しもやけってどんな症状? 足のかゆみはしもやけのサインかも

2019/1/23

谷口 隆志 先生

記事監修医師

川崎たにぐち皮膚科、院長

谷口 隆志 先生

寒さを感じる季節になると、発症することのあるしもやけ。手足のむずがゆさに悩まされたことのある人も多いと思います。今回はしもやけの症状や発症のメカニズム、しもやけと間違われやすい病気について詳しく説明していきます。

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しもやけとは? どんな症状が出るの?

しもやけは、寒さをきっかけにして血行が悪くなることで起きる皮膚症状です。皮膚の赤みや腫れ、水ぶくれやかゆみなどの症状が起こります。

私たちの体は、周りの気温によって適切な体温に調節する働きが備わっています。寒さを感じると血管を縮めて血液をあまり流さないようにし、皮膚の表面温度を低く保って体内の熱を外に逃がさないようにしています。
反対に暑いときでは、血管を拡張させて血液を多く流し、皮膚から熱を外に逃がしたり、汗をかいたりして、熱を外に逃がしています。この寒さと暑さの刺激が度々繰り返されると、血液の循環に障害が起こるのです。

とくに手足などの抹消の血管では、血行のコントロールがしにくく、しもやけになりやすく、また、頬や鼻先、耳たぶなどの肌が露出している部分も、しもやけになりやすいです。

しもやけの発症には温度差が重要で、1日の気温差が10℃以上になると発症しやすく、冬の終わりから春先にかけて最も起こりやすいです。
ほかにも、汗をかいた後や水仕事をした後に皮膚を濡れたままの状態にしておくと、水分を蒸発させようとする働きの際に、急激に皮膚の温度が下がるため、発症しやすくなります。

しもやけの症状は大きく分けると2つに分類されます。

たるがき型

しもやけを発症している手足全体が、熟れた柿のように腫れた状態です。この症状は幼児に多く見られ、腫れている部分はゴムのように固くなります。

多型滲出性紅斑型(たけいしんしゅつせいこうはんがた)

大小さまざまなブツブツとした紅斑が、手足の指や足の裏、耳たぶや鼻、頬にあらわれます。ときにはお尻や太ももにできることもあります。

足のかゆみはしもやけのサイン!?

しもやけを発症していても、しもやけに気づかず、重症化させてしまっていることも珍しくありません。
とくに足にしもやけができると、かゆみの症状によって水虫と勘違いされやすく、間違ったケアによって症状を悪化させてしまうケースがあります。

水虫の場合、白癬菌(はくせんきん)と呼ばれるカビの一種が、皮膚の角質に入り込んで増殖し、カビを排除しようとする免疫の反応で炎症が起きてかゆみを引き起こします。炎症はカビのいる皮膚の表面で起こっています。皮が剥けたり水ぶくれができたり、角質が厚くなってガサガサするといった特徴があります。

一方、足にできたしもやけでは、細菌などの感染によるものではなく、寒暖差が原因で血行不良によって炎症が起こるせいでかゆみがあらわれます。血管が原因となって炎症が皮膚の中から起こりますので、指が赤紫に腫れたりしますし、寒いところから暖かいところに行くと症状が悪くなってかゆみが増したりします。

靴などによって長時間足を締め付けた状態でいることも、血行障害が起こりやすいです。また、雨や雪で靴や靴下が濡れた状態を放っておくと、濡れた足が急に冷えてしもやけになりやすいです。

何度も繰り返すしもやけは「エリテマトーデス」の可能性も

しもやけを繰り返していたり症状が長く続いたりしている場合は、しもやけの皮膚症状に似た他の病気が隠れている可能性があります。

この病気のひとつにエリテマトーデスというものがあり、皮膚症状のみではしもやけとの区別が難しいです。

エリテマトーデスは膠原病のひとつで、本来は細菌やウイルスから体を守るために働く免疫機能が、何らかの原因で自分の細胞に対する抗体を作ってしまい、自分で自分を攻撃してしまう病気(自己免疫疾患)です。
発症率は1万人に1人くらいで、20~40代の女性に多く、患者の男女比は男性よりも女性の方が圧倒的に多いです。

症状には発熱や関節の痛み、食欲不振や体重減少、皮膚症状があり、眼、心臓、肺、胃や腸などの消化管、肝臓、膀胱などに症状が出る人もいますが、症状はさまざまで、しもやけといった皮膚症状をきっかけにエリテマトーデスがわかる人も少なくありません。

血液検査や尿検査、胸部レントゲンや心電図などを用いて全身の状態を調べれば診断可能なので、しもやけを繰り返していると感じたら、一度医療機関で検査を受けてみましょう。

おわりに:しもやけは発症予防も重要

寒暖差による血行障害で起こるしもやけでは、発症予防も重要です。寒い日の外出時には、しもやけが起こりやすい箇所を温めるようにしたり、皮膚が濡れたらそのままにしないようにしたりしましょう。また、しもやけになりやすい人は、可能な限り寒い場所にいる時間を減らすことも大事です。

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