大腸ポリープができる原因は?見つかったら必ず手術するの?

2018/11/27

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

大腸の粘膜にできるイボのようなできもの「大腸ポリープ」は、なにが原因で発生するのでしょうか。また、大腸ポリープが見つかった場合、基本的には手術が必要になるのでしょうか?以降で解説します。

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大腸ポリープってどんなもの?

大腸ポリープとは、大腸の粘膜層の一部がイボのように隆起したできもののことをいいます。

大腸ポリープはその構造によって、腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープという2種類に大別されます。さらに腫瘍性ポリープは細かく分けると悪性腫瘍(がん)と良性腫瘍(腺腫)に分類でき、非腫瘍性ポリープは炎症性ポリープ、過形成性ポリープ、過誤腫性ポリープ、そのほかに分類されます。また、腫瘍性ポリープでは、良性腫瘍が悪性化してがんになる場合と腺腫の状態を経ずに一気にがん化するものがあります。

大腸ポリープの症状は、ほとんどの場合において自覚症状がありません。ほぼ無症状であるため、定期的に検査を受けることで発見につながります。

しかし、症状がある例もあります。その場合としては、肛門の近くにポリープができたことによって血液まじりの便(血便)が出たり、便に粘液のようなものが付着したりすることがあります。また、大きなポリープが肛門の近くで大腸をふさいでしまうことによって腸閉塞を起こすことや、ポリープ自体が肛門から飛び出すこともありますが、これは比較的稀な症例となります。

大腸ポリープができる原因は?

大腸ポリープができる原因は、日本人の食生活の欧米化によって動物性脂肪の摂取量が増加したことに加え、食物繊維の摂取量が減少したことが関連していると考えられています。それ以外にも50歳以上の年齢の人や親、兄弟、子供など血縁者が大腸がんになったことのある人(大腸がんの家族歴)、高カロリーの摂取および肥満、アルコールの過剰摂取、喫煙、以前ポリープができたことがあるということも、大腸ポリープができる原因として考えられています。

特に、家族歴は大腸ポリープができる原因として有力であり、大腸ポリープが100個以上できるポリポーシスでは家族、特に両親がかかっていた場合には遺伝する可能性もあり、10代で発症する可能性もあります。

大腸にポリープが見つかったら手術したほうがいい?

ひと昔前まで、大腸ポリープは見つかればすべて切除の対象とされてきました。しかし、現在ではがん化する可能性が高いものに絞って摘出をするという考え方に変わってきています。

日本ではポリープの大きさが5mm以上の場合は摘出の対象となっています。ただし、5mm未満のポリープは経過観察でよいと考えられているものの科学的な根拠はなく、平坦型で陥凹のあるものや、形がいびつであるなど特殊なタイプのものは、5mm未満であっても発見され次第、摘出されています。

しかし、ポリープはがん化する可能性が非常に高いことから、見つけたポリープはすべて摘出してしまうという考えは現在も残っており、医療機関によって対応はさまざまです。

大腸ポリープの摘出は内視鏡を用いて行い、肛門より内視鏡を挿入して切除をします。治療の平均時間は20~30分で、小さいポリープであれば日帰りで治療が行えるものの、原則として1~3日間の入院が必要となっています。また、ポリープを摘出したとしても再発の可能性が考えられるため、適宜内視鏡にて検査をすることが必要となります。

どうすれば大腸ポリープを予防できる?

大腸ポリープを予防する方法は、現在のところありません。しかし、発生した大腸ポリープを大きくさせない、または大腸がんへの移行率を下げることは可能です。その主たる方法は腸内環境を整えるということです。そのためには善玉菌を増やし悪玉菌を減らすことが必要です。善玉菌を増やすためには善玉菌を増やす食品を摂取する、生活習慣を改善する、便秘にならないように気を付けるということがポイントになります。

善玉菌を増やす食品とは野菜、果物、豆類、海藻類、きのこ類など食物繊維の豊富な食品、ヨーグルトなどの乳酸菌やビフィズス菌の入った発酵乳製品、大豆、ゴボウ、アスパラガス、タマネギ、牛乳、バナナなど善玉菌のエサとなるオリゴ糖を多く含むものとなります。また、善玉菌を増やす生活習慣とは、禁煙、禁酒、肉や揚げ物の摂取量を減らすことなどです。

おわりに:大腸ポリープは早期発見、早期治療と生活習慣の見直しが大切

大腸ポリープはほぼ無症状であるため、検査を行わなければ発見することができません。放置しておくことでがんとなる可能性が非常に高いため、定期的に内視鏡の検査を行いましょう。

なお、大腸ポリープを完全に予防するのは難しいですが、生活習慣の改善や便秘の予防、善玉菌を増やす食習慣を心掛けることで発生したポリープを大きくさせない、がん化の確率を防ぐことは可能です。できるところから、生活習慣の見直しを始めていきましょう。

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