記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
「おー」「あー」といった赤ちゃんの初めての声を聞いて以来、「いつ話せるようになるのかな?」と心待ちにしているみなさんに、赤ちゃんの発話能力を高めるコツをご紹介します。
赤ちゃんは生まれたときから周りの言葉や音を聞いており、徐々にそれらの意味を分類しようとし始めます。赤ちゃん自身の名前、他の人の名前、見慣れた物の名前など、個々の語を理解できるようになるのは6カ月目くらいからです。その後数カ月以内に、赤ちゃんは自分自身で声を出して表現しようとし始めます。
およそ8カ月頃までに、赤ちゃんは「パパ」や「ママ」といった発声をするようになりますが、この時点では発した言葉の意味がわかっていない場合がほとんどです。そして、9~14カ月頃になると、意味を伝えようとして言葉を発するようになります。
赤ちゃんが言葉を発するまでかかる時間には、個人差があります。18カ月経っても明確な言葉を話さない子もいれば、7カ月目で言葉や言葉のようなもの(バイバイなど)で会話し始める子もいます。その子が話し始めるのを楽しみに、リラックスして過ごしましょう。
赤ちゃんの言語能力を上げるために、以下にご紹介する方法で発話を促してみましょう。
赤ちゃんの言語習得は、言葉を聞き、個々の単語とその意味を理解することから始まります。そのため、赤ちゃんが言葉を発するために一番良い方法はたくさん話しかけることです。話を聞いているうちに、赤ちゃんは熱心に言葉の鍵を見つけようとします。服を着せているとき、料理しているとき、道を歩いているときなども話しかけてあげましょう。
質問をしてみて、答えるかどうか聞いてみましょう。たくさん質問することは、フレンドリーなおしゃべりをしながら会話のやりとりを真似する簡単な方法です。赤ちゃんが音を出したり話せるように十分な時間をとってください。
もし赤ちゃんが声を出したら、聞いているよというサインを出すために笑顔を向けてアイコンタクトをとりましょう。赤ちゃんはあなたの反応を見て話すモチベーションがあがり、新たな音を出したいとより思うようになります。
色、物、音を指差して説明してあげましょう。その日の天気や通りを走る車、スーパーで売っているものなど、なんでもかまいません。(例:「木が風になびいている音がするね。バスが来たよ、青いしま模様だね!」)
いつもそのように赤ちゃんに話しかける必要はありませんが、わかりやすい言葉でゆっくりと説明することで赤ちゃんの理解が促され、個々の言葉に集中することができます。
できれば、代名詞よりもその人の名前で説明してあげてください。「これはパパのコーヒーだよ」「これはゆみちゃんのクマさんだよ」と言ったほうが、「これは僕のコーヒーだよ」「これはあなたのクマさんだよ」というよりも理解しやすい傾向があるそうです。
読み聞かせをしてあげましょう。絵本の読み聞かせをしながら、絵を指差してその名前を聞かせてあげると言葉の理解につながります。
子守唄をひたすら繰り返すうちに言葉が身についた、というのはよくあることだそうです。
このような工夫を繰り返すことが大事です。同じ歌を何回も歌ったり、道で同じ花を見るたびに花の名前を言ったりすると「飽きてしまうのでは?」と思われるかもしれませんが、赤ちゃんには面白く感じるようです。繰り返し伝えることで、特定の発音が特定の意味につながることが理解できるようになります。