胆嚢の病気になると痛くなる場所はどこ?どんな病気の可能性がある?

2018/12/9

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ふだんは小さくて目立たない「胆嚢」が、病気になるとどんなところに痛みを感じるようになるのでしょうか。胆嚢の病気の種類ごとに、症状を解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

胆嚢ってどのあたりにあるの?

食事で摂取した脂肪分を分解する「胆汁」は肝臓で生成され、必要なときに必要な量の胆汁が十二指腸へ送られます。このメカニズムで重要な役割を持つのが「胆嚢」と呼ばれる臓器です。

胆嚢はほかの臓器で隠れた場所にあり、人体模型を一見してもすぐに発見することは難しい臓器です。お腹の右側のやや上、肝臓の奥に位置し、十二指腸がそばを通っています。注意して見てみると、小さな袋状の胆嚢が見えます。
体内で最も大きい臓器である肝臓に対して、胆嚢はおよそ長さ7~10cm、幅4cmほどで洋梨に似たかたちをしているのが特徴です。肝臓で生成された胆汁のうち30~60mLを胆嚢で貯えておくことができます。胆嚢と肝臓は、肝管や胆のう管でつながっていてとても近い距離にあります。

胆嚢が痛くなる胆石症・急性胆嚢炎ってどんな病気?

胆嚢が罹る病気として頻度が高いものに「胆石症」「急性胆嚢炎」があります。

胆石症

症状
胆汁の通り道である胆道に胆石(胆汁の成分が固まった結石)ができ、食後に右の肋骨周辺に痛みが生じます。ただし痛みがみられない場合が多く、自覚症状はほぼないともいえます。胆石ができた場所によって呼び方は変わります。

  • 胆嚢の中にできたら、胆嚢結石
  • 十二指腸へと続く総胆管にできたら、総胆管結石
  • 肝臓の中の胆管にできたら、肝内結石
原因
脂質の摂り過ぎによるコレステロールの上昇や細菌感染が考えられます。
治療法
痛みが小さいなら服薬治療で胆石を溶かします。痛みが大きい場合は、服薬治療で痛みを抑えながら、胆石を取り出す手術を検討します。胆石を原因とする腹痛や発熱などの症状があらわれると「胆嚢炎」を発症している可能性が高いです。

急性胆嚢炎

症状
胆嚢に炎症が生じ、胆嚢のむくみや痛みが発生します。初期症状はお腹の上あたりにあらわれる不快感や鈍痛です。悪化すると腹部右側に激しい痛みがみられます。
原因
胆嚢にできた結石が胆嚢管をつまらせるためだと考えられます。そのほか胆嚢の周囲に位置する臓器の炎症による影響、腫瘍などからの圧迫、胆管の奇形の可能性があります。胆汁の細菌感染も原因として考えられます。
治療法
初期症状には服薬治療を行いますが、症状が進行すると胆嚢に壊死が発生するおそれがあるため、なんらかの症状がみられた場合は手術を必要とするケースが少なくありません。

胆嚢の病気になると痛くなる場所は?

自覚症状が目立たない胆嚢の病気ですが、悪化する前の早期発見・早期治療は必須です。胆嚢に異変が生じていることに気づくためにも、どんなサインに注意すればいいかをご紹介します。

胆嚢からの病気のサイン

  • 右側のみぞおちの痛み(右の肋骨のそば)
  • みぞおちの痛み
  • 食後の吐き気や不快感
  • 発熱

上記のほか、胆汁が流れる胆管に炎症が生じる「急性胆管炎」では、発熱や黄疸、右肋骨周辺の痛みが発生します。「胆嚢がん」を発症すると痛みや発熱だけでなく、だるさ、黄疸、体重減少などがみられます。
腹部の痛みはさまざまな要因が考えられるため、自分で病気の特定をするのは難しいでしょう。気になる症状があらわれたら消化器内科などの医師に早めに相談してください。

おわりに:胆嚢からの要注意サインはみぞおちや肋骨周辺の痛み

小さいながらも重要な働きを持ち、縁の下の力持ちといえる胆嚢は、不調なときでもあまり目立たないのが特徴です。お腹の右側や肋骨、みぞおちの痛みを感じたら胆嚢に病気の疑いがあります。かかりつけ医や消化器内科で検査をし、異変を放っておかないようにしましょう。

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