記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
しもやけの薬、おすすめの市販薬は？
2019/1/30
凍瘡（とうそう）とも呼ばれ、寒さで手足の先端が赤く腫れたり、かゆみをともなうこともある「しもやけ」の症状。毎年冬になると悩まされる、という人も多いのではないでしょうか。
今回はしもやけに効く市販薬について、選ぶときに注目すべき含有成分やおすすめの塗り薬、病院で治療を受けるべき場合などを解説していきます。
しもやけの市販薬を選ぶときは、この成分に注目！
手指の先や足先を中心に、寒さで皮膚が赤く腫れあがり、痛みやかゆみを伴うようになるしもやけの改善に効くのは、以下のような成分を含む市販薬です。
皮膚の炎症を鎮める作用のあるもの
- 抗炎症成分
- グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ニカリウム など
- ステロイド系成分
- ヒドロコルチゾン酢酸エステル、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル など
かゆみを抑える作用のあるもの
- 鎮痒（ちんよう）成分
- クロタミトン など
- 抗ヒスタミン成分
- ジフェンヒドラミン塩酸塩 など
血流を改善するもの
- ビタミンE
- トコフェロール酢酸エステル など
損傷した皮膚などの組織修復を助けるもの
- 組織修復成分
- アラントイン など
殺菌作用のあるもの
- 殺菌成分
- イソプロピルメチルフェノール など
しもやけを治すための市販薬を選ぶときは、強く現れている症状にあわせて、それぞれの症状緩和に効果的な成分を多く含む薬を選ぶよう心がけると良いでしょう。
しもやけの市販薬、塗り薬でおすすめのものは？
しもやけに効果的な塗り薬タイプの市販薬の代表格に、「HPクリーム」と「ユースキン®A」が挙げられます。
HPクリームとユースキン®A、それぞれの特徴は以下の通りです。
HPクリーム
- 保湿と血行促進作用のあるヘパリン類似物質を含み、しもやけによる皮膚の損傷やひび割れ、手荒れなどに効果的なクリームタイプの塗り薬。
- ハンドクリームのようにのびやすく、患部のマッサージに適した柔らかさがある。
ユースキン®A
- ビタミンB2を主成分に、血流改善効果のあるビタミンE酢酸エステルの他、消炎成分のグリチルレチン酸、保湿成分などのグリセリンを含むクリームタイプの塗り薬。
- ひび、あかぎれ、しもやけに効果的なビタミン系クリームと標榜している。
しもやけには市販の漢方もおすすめ
塗り薬の他にしもやけにおすすめの市販薬としては、漢方薬が挙げられます。
特に以下のような成分・効能を持つ「当帰四逆加呉茱萸生姜湯（とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう）」は、しもやけ治療のための内服薬としておすすめです。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯に含まれている生薬成分
当期（とうき）、木通（もくつう）、呉茱萸（ごしゅゆ）、桂皮（けいひ）、細辛（さいしん）、大棗（たいそう）、芍薬（しゃくやく）、甘草（かんぞう）、生姜（しょうきょう）
当帰四逆加呉茱萸生姜湯に期待できる効果
手足などの末梢を中心に、熱を作って内部から体を温めるのを助け、しもやけの原因となる末端の冷えや、全身的な冷え性を改善すると言われています。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯を内服が向いている人の特徴
- 冷え性気味だが、手足や下半身の冷えが特にひどい
- 冷えると、冷えたところからジンジンとした痛みを感じしもやけになりやすい
- 冷房が当たる場所にいると、だんだん気分が悪くなってくる
- 普段からあまり汗をかかず、基本的に寒いのは苦手
- 冷えているときはおなかが冷え、痛くなりやすい
東洋医学で冷えは、血と気が一体となって流れず、不足して起こると考えられています。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、血と気の流れを改善して体全体をあたため、手足や末端の冷えやそのための症状を改善するとされている漢方薬なのです。
市販薬で改善しないしもやけは病院へ
しもやけで生じるような末端のかゆみや痛み、腫れ、赤みは水虫などの皮膚疾患のほか、以下のような膠原病や難病の症状として現れることもあります。
- 全身性エリテマトーデス
- 凍瘡状狼瘡（とうそうじょうろうそう）
- 皮膚筋炎
普通のしもやけであれば、先述したような市販薬を3～4日連続して塗ったり、服用することで症状は改善するものです。このため、3～4日続けて市販薬を使っても症状が改善しないときは、市販薬では治療が不十分だったり、しもやけ以外の皮膚疾患・膠原病・難病による皮膚症状も考えた方が良いでしょう。
仮に膠原病などであった場合には、一刻も早く専門的な治療を開始する必要がありますので、長引くようならすぐに病院を受診してくださいね。
おわりに：しもやけに有効な市販薬はいろいろ。ただ、治らない場合は病院へ
軽度なしもやけであれば、市販されている抗炎症・殺菌・保湿・血流促進成分配合の塗り薬や、内服薬で治すことができます。塗り薬ならHPクリーム、ユースキン®A、内服薬なら漢方薬の当帰四逆加呉茱萸生姜湯などが良いでしょう。ただし、市販薬を4日以上続けて使用しても治らない場合は、治療が市販薬では不十分だったり、あるいはしもやけではなく重大な病気のサインかもしれません。あまり長引くようなら、早めに皮膚科を受診してください。
この記事の続きはこちら
