気管・気管支軟化症ってどんな病気?どんな検査で見つかるの?

2018/12/16

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

気管・気管支軟化症とは、気道が弱いことが原因で、息を吐くときに咳やヒューヒューといった音が出てしまう病気です。この記事では、気管・気管支軟化症の症状や治療法などを解説します。

気管・気管支軟化症ってどんな病気?

気管・気管支軟化症とは、気道が弱いため、息を吸うときにはある程度内腔が保たれるものの、息を吐くときに気道内腔を保持できないため、さまざまな症状が生じる閉塞性気道病変のことです。「気管や気管支の内腔が保たれず、虚脱(扁平化)し、閉塞症状をきたすもの」と定義されています。

気管・気管支は馬蹄形の軟骨からなる軟骨部と、薄い平滑筋が横走する膜性部で構成されています。通常、軟骨部と膜性部の比率は 4~5:1 程度になっていますが、この比率が大きくなってしまうと気道が弱くなってしまうのです。

原因として、気管支内腔径が先天的に細い場合、外部(主に大動脈)からの圧迫を受けている場合、気管壁を保持している気管軟骨が構造的に欠陥がある場合、大血管や腫瘍などによる外部からの圧迫が原因である場合などが考えられています。特に、先天性食道閉鎖症や気管食道瘻に合併するものは、最後の2つが絡んでいる可能性があります。

どんな症状が出てくるの?

気管・気管支軟化症の症状として、チアノーゼ(皮膚や粘膜が青もしくは紫にみえる状態)、特に息を吸うときに聞かれる喘鳴、犬が吠えているような特徴的な咳、呼吸器感染などがみられます。特に、呼吸器感染症は、気道が狭くなって分泌物がたまりやすくなるため、繰り返すことが多いといわれています。

重症になると、回復が難しい無呼吸、チアノーゼ発作がみられる Dying spell があります。Dying spell になると息を吐くことができず、呼吸停止や心停止に陥って通常の蘇生行為では回復が難しいことも多くなります。

気管・気管支軟化症かどうかはどんな検査でわかるの?

胸部X線検査で診ることもできますが、乳幼児の場合は胸部X線での気管支径の推定が難しかったり、偽陽性がみられることがあるため、最終的な判断は安静時の気管の内径の変化を調べられるシネトラキオグラフィーや内視鏡で行います

自発的に呼吸している状態で気管支鏡を挿入し、狭窄の部位、程度、範囲、呼吸性の変動の有無を診断します。内視鏡検査が難しい場合は、CT・MRIにて狭窄の部位、程度、範囲を確認します。気管の外からの圧迫が疑われるときは,造影CTや大動脈造影を行うこともあります。

気管・気管支軟化症はどうやって治すの?

気管・気管支軟化症の治療法として、high PEEP 療法などの呼吸管理による保存療法、大動脈前方固定術、外ステント術、内ステント術などがあり、病状によってこれらを組み合わせて治療します。

high PEEP 療法

人工呼吸器でPEEP(呼気終末陽圧)をかけることで、息を吐くときの気道の虚脱(扁平化)を防ぎ、呼吸を維持する方法です。安静になれず、high PEEP のみでは十分な効果の得られない場合には、鎮静薬などを使用することもあります。少ない侵襲で気道を保ち、気道を開いたまま成長させることで、最終的には治すこともできますが、長期間の人工呼吸器、もしくは鎮静薬による鎮静管理が必要となるデメリットもあります。

大動脈胸骨固定術

大動脈を前方に引っぱって胸骨に固定することで、大動脈と結合組織でつながっている気管も前方へ引っぱられ、気管の虚脱(扁平化)を防ぐことを目指す治療法です。範囲の狭い、限られた場所にできた気管軟化症には有効ですが、範囲の広い場合や、気管支軟化症には効果が十分でない場合が多いデメリットがあります。

外ステント術

保存的管理が難しい気管・気管支軟化症に対し、現時点で最も効果の高いと考えられている治療法です。気管支外壁を人工血管に固定し、内腔を拡げます。ただ、病変が肺内気管支や胸腔外の気管へ及んでいる場合、あまり効果はみられません。

内ステント術

現段階では保険適用外のため、ほかの治療法が選択できる場合には行われず、内ステント術以外の選択が困難な場合に限って行われます。

また、気管・気管支軟化症の原因が異常血管などによる外部からの圧迫である場合、これらの異常血管を手術で取り除くことが最初に選択されます。ただし、外部からの気道圧迫の原因を取り除いても気道そのものがすでに変形している場合や、外部からの圧迫ではなく、気道そのものに病変を持っている場合は、気道そのものを治す必要があります。

おわりに:気管・気管支軟化症は命に危険が及ぶ可能性も!早めの治療が肝心

気管・気管支軟化症は、場合によっては呼吸困難に陥って命に危険が及ぶこともあります。内視鏡検査などで検査すれば病状がわかるので、気になる症状がみられたら早めに病院へ行き、治療を受けましょう。

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