記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/4/27 記事改定日: 2018/11/6
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
「ストレスや疲労で血尿が出た」という話を聞くことがあると思いますが、本当にストレスがきっかけで血尿が出ることはあるのでしょうか。
「本当の原因」を解説しながら、ストレスと血尿の関係について説明していきます。
ストレスが直接的な原因となって血尿を引き起こすことはありません。しかし、ストレスが原因となって体の免疫力が下がり、膀胱炎や糸球体腎炎などの病気を発症して血尿が見られることはあります。また、慢性腎不全など血尿を引き起こしやすい病気がある人はストレスがかかることによって症状が悪化し、血尿が生じることもあります。
このように、ストレスが血尿を引き起こすことはありませんが、ストレスによって病気になったり病気が悪化することで血尿が生じることもあります。血尿を予防するためにも日頃からしっかり休息を取り、ストレスをため込まない生活を心がけましょう。
膀胱炎とは、膀胱の粘膜が細菌に感染して炎症が起きた状態です。
膀胱炎の原因菌は、およそ80~85%が大腸菌といわれています。これらの原因菌が膀胱に感染する原因としては、長時間排尿を我慢してしまう、陰部を拭く際に菌が入り込んでしまう、性交渉などさまざまなことが考えられますが、実はストレスも原因の1つと言われています。
基本的に、ストレスや疲労、睡眠不足などは体の免疫力を低下させます。普段は膀胱に細菌が侵入しても、免疫機能が感染を予防してくれるのですが、ストレスにより免疫力が低下していると細菌に対して対抗することができず、膀胱炎となってしまうのです。
そして、膀胱炎は、再発する可能性のある病気です。膀胱炎の代表的な症状としては、トイレの回数が多くなる(頻尿)、排尿時の痛み、残尿感などがあります。症状はいずれも軽く、中には自覚症状がない場合もあります。膀胱炎を繰り返す、半年に1回は膀胱炎となるという場合には慢性化している可能性も考えられます。
頻尿以外に膀胱炎の症状が見当たらない場合には、過活動膀胱の可能性も考えられます。
過活動膀胱とは、比較的若い女性に多く見られ、尿が少ししか溜まっていないにもかかわらず、強い尿意を感じたり、トイレまで我慢できずに漏らしてしまう状態のことです。これは、膀胱炎や糖尿病、脳梗塞、骨盤内の手術、強いストレスなどによる交感神経の緊張を受け、脳と膀胱をつなぐ神経伝達が異常をきたし、膀胱の筋肉が自分の意思に関係なく収縮してしまうために起こると考えられています。
過活動膀胱の場合は、膀胱炎のような排尿時の痛みや残尿感、不快感などの症状はなく、20~30分ごとに尿意を生じます。しかし膀胱内には尿が溜まっていないため、トイレに行ってもほとんど排尿されません。尿検査でも混濁が認められることはなく、腹部超音波検査でも子宮や卵巣への異常は認められないことが特徴です。
再発する膀胱炎を治すためには、まず膀胱炎の原因を知る必要があります。基本的には抗生物質で治療を行うものの、原因菌を知らないまま抗生物質を内服していては、効果が得られないだけでなく、耐性がついて抗菌薬が効かなくなってしまうこともあります。このため、再発する膀胱炎を治すためには医療機関へかかり、膀胱炎の原因菌を知る必要があるのです。
なお、膀胱炎のセルフケアの方法としては、菌を増殖させないように洗い流すことが必要です。水分をたくさん摂ってなるべく排尿を促すとともに、疲労やストレスを解消し、免疫力を低下させないようにしましょう。また、陰部が不潔だと菌が尿道から入りやすくなってしまうため、陰部は常に清潔を保つようにしましょう。
膀胱炎以外にも、ストレスが原因で発症・悪化する病気は数多くあり、その中には血尿を引き起こすものもあります。
まず、ストレスは体の免疫力が低下するため、膀胱炎だけでなく腎盂腎炎などの尿路感染症を発症しやすくなることが考えられます。また、糸球体腎炎など慢性腎不全を引き起こす病気はストレスによって悪化しやすいため、血尿を引き起こすことがあります。
ストレスの原因は人それぞれですが、たとえその原因を完全に排除できないとしても、自宅でもストレスを軽減させることはできます。ストレスを減らす方法はさまざまで、入浴や手や足のみの部分浴、アロマオイルなど自分の好きな香りを焚く、お散歩などで身体を動かす、音楽を聴いたり歌を歌う、おいしいものを食べるなどの方法があります。
また、なりたい自分をイメージしたり、今の自分の気持ちを書くといったことも手軽にできるストレス解消法としておすすめです。辛いときはその気持ちを1人で抱え込まずに辛いという気持ちを表出することはストレスを解消するうえで何よりも大切です。
ストレス解消法は1つではありません。その時のストレスの度合いや気分などによって今の自分にピッタリなストレス解消法を見つけて実施し、少しでもストレスを和らげていきましょう。
ストレスによる血尿の多くは病気が原因であり、そのなかでも膀胱炎は身近な病気です。
膀胱炎は菌の感染による炎症ですが、菌が感染しやすい・炎症を起こしやすい環境を自分自身が作り出してしまっている恐れがあります。
ストレスも原因の一つなので、日頃から継続的にストレスを発散していきましょう。
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