膵臓の病気、急性膵炎ってなぜ発症するの?どうやって治す?

2018/11/21

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

膵臓に急に炎症が起こってしまう「急性膵炎」は、何が原因で発症するのでしょうか。また、どうやって治療をしていくのでしょうか。発症時の症状と併せて解説します。

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急性膵炎はどんな病気?

急性膵炎はその名のとおり、膵臓(すいぞう)に急性の炎症が起こる病気です。

膵臓では、たんぱく質の分解に必要な酵素が分泌されています。通常であればこの酵素で膵臓自体が消化されないようになっていますが、異常が起こると、膵臓自体が酵素で消化され始めてしまうのです。そうなると、膵臓に急性炎症が起こり、出血やむくみ、壊死などのダメージを引き起こします。これが重度になると、膵臓だけでなく、心臓や肺、肝臓、腎臓、消化器官などにも炎症が拡がる可能性もあるのです。

急性膵炎の主な原因は、アルコールの過剰摂取です。アルコールの刺激によってが膵液の分泌が過剰になり、膵管の内圧が高まると、膵炎が起こります。また、アルコールを分解するときに発生する物質が、膵臓の細胞を傷つける可能性もあるのです。ほかにも、胆石が膵液の出口をふさいでしまうことが原因となる場合などもありますが、原因が特定できない「突発性」のものもあります。

急性膵炎になると、どんな症状が出てくるの?

急性膵炎の代表的な症状は、みぞおちや背中に感じる痛みです。痛みの程度は症状の進行具合などによってさまざまですが、食後や飲酒後に、強い痛みを感じることが多いようです。その際には、吐き気や嘔吐、発熱などを伴うこともあります。みぞおちや左の肋骨付近の皮膚が、過敏になることもあるようです。

また、胆石が原因の膵炎の場合、尿が茶褐色になるなどの症状も見られます。
症状が進行していると、腹部全体に膵液が漏れ出て、腸閉そくなども引き起こします。さらに重症になると、ショック状態に陥り、意識を失ってしまう危険性もあるほどです。

時間が経つほど症状が進行してしまうので、みぞおちや背中あたりに痛みを覚えたときは、早めに病院で診察してもらいましょう。

急性膵炎はどうすれば治る?

急性膵炎と診断された場合、入院による治療が必要となります。絶食と絶飲をし、点滴によって水分の補給などを行うことになるでしょう。同時に、非ステロイド性消炎鎮痛剤や非麻薬性の鎮痛剤を用いて、痛みを緩和します。また、胆石が原因の場合は、内視鏡を使った手術をする必要があります。

軽症の段階であれば、治療によって症状を落ち着かせることができますが、重症の場合、治療は簡単ではありません。より強力な麻薬性鎮痛剤などを用いる必要も出てきますし、最悪の場合は命を失うことにもなりかねないのです。やはり、早期の発見と治療が何よりも重要だといえます。

おわりに:急性膵炎の主原因はアルコールの摂りすぎ

急性膵炎は、膵臓に急性の炎症が起こる病気です。膵臓に異常が起こり、膵臓自体が酵素で消化され始めてしまうことで炎症が起こります。主な原因はアルコールの過剰摂取で、みぞおちや背中あたりの痛みや発熱、吐き気などの症状があります。重症化すると命を失う危険性もあるので、異常を感じたら早めに病院で診察を受けてください。

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