記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
乾燥肌のケアといわれて多くの方が思い浮かべるのが、化粧水や乳液などの保湿かと思います。しかし、保湿をやってもなかなか乾燥肌が改善しない場合、それは体の内側からのケア不足が原因かもしれません。そこで今回は、漢方による乾燥肌へのアプローチや、期待できる効果についてご紹介します。
空気が乾燥する秋冬は、乾燥肌や肌荒れ、かゆみといった肌トラブルが増える季節です。ただ、こうした肌トラブルの原因は空気の乾燥ではありません。
例えば、寒さから体が冷えて血行が悪くなったり、眠りの質が悪くなったりすることも、肌の代謝低下の原因となります。また、忘年会シーズンでは暴飲暴食によって消化器の機能が低下し、解毒作用が落ちることも、肌荒れの要因と考えられています。
皮膚表面だけでなく、こうした体の内側の問題に働きかけるのが、漢方が得意としているところです。乾燥肌だけでなく、冷え性などの体質の問題も抱えている方は、漢方の服用によって症状が改善する可能性があります。
漢方の視点では、乾燥肌を「血虚(けっきょ)」という体質としてとらえます。文字通り、体内の中を巡る血が不足していることを意味し、そのために全身の組織や器官に栄養が行き渡らなかった結果、肌トラブルが起きると考えられています。
血虚の人には、乾燥肌以外にも次のような症状がみられます。
上記の血虚による乾燥肌や肌のかゆみには、「当帰飲子(とうきいんし)」という漢方がおすすめです。当帰飲子は「四物湯(しもつとう)」という漢方薬がベースとなっており、肌に栄養と潤いを与えて乾燥を防止する作用が期待できるとともに、かゆみを鎮める生薬も配合されています。
乾燥肌だけでなく、冷え性や疲れやすさ、めまいなどの症状も併発している場合は、漢方で体質自体に働きかけてみるのもいいかもしれません。服用にあたっては、現在の状態にあった漢方を飲むことが重要ですので、漢方外来や薬剤師などに一度確認をとるようにしましょう。
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