記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/12/7
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
食べ物を口から胃へと運ぶ食道は、25cmほどの長さのある消化器官です。
この食道に起こる疾患の1つに、「バレット食道」という病気があるのをご存知でしょうか。
今回はバレット食道という病気について、その特徴や治療法などを解説していきます。
バレット食道は、食道の内側にある粘膜の表面にあたる「扁平上皮(へんぺいじょうひ)」が、「円柱上皮(えんちゅうじょうひ)」に変質してしまう病気です。
円柱上皮とは、食道ではなく胃の粘膜に近い質をもつ組織で、本来なら食道の粘膜上にあるはずのない組織です。
このような食道の粘膜組織の変質は、逆流性食道炎で胃から食道へ繰り返し胃酸が逆流し、食道の粘膜が酸にさらされる機会が増えることが原因で起こると考えられています。
また、欧米ではバレット食道と食道がん発症リスクとの因果関係が確認されており、バレット食道から食道がんを発症した場合の予後が良好ではないとの報告もあります。
日本ではまだ明確な因果関係が確認されていないものの、バレット食道が食道がんの発症リスクを高める重大な因子として、注目されています。
バレット食道は食道の粘膜組織の変質なので、病気自体が明確な症状を表すことはほとんどありません。
ただし、バレット食道の原因となる逆流性食道炎によって、バレット食道の患者が以下のような症状を感じるケースは多いです。
なお、高齢者が発症した場合には、上記にある喘鳴(ぜいめい)の症状から、肺炎を起こすケースも多くなります。
問診から逆流性食道炎の疑いがあり、内視鏡検査でバレット食道が見つかった場合には、逆流性食道炎を改善する治療をすすめていくことになります。
現時点では、バレット食道そのものに対して有効な治療法が確立されていないため、原因となる酸の逆流と組織の変質を食い止める治療をするしかないのです。
具体的には、以下の薬を内服して胃酸の分泌を抑える治療法がとられます。
なお、前述したようにバレット食道は、食道がんを合併しやすいと病気です。
このため、薬を服用して症状を観察するとともに定期的な内視鏡検査を行い、バレット食道の状態と、食道がんへの変質がないかもチェックし続ける必要があります。
バレット食道の治療は投薬による逆流性食道炎の治療と、内視鏡による定期的な観察が、現時点での最も有効な治療法と考えられています。
バレット食道は、食道内部の扁平上皮が、逆流してきた胃酸の影響で円柱上皮という組織に変質する病気です。がん化することもあり、食道がんの発症リスクを高める病気として知られています。逆流性食道炎が原因で発症し、バレット食道特有の症状はないため、治療も逆流性食道炎を改善するための投薬がメインとなります。治療中は、がん化しないよう定期的に内視鏡検査を受ける必要もありますので、医師の指示のもと治療・観察を続けてください。
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