摂るためのおすすめレシピ

ダイエットをするには摂取カロリーを控えめにするのがポイントですが、健康的な身体を維持するためにも栄養バランスには注意しましょう。ここではカロリー控えめながらも栄養バランスの良いおススメレシピを3つご紹介します。

キャベツお好み焼き

キャベツは低カロリーの上にビタミン類や食物繊維が豊富で、食べ応えもあるためダイエットの強い味方です。お好み焼き風にすることで、満足感のある一品に仕上げましょう。

千切りにしたキャベツはフライパンでしんなりするまで良く炒めておきます。キャベツを別の容器に移しておき、溶き卵をフライパンに薄く広げて投入し、薄く大きな卵焼きを作り、その上に炒めたキャベツを乗せて卵で包んでお好みでソース、マヨネーズ、青のりをかければ完成です。

豆腐ハンバーグ

豆腐は低カロリーながらも良質なたんぱく質を多く含むため、ダイエットに最適な食材です。ハンバーグに変身させることで、満足感のある主菜にすることができます。

木綿豆腐はキッチンペーパーで包んで電子レンジで加熱し、水切りをしたのちに細かく潰しておきます。みじん切りにした玉ねぎはしんなりするまで良く炒め、豆腐、鶏ひき肉を混ぜ合わせてよくこねます。塩コショウでお好みに味を調え、適量の片栗粉を加えて適度な硬さにまとめたら小判大に形成し、フライパンで蒸し焼きにすれば完成です。

もやしカレーうどん

低カロリーなもやしを麺に見立てることで超低カロリーなカレーうどんを作ることができます。
玉ねぎや牛肉などお好みの具材は鍋で良く炒めます。
そこにレトルトカレーと適量の水を投入して良く煮込み、塩コショウ、だしの素などでお好みに味を調えます。そこにたっぷりのもやしを投入すれば完成です。

おわりに:糖質と食物繊維を合わせたものが炭水化物

一般的に炭水化物は「糖質」の意味で使われることが多いですが、本当は炭水化物とは「糖質」と「食物繊維」の両方を合わせたものをいいます。そのため、ダイエットや糖質制限などの際は「どちらに注目したいのか」を意識すると、目的達成により近づきやすくなるかと思います。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

食物繊維(102) 糖質(20) 炭水化物(34) 有機酸(3) 単糖類(3) 少糖類(3) 多糖類(2)