記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/12/2
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
胸から腹部にかけて存在する食道の病気の一種に、食道裂孔(しょくどうれっこう)ヘルニアがあります。
食道裂孔ヘルニアはどのような経緯で発症し、症状が現れる病気なのでしょうか。
今回は食道裂孔ヘルニアについて、病気の特徴や治療法を解説していきます。
食道裂孔ヘルニアとは、人体の胸部から腹部までを覆っている横隔膜に空いた食道が通る穴(食道裂孔)から、胃の一部が胸の方へ出てきてしまう病気です。
本来、横隔膜と食道は食道と胃のつなぎ目である噴門部(ふんもんぶ)が、ぴったりと食道裂孔にはまるようなかたちで配置されています。
しかし食道裂孔ヘルニアになると、横隔膜を超えて噴門部や胃の一部が、腹部から胸部の方へと出てきてしまうのです。
胃の一部の出方により、食道裂孔ヘルニアは以下の3種類に分けられます。
食道裂孔ヘルニアになっても、ほとんどは胃の突出も小さく自覚症状もありません。
症状が現れたとしても、以下のような症状が軽微に現れるだけだといわれています。
食道裂孔ヘルニアを発症しても、特に症状がでていなければ、治療の必要性もありません。
ただし、食道裂孔ヘルニアとあわせて上記に挙げたような逆流性食道炎の症状がある場合は、胃酸分泌を抑える薬を服用して治療することもあります。
食道裂孔ヘルニアになる人のうち、50%程度の人に併発が見られる逆流性食道炎の治療には、プロトンポンプ阻害薬などの胃薬の使用が効果的です。
また、日ごろから衣服による腹部の締め付けを避ける、食事は腹八分目を意識する、寝るときに頭を高くするなどの対策を行うのも、症状改善に役立ちます。
なお、食道裂孔ヘルニアで胸の痛みを伴うのは嵌頓(かんとん)と呼ばれる重篤な状態で、緊急手術による治療が必要になる場合があります。
食道裂孔ヘルニアを手術は、患者の状態によって以下いずれかの方法を選択し治療します。
いずれの術式でも、近年では回復ではなく身体への負担が少ない腹腔鏡手術で、おなかに空けて小さな穴から内視鏡や器具を入れて手術と行うのが一般的です。
ただし、胃軸捻転などを併発している場合は、開腹での手術が必要になることもあります。
どの術式を使うかや、手術の方法は患者の状態や医師の判断によって変わってきますので、詳しくは主治医に確認してください。
食道裂孔ヘルニアは、食道が通るために横隔膜に空いている穴から、胃の一部が胸の方へ飛び出した状態です。特に症状がないなら放っておいても問題ありませんが、逆流性食道炎の症状が出るようなら胃酸の分泌を抑える薬で治療します。また、胸に痛みが出る嵌頓状態に陥った場合は、胃をおなかの方へ戻し出てこないようにするための手術が必要になる場合もあります。気になる症状がある場合は、手術が必要になる前に医師に相談しましょう。
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