記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
秋から冬にかけての乾燥する季節になると、角質の多いかかとや足裏が硬くガサガサになってしまい、毎年悩むという女性は多いのではないでしょうか。ストッキングや靴の着脱にも不便だし、足のガサガサは早く治しておきたいですよね。
今回は、乾燥で足裏やかかとがガサガサになってしまう原因や、早く治してガサガサにしないためのポイントを解説していきます。
通常、皮膚は角質細胞間の水分や毛穴にある皮脂腺から分泌される皮脂によって保湿され、適度な水分量と滑らかな肌状態を保っています。しかし、足の裏はもともと毛がないために皮脂腺がなく、冬の乾燥した空気と暖房器具によって肌の水分が逃げやすく、乾燥しやすくなるのです。
乾燥に伴い、足の裏周辺に起こる肌トラブルには「乾燥」と「角化」の2つがあります。
それぞれの特徴的な症状は、以下の通りです。
乾燥と角化は見た目と手触りから見分けることができ、それぞれ適切な治療・ケア方法が異なる乾燥症状なのです。
角質が溜まって硬くなり、角化してしまった足裏やかかとのケア方法は、角質の硬さによって適切に変えて行いましょう。
たとえば、角化したところが押して弾力を感じる程度に柔らかい場合、尿素配合の保湿クリームを塗りこんで少しずつ柔らかくしていく方法が効果的です。一方、ほかの皮膚と比べて少し硬い、弾力がない程度に角化している部分には、角質ケア用のやすりや軽石・スクラブなどで角質をこすり落とし、保湿クリームを塗る方法がおすすめです。
指で叩くと音がするほど硬く、何層にも角質が溜まって角化した部分は、入浴で十分に柔らかくしてから軽石でこするか、電動の角質削りで角質を除去しましょう。
なお、いずれの角質ケアも、やり過ぎるとケガや角化を悪化させる原因となってしまいます。角質ケアの頻度はできれば2週間に1回、多くても1週間に1回程度にして、角質を削るときも皮膚を傷つけないよう少しずつ行うようにしてくださいね。また、乾燥は角化を悪くしますので、しっかり保湿するのはとても大切です。
足裏やかかとの症状が角化ではなく乾燥だけの場合は、症状にあわせた保湿ケアが改善のカギとなります。
粉ふきや軽いかゆみといった軽度の乾燥症状には化粧水タイプ、ひび割れや皮のめくれといった重症の場合はクリームやオイルタイプの薬剤で保湿ケアを行ってください。なお、保湿クリームは1回の塗布あたり指の先から第一関節まで伸ばした量が最適ですので、入浴後を中心に1日に数回、マッサージしながら患部に塗ると良いとされます。
また、睡眠中を含めて普段から靴下やストッキングを履くようにすると、皮脂腺がなく汗腺の多い足の乾燥を防ぐことができるので、有効な乾燥ケアとなります。
水虫は白癬菌(はくせんきん)という細菌が皮膚の角質層に入り込み、増殖することで主に足の皮膚をただれさせたり、水疱を作ったり、乾燥した状態になる皮膚疾患です。
一般的には男性がかかりやすく、足指の間がじゅくじゅくになるというイメージの強い水虫ですが、近年ではカサカサ水虫を発症する女性も増えているといわれています。
足裏やかかとの乾燥・ガサガサに悩む女性が、前項までに紹介した方法でケアをしても一向に改善しない場合は、乾燥ではなく水虫による症状かもしれません。その場合は水虫にかかっていないか、皮膚科の病院できちんと診てもらってくださいね。
足の裏やかかとのガサガサは、乾燥した空気の影響で起こる乾燥肌や角化の症状です。適切なケア方法は、肌が乾燥または角化のどちらで損傷しているのか、どの程度の症状が出ているかによっても変わってきますが、溜まった角質の除去と患部のこまめな保湿が基本となります。ただ、適切な角質除去と保湿ケアを続けても症状が改善しないなら水虫の可能性もありますし、靴の臭いの原因にもなりますので、早めに皮膚科を受診しましょう。
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