記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/10
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ダイエットの心強い味方といわれる食物繊維。実はこの食物繊維が、ダイエットの天敵ともいわれる炭水化物の一種ということをご存知でしょうか?では食物繊維を食べると太ってしまうのか、など気になるポイントにお答えしていきます。
食物繊維が“炭水化物の一部”であると聞いて、驚く方が多いのではないでしょうか。何となくヘルシーなイメージをもつ食物繊維と、どちらかというと太りやすそうなイメージをもつ炭水化物は、なかなか結びつかないかもしれません。
炭水化物は「たんぱく質、脂質、ミネラル(灰分)、水分を除いたもの」とされています。これを、別の視点で捉えると、炭水化物は「糖質と食物繊維をあわせたもの」と言い換えられるのです。つまり、食物繊維は炭水化物の一種だといえます。
同じ炭水化物のグループではありますが、糖質と食物繊維はまったくの別物です。糖質は人間の体で分解できる「グルコース」をもとに作られている一方で、食物繊維は分解されない「セルロース」をもとに作られています。
また、食物繊維の中でも「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」の2種類があり、それぞれで特徴が異なります。
たとえば水溶性食物繊維は、水に溶ける、ねばねばする、発酵するなどの性質をもっています。主な働きは「胃腸内をゆっくりと移動して満腹感を与える」「糖質の吸収をゆるやかにする」「コレステロールや胆汁酸を吸着して体外に排出する」「ビフィズス菌などを増やすことを通じて腸内環境を整える」といったものです。主に、昆布やわかめなどの海藻類、こんにゃく、果物、里芋などに含まれています。
一方、不溶性食物繊維は、胃や腸で水分を吸収してふくらむ、発酵する、繊維が多い、などの性質をもっています。主な働きは「腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にして便意を促進する」「ビフィズス菌などを増やして腸内環境を整える」などです。主に、穀物や野菜、キノコ類、豆類などに含まれています。
太らない食事のためには欠かせない存在ともいえる食物繊維ですが、だからといって摂りすぎると、実は太ってしまう場合があります。食物繊維はその働きのとおり、適切な量を摂っていれば、排便のサイクルを整えてくれるものです。しかし摂りすぎると、おなかの中で水分を吸収してふくらみ、消化されにくくなってしまいます。そうすると、便秘となって不要物が排出されず、かえって太ってしまうことにもなりかねません。
また、消化できないという性質をもっているため、ビタミンやミネラルなど、体に必要な栄養素の吸収を妨げてしまう可能性もあります。摂りすぎには、十分気を付ける必要があるのです。
それでは、適切な量の食物繊維とは一体どれぐらいなのでしょうか?厚生労働省の発表によると、18~69歳の男性は1日あたり20g以上、女性は18g以上と定められています。
あくまで目安ですが、これらはゴボウ約2本分、リンゴ約4個以上、アボカドであれば約1.5個以上に相当する量です。一度の食事、ひとつの食材で摂取するのはとても難しいので、3食の中でバランスよく摂っていくようにしましょう。
食物繊維は、炭水化物の一種です。しかし、糖質とは違って、体の中で分解されない「セルロース」をもとに作られています。そのため、腸内環境を整えたり、糖を吸収されにくくしたり、コレステロールを排出したりといった、ダイエットにもうれしい働きがたくさんあるのです。しかし、摂りすぎはかえって太ってしまうので、適切な量を食事で摂取しましょう。
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