記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
手足に切り傷や擦り傷などができてしまったときは、炎症を悪化させないために絆創膏を貼ることが有効です。ただ、この絆創膏選びや貼り方にはポイントや注意点があります。一日も早く痛みとオサラバするために、ぜひ知っておきましょう。
ドラッグストアにはさまざまなタイプの絆創膏が並んでいますが、どれを買っても同じというわけではありません。傷口を塞ぐだけでなく、炎症を早く治めるには、「モイスト・ウンド・ヒーリング」用の絆創膏を選ぶのがおすすめです。市販のものでいうと、BAND-AID® キズパワーパッド™やケアリーヴ™ 治す力™などがこれに該当します。
モイスト・ウンド・ヒーリングは、傷口に傷を治す成分が含まれる体液(滲出液)で覆うことで、傷を修復させる因子を活性化させ、表皮の再生を促進する治療法です。
従来は傷口を乾燥させ、できたかさぶたが自然に剥がれるのを待つ「ドライ・ウンド・ヒーリング(dry wound healing)療法」が一般的でしたが、これには傷跡が残りやすいだけでなく、かさぶたの下にほとんど体液が残らないために傷の治りが遅いという欠点がありました。一方のモイスト・ウンド・ヒーリングは、傷口から得る体液をパッドで保持することで傷の治りを早め、さらに傷口に密着するために神経への刺激が減り、痛みも緩和するというメリットをもちます。
絆創膏を貼る際は、まず以下の手順に従うようにしてください。
そして、以下のことに注意してください。
絆創膏を貼る前に消毒をしてしまうと、傷口を修復するために働く細胞にまでダメージを与え、かえって治りを遅くする恐れがあります。傷口は水道水で洗い流すだけで十分です。
経過観察のため、2~3日に1度は貼り替えるようにしてください。貼り替えるときは、水に浸すと剥がれやすくなります。
指に絆創膏を貼るとき、きつく巻くとうっ血してしまう恐れがあります。斜めにたすきがけするように貼るのがコツです。
なお、指の関節などの曲がる箇所に貼る際は、皮膚を最大限伸ばした状態(皮膚をつっぱらせた状態)で貼ると剥がれにくいのでおすすめです。
絆創膏を2つ重ねて貼ってしまうと、絆創膏がフィットしにくくなるだけでなく、隙間から雑菌が入る恐れもあります。
モイスト・ウンド・ヒーリングは体液を閉じ込めて傷の治りを早くしますが、同時に細菌なども閉じ込めてしまいます。治療上問題ない細菌量であればよいのですが、時に細菌が増えすぎて腫れて痛みがでたり、傷の治りを遅くしたりこともあります。そんなときには皮膚科を受診するようにしてください。
絆創膏なんてどれも同じ…と思いがちですが、種類によって値段や機能は大きく異なります。手足にちょっとした傷ができてしまったときには、モイスト・ウンド・ヒーリングタイプの絆創膏を選び、貼り方にも少し気を配ってみることをおすすめします。
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