記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/10/3
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
秋といえば焼き芋が美味しい季節ですが、こうした芋類などの食物繊維をたくさん摂取すると、おならがいっぱい出るのはなぜなのでしょうか?以降で解説していきます。
口から食べ物などと一緒に飲み込んだ空気や、小腸で消化できなかったものが大腸で腸内細菌によって分解されるときに発生したガスが肛門から排出されるのが、「おなら」です。
臭いは食べた物によって変わり、1日平均5、6回出るといわれています。ただし、豆類やイモ類など食物繊維の多い食品は腸内ガスを発生させやすいので、おならの回数が増えることになります。
たとえばサツマイモの場合、主成分であるデンプンが消化しにくく腸内細菌と腸のぜん動運動を多くするため、ガスの発生とおならを増やします。ただし、このおならは善玉菌が分解したガスなので臭い成分はほとんど含まれていません。また、皮ごと食べれば皮のすぐ内側に含まれる酵素が消化を助けるのでおならは出にくくなります。食物繊維によるこうしたおならは、健康上何の問題もなくむしろ健康な証拠です。
臭いおならは、腸内の悪玉菌が分解したガスです。悪玉菌の大好物である高タンパク、高脂質の肉類や甘い物、臭いのきつい食品を食べ過ぎると、強い臭いを放つガスを多く発生させます。そして腸を掃除してくれる食物繊維も、過剰に摂取しすぎると消化しにくくなり悪玉菌のエサとなってしまいます。
また、便秘になると排泄されない便とガスが腸内に溜めこまれて発酵が進み、おならの回数が増え臭いもきつくなります。そのほか、緊張などの精神的なストレスで無意識に唾と一緒に空気を飲み込んでしまいガスが溜まりやすくなったり、溜まったストレスが自律神経を乱して悪玉菌が増えやすい腸内環境を作ってしまうこともあります。
また、慢性胃炎や過敏性腸症候群などガスが溜まりやすい疾患や、大腸がんによる便秘でおならがよく出るようになる場合もあります。
臭いおならを解消するには、生活習慣を改善することが大切です。まず、暴飲・暴食や肉類中心の食事は避け、善玉菌を増やすヨーグルトや納豆などの発酵食品、バナナやハチミツなどオリゴ糖を積極的にとるようにしましょう。
また、腸の働きを低下させる睡眠不足は避け、生活の中に適度な運動を取り入れるようにしましょう。ヨガや腹筋を使う腹式呼吸はおすすめです。
ストレスを溜めないことも大切です。毎日のリラックスタイムを作ったり、趣味やスポーツなどで上手に発散しましょう。
便秘によるおならが気になるときは、薬剤師に相談して市販の漢方便秘薬や腸内バランスを整える乳酸菌配合の整腸薬などを利用するのも良いでしょう。ただし、臭いおならが頻繁に出たり長い間続くとき、腹痛や下痢を伴うようなときは、主治医に相談するか、内科、消化器科で診察を受けるようにして下さい。
食物繊維は、腸内細菌と腸のぜん動運動を増やすことでおならを出やすくしますが、腸内環境が整っていれば臭くはなくむしろ健康な証拠です。ただし臭いおならが出るようであれば、悪玉菌が分解したガスである可能性があります。生活習慣を見直し、場合によっては医師の診察を受けましょう。
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