記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
赤ちゃんを空中に投げたり、頻繁にひっくり返したりしていませんか?両親の手を借りてアクロバットのような体験をすると、赤ちゃんは楽しくて大喜びするかもしれません。でも、こうした遊びが、場合によっては赤ちゃんに取り返しのつかない後遺症を与えてしまうことも。ここでは、赤ちゃんを揺さぶりすぎが原因で起こる症状「揺さぶられっこ症候群」についてご紹介します。
「揺さぶられっ子症候群」とは、赤ちゃんを激しく振り回したり、頭部を激しく動かしたりすることで、脳が頭蓋骨にぶつかり、腫れ、出血を引き起こす症状です。場合によっては、視神経や視力の障害を引き起こしたり、重傷を負ったり、命を落とす可能性もあります。
赤ちゃんの頭は体に比例して重くて、頚部(けいぶ・首の部分)の筋肉がまだ発達しきっていないため、首で頭を十分に支えることができません。そして、内臓や脳、そしてこれらを包む筋肉もまだ発達しきっていないため、このような症状が起こります。
過去に激しく揺さぶったり、振り回していたとしても、現時点で特に症状が出ていなければ、心配する必要はありません。ただ、まだ目に見える症状が現れていないだけ、とも考えられるので、気がかりな場合や、急に頭痛や吐き気を訴えるようなことがあれば病院で診てもらいましょう。
赤ちゃんの脳や首は成長の途上にあります。頭や首を揺さぶったり、上下に跳ね返ったりする遊びは絶対にやめてください。たとえ赤ちゃんが喜んだとしても、赤ちゃんを空中にほうり投げてキャッチするような遊び(高い高い)は絶対にしてはいけません。
また、赤ちゃんをおぶったまま走ることもやめましょう。赤ちゃんの頭がムチ打ち状態になる恐れがあります。赤ちゃんと一緒に行動するときは、できれば時間に余裕を持って動く必要がありますが、どうしても走らなければならないときは、首を締め付けないよう気をつけつつ頭を固定し、ベビーカーに乗せて走るようにしてください。
遊ぶときも、叱るときも、絶対に赤ちゃんを強く揺らぶらさないようにしましょう。家族や友人など、ほかの人にも揺さぶらせないように注意してください。