指先がぱっくり割れるあかぎれ&ひび。予防するにはどうしたらいい?

2018/11/30

谷口 隆志 先生

記事監修医師

川崎たにぐち皮膚科、院長

谷口 隆志 先生

手を洗っていたら鋭い痛みを感じ、指先を見てみたらぱっくり割れが――。冬場の皮膚トラブルの代表格ともいえるのが、こうした「あかぎれ」や「ひび」です。以降ではあかぎれやひびができるメカニズムや、予防のために知っておきたいことをお伝えしていきます。

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あかぎれ、ひびとは

まず、人間の皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」の三層構造でできています。一番外側に位置する表皮は外部刺激から皮膚を守る役割を、その下にある真皮は皮膚の水分や弾力を保つ役割を、最も内側にある皮下組織は大部分が脂肪でできており、外部からの刺激の緩和や、断熱・保温の役割をそれぞれ担います。

ひびとは、このうち表皮の深い部分(あるいは真皮)にできた細い線状の亀裂のことです。そしてひびの亀裂が深くなって真っ赤に腫れたり、出血した状態をあかぎれといいます。ひびの時点で水仕事のときなどに痛みを感じますが、あかぎれになると何もしてなくても強い痛みやかゆみを感じることがあります。

あかぎれやひびができる原因は?

あかぎれやひびの主な原因は、気温の低下と空気の乾燥です。
気温が低下すると、皮脂や汗の分泌量も低下し、皮膚表面は水分不足に陥ります。さらに空気が乾燥していると、ますます水分は失われます。すると表皮の最も上に位置する「角層」は、水分が減ると固くなるために柔軟性を失い、指の曲げ伸ばしなどの動きに耐えられず、ぱっくり亀裂が入るようになるのです。

この現象は、お餅に例えるとイメージしやすいかと思います。つきたてのお餅は潤いたっぷりでとても柔らかいので、曲げたり引っ張ったりしても亀裂が入ることはありません。しかし日が経ってカチカチに乾燥したお餅は、曲げたり伸ばしたりするとパキッとひび割れてしまいます。指の関節部分に亀裂が生じやすいのは、これと同様の原理です。

あかぎれやひびを予防するには?

では、このあかぎれやひびの発生を予防するには、どんな対策が有効なのでしょうか?

洗い物のときは手袋をつける

あかぎれやひびは、食器洗いなどの水仕事をしたときに多く発生します。これは、水仕事によって皮膚の水分を保っている皮脂や保湿成分が流れてしまったり、手が水で濡れたままだと水分が蒸発するときに皮膚の水分も一緒に蒸発してしまうためです。食器洗いのときは、ゴム手袋などを着用して水との接触を防ぐことをおすすめします。

ハンドクリームを塗る

手を洗ったり、食器洗いの後で水分をしっかり拭き取らないでいると、手の必要な水分の蒸発を招いてしまいます。水で濡れた後はしっかり水分を拭き取った上で、コラーゲンやヒアルロン酸入りの保湿クリームを塗るようにしましょう。さらにその上からワセリンなどの油性クリームを塗ると、保湿効果の向上に加えて撥水効果も得られるようになります。

なお、専業主婦や調理師や美容師などの水仕事が多い方以外に、紙類によく触る業種の方も、手の水分や油分が紙に奪われることで乾燥やひび割れが起こりやすい傾向にあります。該当する方も、こまめなハンドクリームでのケアをおすすめします。

外出時は手袋を着用する

寒い季節は、冷たく乾燥した空気に肌が直接触れていると、皮膚の潤いがどんどん奪われてしまいます。外出時は手袋を着用しましょう。

ビタミンCの摂取

あかぎれやひびを防ぐには、体の内側からのケアも欠かせません。しみやたるみ、乾燥などあらゆる肌トラブルに効果的といわれるビタミンCを、食事やサプリメントなどで積極的に摂取しましょう。

おわりに:手袋の着用や手の保湿で、未然にあかぎれ&ひび予防を

ひびやあかぎれは一度できてしまうと、痛みで日常生活に支障が出ることもある厄介な皮膚疾患です。空気が冷たく乾燥している冬場はただでさえできやすいので、手袋の着用やハンドクリームを塗るといった予防策をしっかり行うようにしましょう。

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