声が出ないのはどうやって治せばいい?治し方をご紹介!

2018/12/11

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

私たちがコミュニケーションをとるうえで、声はとても大切な役割を果たします。声が急に出なくなると、意思を伝えたり指示をしたり、感情をあらわすのでさえ難しくなってしまいます。
声が出なくなる原因や病気、その症状や対策について学んでいきましょう。

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声が出ない…喋らなければ治る?

声を出す部分は、声帯を中心とした咽頭と呼ばれる部分です。声がかすれたり出なかったりするようになったら、この部分に何かしらの異常が発生していると考えられます。
とくに高音の声は低音よりも喉に負担をかけやすく、まず高音が出しにくくなるのが一般的です。

ほとんどの場合、喉の使いすぎによる声帯の炎症が疑われますが、このようなときには声を出すのをやめましょう。無理に声を出そうとすると喉に余計な負担をかけ、痛みを感じるようになります。

ほかにも、声帯の炎症の原因には喫煙があげられ、タバコは少量でも声帯に刺激を与えます。また、過剰にアルコールを摂取すると、血管拡張作用で声帯が浮腫みや腫れを引き起こします。
声が出なくなったら、喉を休ませるためになるべく喋るのをやめて、タバコやアルコールなどの刺激を与えないようにしましょう。

喉を乾燥から守ることも大切!

乾燥も喉の不調を引き起こす原因です。乾いた空気の冬の時期や、冷房を使う夏の室内も乾燥しています。喉を快適な状態にするため、以下のような方法で乾燥を防ぎましょう。

加湿する

加湿器は、室内での乾燥予防に効果的です。洗濯物を部屋干しする形でも加湿器の代わりになります。部屋の温度が快適でも、湿度にも注意して、喉に快適な環境を作りましょう。

ホテルなどの外泊先で加湿器がない場合には、お風呂にお湯をためて浴室のドアを開けたままにしておくと良いでしょう。枕元に濡れたタオルを置くのもおすすめです。

寝るときにマスクをする

寝ているときに口を開けて呼吸をしていると、喉が乾燥します。意識して治すのは難しいため、マスクで喉の潤いを保ちましょう。

また、口呼吸では鼻呼吸ほど異物を取り除けないため、鼻で排除されるべき異物まで喉に入ってくると感染症を引き起こしやすくなります。細菌に感染すると、さらに声が出なくなる可能性もあるので、マスクを着用しながら眠りましょう。

水分補給をする

乾燥しにくい状態でいることも大切ですが、水分補給をして体の内側から乾燥対策するのも効果的です。
冬に乾燥対策をする人は多いと思いますが、暑い夏も汗をかいて体の水分が不足しやすく、喉の乾燥に繋がります。

冷房の効いた環境にいる機会も増えるため、夏でも乾燥対策はかかせません。冷たい飲み物を一気飲みするのではなく、喉を潤すようにゆっくりと飲みましょう。

声が出ないのは風邪以外の病気が原因のことも…

風邪などの思い当たる症状がなく、声が出しにくかったり出なかったりする場合には、病気が隠れている可能性があります。

声帯ポリープ

声を使う職業の方に多く見られ、声の使いすぎや炎症によって声帯の粘膜が充血を起こし、それでも喉を使い続けると血腫ができます。

この状態できちんと喉を労われば血腫は治まりますが、悪化するとポリープになります。
息が漏れる感じがしたり、発声が途中で止まったり、まれに呼吸困難に陥ることもあり、多くは良性疾患ですが、ごくまれにがんと診断されることもあります。

反回神経麻痺

反回神経とは、喉周辺をコントロールしている神経です。ここが何かしらのダメージを受けると声のかすれが起こったり、食べ物が気管に入ってしまう誤嚥(ごえん)が起こりやすくなったりします。

腫瘍やがん、がんのリンパ節転移など、重大な病気である可能性も考えられるため、原因を調べて早期に治療を開始する必要があります。

声帯萎縮

声帯の容積が減少することで、声が出しにくくなったり、発声が弱々しくなったりします。
原因は声帯麻痺や、左右の声帯に溝ができる声帯溝症、加齢によって声帯が委縮することがあげられます。

咽頭がん

飲酒や喫煙との関係性が高く、ヘビースモーカーの方は注意が必要な病気です。声のかすれが2週間以上続いている場合、咽頭内視鏡を使って声帯を観察する必要があります。

咽頭がんの初期症状は声のかすれですが、進行すると飲食物を飲み込む時や呼吸時に違和感があります。また、こうした症状がないままリンパに転移し、首にしこりができてから発見されることもあります。

おわりに:喉のケアは乾燥対策が必須!ただし、違和感があるときは早めに病院へ

喉のケアは意外と見落としがちなものです。声が出なくなってからではなく、加湿器の使用や寝る前のマスクなど、生活習慣のひとつとして喉を乾燥から守るケアを取り入れていきましょう。何か異常を感じられたらすぐに医療機関を受診することも大切です。

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