赤ちゃんの高熱…もしかしたら細菌性髄膜炎かも?

2017/4/5

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

赤ちゃんが高熱のあと、なかなか熱がひかないときは、髄膜炎や脳炎の可能性があります。なかでも細菌感染による髄膜炎(細菌性髄膜炎)は、致死率が高く、たとえ救命できても重篤な後遺症を残すことがあり、特に赤ちゃんや幼い子どもにとってはあなどれません。ここでは、赤ちゃんと細菌性髄膜炎について解説します。

細菌性髄膜炎とは?

赤ちゃんがかかると怖い病気のひとつ「髄膜炎」は、普通の風邪症状から急変し、水頭症や知的障害、麻痺などの重篤な後遺症を残すことがあります。
日本小児感染症学会によると子どもの髄膜炎は、生後3カ月までは大腸菌などの腸内細菌やレンサ球菌、生後6カ月~6歳未満ではインフルエンザ菌や肺炎球菌が原因の細菌性髄膜炎とされています。

細菌性髄膜炎の症状

風邪のような症状が急にあらわれます。多くの場合、風邪と思って受診が遅れることで発症し、合併症を起こして入院することがあります。重度の場合は死に至る場合があります。
細菌性髄膜炎は、以下のような症状がみられます。
・高熱
・脱水症状
・食欲不振
・過敏症
・眠気
特に赤ちゃんでは、以下のような徴候がみられます。
・黄疸(皮膚が黄色い)
・哺乳困難
・甲高い泣き声
・頭頂部の柔らかい隆起。

細菌性髄膜炎を予防するには

ヒブワクチン

細菌性感染症のほとんどは、ヒブ(ヘモフィルスB型インフルエンザ菌;Hib)によるもので、ヒブ感染症のなかでの最も重い細菌性髄膜炎は0~1歳の赤ちゃんに頻発しています。
赤ちゃんを細菌性髄膜炎から守るヒブワクチンは、日本では2011年に公費助成され、2013年から定期接種とされています。
生後2カ月~6カ月までのあいだに初回接種を開始し、合計4回接種します。ヒブによる細菌性髄膜炎が起こりやすい生後6カ月までに初回接種を3回、1歳で追加接種(1回)を受けます。生後2カ月からは、小児肺炎球菌、B型肝炎などのワクチンの同時接種が可能です。

小児用肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌感染症は、赤ちゃんや高齢者に多くみられ、とりわけ集団保育の乳児の感染率は2~3倍高くなっています。肺炎球菌感染症にかかると肺炎、敗血症、髄膜炎を起こすことがあります。
日本での小児用肺炎球菌ワクチンは、2013年より定期接種となりました。
生後2カ月~6カ月までに初回接種をはじめれば合計4回、生後7カ月~11カ月では3回、1歳台では2回、2歳~10歳未満は1回の接種となっています。

おわりに:赤ちゃんを髄膜炎から守るために

赤ちゃんは、お母さんのおなかから出たとたんにいろいろな細菌の危険に曝されているといえます。細菌感染症による髄膜炎を予防するために定期接種はきちんと受けて、赤ちゃんを守ってあげましょう!

関連記事

この記事に含まれるキーワード

赤ちゃん(207) 高熱(43) 髄膜炎(26) 細菌性髄膜炎(10)