記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/7/7 記事改定日: 2018/11/6
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
普通なら黄色いはずの尿に、血が混じってしまう「血尿」。非常にびっくりする症状ではありますが、この血尿の原因としては何が考えられるでしょうか?病気の可能性が高いのでしょうか?
血尿とは、血液が混じった尿が出ることです。ただし、血液が混じったからといって、必ず尿の色が赤や茶色に変わるわけではありません。
血尿には、肉眼で見てわかる血尿と肉眼で見てもわからない血尿があり、肉眼で見える場合は「肉眼的血尿」、臨床試験によってしか血液が検知されないものを「顕微鏡的血尿」といいます。
特定の食べ物やリファンピシンなどの特定の薬剤を摂取すると尿の色が変わることもありますが、基本的には健康であれば尿に血液が混じることありません。尿の色の変化に気づいたらすぐに病院を受診しましょう。
血尿の原因は、大きく分けて「腎臓に疾患がある場合」と、「膀胱や尿管など尿の通り道に疾患がある場合」の2種類に分けられます。具体的には、以下の病気によって引き起こされることがあるので注意しましょう。
尿路感染症とは、尿路に細菌が入り込むことで起こる病気です。最も有名なのが膀胱炎で、排尿時に焼けるような痛みをともない、頻尿 、尿意、発熱といった症状が現れます。
腎臓結石によって血尿が出ることがあります。結石によって腎臓から伸びている管をふさぎ、わき腹が激しく痛みます。
尿道炎とは、尿を体外へ運ぶ管(尿道)の炎症です。クラミジアなどの性感染症(STI)によって引き起こされることもあります。
前立腺肥大症は高齢の男性に多い症状で、加齢によるホルモンバランスの変化が原因ともいわれています。膀胱を圧迫して排尿が困難になったり、逆に頻尿になったりします。
膀胱がんによって血尿が出る場合もあります。頻繁な尿意をもよおし、排尿に痛みをともないます。
腎臓がんも血尿の原因のひとつです。わき腹が常に痛くなったり、しこりを感じたりするのが特徴です。
前立腺がんは50歳以上の男性に多い病気ですが、初期にはほとんど自覚症状がありません。ゆっくりとした進行にともない、頻尿・排尿困難といった症状が現れ始めます。
なお、上記のほかにも、血友病などの血液凝固障害、鎌状赤血球症(身体が異常な形をした赤血球を生成してしまう遺伝子疾患)、囊胞腎(たくさんの囊胞が腎臓で発達してしまう遺伝子疾患)といった、深刻な病気が原因の場合もあります。
妊娠すると、大きくなった子宮が膀胱を圧迫するために頻尿気味になり、外出先や仕事中などに尿意を我慢することで膀胱炎を発症しやすくなります。妊娠中は免疫力が低下しやすいため、膀胱炎が短期間で悪化することも考えられます。また、妊娠中は気づかぬ間に水分不足に陥りやすく、尿管結石などを引き起こすことも少なくありません。
これらの病気によって妊娠中は血尿を生じやすい状態となりますが、妊娠自体が直接血尿を引き起こすわけではありません。妊娠中の血尿は生理的なものではなく、妊娠によって尿路系に何らかの病気が引き起こされている可能がありますので、なるべく早く病院を受診するようにしましょう。
また、血尿は不正出血と区別がつきにくいため、排尿時にトイレットペーパーに血が付いたり、便器の水が赤くなっている場合には、すぐに担当医に連絡して指示を仰いで下さい。
特定の食べ物や薬の影響によって尿が変色することもありますが、特に変わったものを摂取していないのに血尿がみられた場合は要注意です。
重大な病気が隠れている可能性があります。もし血尿がみられたら、早めに病院で検査を受けるようにしてください。
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