脳卒中を予防するために必要なこと―ライフスタイルの見直し

2017/4/10

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

脳卒中を予防するいちばんの方法は、健康的な食生活や定期的な運動をすること、そして過度な飲酒や喫煙を控えることです。ライフスタイルを見直すことで、アテローム性動脈硬化症や高血圧、コレステロール値の上昇も予防することができます。また、すでに脳卒中を発症している人も、ライフスタイルを見直すと再発のリスクを下げることができます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

健康的な食事

脂肪分や糖分などを多く含む食事ばかり食べ続けると、血圧やコレステロール値を上げるリスクが高くなります。これが脳卒中の発症リスクを高める要因につながります。このようなリスクを下げるためには、新鮮な果物や野菜、低脂肪で食物繊維を多く含む食べ物を中心とする食生活に切り替えることがお勧めです。

また、食事のバランスを保つことも大切です。特定の食品ばかり食べたり、塩分を多く含む加工食品はなるべく控えてください。特に、塩分が多すぎると血圧が上がるため、1日あたりに摂取する塩分は6g以下(小さじ1杯)に抑えましょう。

適度な運動

健康的な食事とともに定期的な運動を行うと、健康的な体重を維持することに役立ちます。定期的な運動はまた、血圧やコレステロール値を下げる効果もあります。

早歩きやサイクリングといった有酸素活動を、少なくとも毎週2時間30分ぐらい行うとよい、と勧められています。このような運動はすべての人に推奨されていますが、すでに脳卒中を患ったことがある人で体に後遺症が残っている場合、リハビリ担当のスタッフと運動計画を立てる必要があります。脳卒中を発症後、数週間から数カ月は運動は難しいかもしれませんが、リハビリに取り組んで体が動くようになってくると、少しずつ運動できるようになります。

禁煙する

タバコは脳卒中のリスクを高めます。喫煙により動脈が狭くなったり、血液を凝固させたりする可能性が高いからです。

禁煙すると、脳卒中のリスクを減らすことができるだけでなく、肺がんや心臓病といった深刻な病気が発症するリスクも小さくなります。また、喫煙歴がどんなに長かったとしても、禁煙直後から体内の修復が始まります。

飲酒量を控える

大量の飲酒は高血圧を引き起こすだけでなく、心房細動(心拍数が不規則になる状態)を招きます(大量に飲酒すると、脳卒中のリスクを3倍以上高めると言われています)。高血圧も、心房細動も、脳卒中のリスクを高める要因につながります。また、アルコールはカロリーが高いため、体重増加の要因にもなります。

脳卒中から完全に回復した人がお酒を飲む場合、推奨されている上限を超えないことが大切です。1週間あたりに飲んでよいお酒の量は、男女とも14単位までとされています。もし、1習慣に14単位以上飲んでいる場合は、飲まない日を3日以上設けてください。また、脳卒中から完全に回復していない場合は、アルコールに敏感に反応しますので極力控えましょう。

数値を記録する

高血圧や高コレステロール値の人など、脳卒中のリスクを高めるといわれている症状を持っている場合、日々の血圧やコレステロール値を記録し、体調維持に役立てることが大切です。日々の健康状態を把握しておくことで、脳卒中の予防につながります。

おわりに:ライフスタイルの見直しを

上記のようなライフスタイルの変化は脳卒中のリスクを下げるのに役立ちますので、できるところから少しずつ取り入れていきましょう。ただ、症状に改善がみられない場合や気になる症状があった場合は、医師の診断を受けたり、必要に応じて治療を行ったりすることをお勧めします。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

禁煙(79) 食事(226) 運動(175) 脳卒中(55) 飲酒量(2)