記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/18
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
健康診断などで便潜血陽性と出た場合、大腸疾患や胃疾患、痔疾患などの可能性があります。今回は、この中で大腸ポリープについて解説します。大腸ポリープに関する知識を身につけていきましょう。
大腸ポリープとは、大腸の粘膜層(表面部分)の一部がイボのように隆起してできたものを指します。近年、日本人の食生活の変化に伴い、大腸ポリープ患者さんが増えているといわれています。多くの場合は便潜血検査などで兆候が見つかるので、便潜血陽性と出たら早めに医療機関を受診するといいでしょう。
大腸ポリープには、大きく腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープの2種類があります。さらに、それぞれのポリープにはいくつかの種類があるのでまとめておきます。
なお、大腸ポリープがあった場合、80%程度の確率で「腫瘍性ポリープ」です。腫瘍性ポリープはがんになるリスクが高いので注意が必要になります。
仮に大腸ポリープ(腫瘍性ポリープ)が見つかったとしても、ほとんどの場合は良性腫瘍といわれています。しかし、10%程度の確率で悪性腫瘍(がん)の場合があります。
なお、「大腸がんかどうか」を詳しく判断するためには、生検(病変を採取して調べる検査)では難しいのでポリープ全体を切除して確認する必要があります。
大腸ポリープは大きくなるにつれて、大腸がんになる可能性が高くなります。また、このことは大腸ポリープに対する治療の考え方にも関係しています。
実際、5mm未満のポリープの場合は、がんの確率は1%以下です。しかし、ポリープが大きくなるにつれてがんの確率は高くなり、20mm超のポリープの場合は30%以上の確率でがんです。ポリープが10mmを超えるとがんの可能性が高くなるので注意してください。
以前は、大腸ポリープを発見した場合は、すべてのポリープを切除していました。しかし最近だと、大腸ポリープを発見しても、がん化するリスクが低いものは経過観察を行うケースも増えています。けれども、「小さければ安全だ」という科学的根拠はないので、形状なども確認した上で「ポリープを切除するか」を判断することが大切になります。
大腸ポリープの切除では、内視鏡的治療が行われています。この内視鏡的治療にはいくつかの種類があるので、まずは代表的な手法を確認してみましょう。
ポリペクトミーは茎のあるポリープに使われる治療法です。ポリープにワイヤー(スネア)を引っ掛け、徐々にワイヤーを締めて、高周波電流で焼き切ることで切除します。
EMRは茎のないポリープに使われる治療法です。まず粘膜の下に薬液を注入し、ポリープを膨らませます。その後、ポリープにワイヤー(スネア)を引っ掛けて、締め付けてから高周波電流で焼き切ります。
ESDは大きなポリープなどに使われる治療法です。まず粘膜の下に薬液を注入し、病変を持ち上げます。その後、専用の電気メスを使って、病変を少しずつ切除します。
大腸ポリープ切除は、ポリープの大きさや数、医師の治療方針、医療機関の治療環境などによっては、日帰り手術で対応できる場合もあります。また、内視鏡検査の状況次第では、検査の際にポリープの切除まで対応してもらえます。もしこれから大腸内視鏡検査を受ける予定がある場合は、あらかじめ担当医に確認しておくと良いかもしれません。
大腸ポリープの多くは良性腫瘍ですが、まれに大腸がんの場合もあるので注意が必要です。もし便潜血検査で陽性と出たら、なるべく早めに精密検査を受けるようにしてください。そして必要に応じて、大腸ポリープ切除などを行って、将来の大腸がんを予防していきましょう。
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