記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
残尿感や血尿といった尿のトラブルでお困りの場合、その正体はもしかしたら「膀胱炎」かもしれません。膀胱炎にはいくつかの種類があり、それぞれに合った治療が必要になります。
今回は膀胱炎の基本、種類、原因、治療法などをご紹介します。尿のトラブルでお悩みの方は、この記事を解決に役立ててください。
残尿感や血尿といった症状を伴う場合、膀胱炎という病気の可能性があります。まずは膀胱炎の主な症状や種類などを説明するので、該当するものがないかチェックしてみてください。
膀胱炎の主な症状には、頻尿、排尿痛、尿混濁の三つがあり、これらは「急性膀胱炎の三大症状」として知られています。このうち頻尿は初期段階によく見られる症状で、病気が進行するにつれて排尿痛、残尿感、尿混濁、血尿などが現れます。さらに、腎盂腎炎を合併すると発熱や腰痛も伴います。ただし、中には排尿トラブルを伴わない膀胱炎もあります。
膀胱炎とは、膀胱に炎症が起きている病気のことです。膀胱炎には単純性膀胱炎と複雑性膀胱炎、間質性膀胱炎などの種類があり、これらの違いは以下の通りになっています。
膀胱炎の多くは「単純性膀胱炎」であり、尿道から大腸菌などの細菌が入り込み、膀胱内で増殖することで発症します。しかし、中には「複雑性膀胱炎」という、ウイルス感染、排尿障害、前立腺肥大、尿路結石、腫瘍などが原因になっている場合もあります。そのため、医療機関でしっかりと診断を受けて、それぞれの原因に応じた治療を受けることが必要になります。
単純性膀胱炎は主に細菌感染によって起こりますが、通常であれば尿とともに細菌も排出されます。また、細菌が侵入してきても、人間には抵抗力があるので発症しない場合もあります。それでも膀胱炎を発症する場合もあるので、以下ではその原因を確認してみます。
単純性膀胱炎は女性に多い病気であり、この理由は「女性の場合は尿道が短い」からです。実際、男性の尿道は14~18cm程度ですが、女性の場合は3~5cm程度しかありません。そのため、尿道から入ってきた細菌が、すぐに膀胱まで侵入してしまうのです。さらに、女性の場合は尿道が膣や肛門に近いため、細菌に感染しやすいという特徴があります。
膀胱は細菌に対して抵抗力や免疫力を持っていますが、体調を崩していたり、体力が落ちていたりすると膀胱炎にかかりやすいです。とくに、無理なダイエットをしている場合や仕事による疲労・ストレスが重なっている場合は、膀胱炎を発症しやすいので注意しましょう。
そのほかの原因としては、性行為を通じて細菌が侵入してしまったり、長時間お手洗いを我慢してしまったり、ウォシュレットを使いすぎてしまったりすることなども関係しています。さらに、女性の場合は月経前後や閉経後に膀胱炎を起こしやすいので注意が必要です。
膀胱炎が疑われる場合、病院では尿検査や尿培養検査などを行います。また、必要に応じて、超音波検査やCT検査なども実施して、他の病気の有無なども確かめます。その上で検査結果などに応じた治療を行うので、どのような膀胱炎の治療を行うのか確認してみましょう。
単純性膀胱炎と診断が付いた場合は、基本的には抗生物質を使って治療を進めます。重症度によって治療期間は異なりますが、軽症の場合は3日程度、長引く場合は7~10日程度で治療できます。なお、患者さんの自己判断で投薬を中止しないことが重要です。
一方、複雑性膀胱炎と診断が付いた場合は、抗生物質を使いつつ、基礎疾患の治療を行うことになります。なお、基礎疾患を治療しないと再発・再燃してしまう可能性があります。
単純性膀胱炎であれば、膀胱炎の市販薬でも治療できる場合があります。しかし、仮に複雑性膀胱炎だった場合は、市販薬では治療が難しいです。この理由は、複雑性膀胱炎は他の病気などが原因で発症しているため、市販薬では治療できないからです。そのため、膀胱炎を長期化させないためにも、なるべく早めに医療機関を受診するほうがいいでしょう。
残尿感や血尿といった尿のトラブルが現れたら、泌尿器科を受診すると良いでしょう。また、婦人科・産婦人科によっては膀胱炎を診療している場合があるので、女性の方はそちらを受診するのもオススメです。そのまま我慢せずに、早めに適切な治療を受けるようにしてください。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。
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