ニットのチクチク、ヒートインナーでのかゆみ、なんとかしたい! 皮膚科医に対策を聞いてみた

2018/12/7

谷口 隆志 先生

記事監修医師

国際医療福祉大学医学部、皮膚科

谷口 隆志 先生

「ニットを着ると、肌がチクチクしてかゆい!」「ヒートインナーを着続けていたら、肌がガサガサになってしまった…」――そんな冬特有の肌トラブルでお悩みではありませんか?

今回は皮膚科医・谷口隆志先生に、これらの現象が起こる原因や有効な対策、ニットやインナー選びのコツについて、教えていただきました。

ニットでチクチクするのは素材のせい? それともアレルギー?

ニットを着てからしばらく経つとチクチクし始めて、肌をかいてしまいます…。これって、ニットの素材のせいでしょうか?

「素材というか、繊維の太さが刺激となってチクチクすることはあると思います。一般的には30ミクロン以上の太さの繊維が全体の5%以上を占めるとチクチクしやすいとされているので、手触りのごわごわしたニットを着ている場合は、繊維の太さが原因かもしれません。

なお、よく「ウール(羊毛)のニットはチクチクする」といいますが、羊の種類や毛の生える場所によって繊維の太さは異なるので、すべてのウールがかゆいわけではありません

例えば、メリノ種の羊からとれるメリノウールは繊維が細いので、着用中のチクチク感が少ないといわれています。またウールでなくアクリル素材のニットでも、太い繊維が入っていればチクチクすることになります。」

繊維の太さが関係していたのですね。それ以外にチクチクやかゆみの原因はありますか?

根本的には、乾燥肌や皮膚の炎症といった原因があるせいだと考えられます。皮膚のバリア機能の破綻しているところに細かい繊維が付着したり擦れたりしたことで、刺激になって炎症やかゆみが起こる、というメカニズムですね。」

「ラノリンアレルギーだと、ウールのニットでチクチクする」なんてウワサもあるのですが…。

「ラノリンとは羊毛の分泌脂質を精製したもので、かゆみ止めの軟膏などに含まれることのある成分です。人によってはこのラノリン配合の軟膏で、かぶれてしまう場合があります。

ただ、衣類のウールに付着しているラノリンはごく少量といわれており、ラノリンアレルギーが原因となってウールでかゆみが出ることはほとんどないと考えられています。

それに、ラノリンに対するアレルギー反応は基本的に「遅延型過敏反応」というもので、原因物質に触れてから1日以上経って症状が出るのが特徴です。よって、ニットを着ている最中にかゆくなるのであれば、症状が出るのが早すぎるのでラノリンアレルギーとは考えにくいですね。」

ラノリンアレルギーの可能性はほぼなさそうですね。では、洗剤や柔軟剤のアレルギーの可能性ってあるんですか?

「洗濯用の合成洗剤や柔軟剤には、界面活性剤や香料、保存料などさまざまな成分が含まれており、人によっては肌が反応してかゆみや炎症が起こることがあります。

ニットに限らず、どんな服を着ていてもかゆみや刺激を感じる…という場合は、試しに洗剤や柔軟剤の使用をやめ、無香料や無添加の石鹸洗剤に替えて洗ってみてください。それで皮膚症状がおさまった場合は、洗剤や柔軟剤のアレルギーの可能性があります。」

チクチクしないニット選びのコツは?

先生、今年こそはニット選びで失敗したくありません…! チクチクやかゆみの起こりづらい、おすすめのニット素材があれば教えてください。

「さきほどもお伝えしましたが、繊維の細いメリノウールのニットはチクチク感が少ないです。ほかには、繊維が細いうえに柔らかいカシミヤも肌触りがよいのでおすすめです。いずれも高めのお値段にはなってしまいますが…。

あとは、ニットのシルエットをゆったりしたものにする、素肌の上に直接ニットを着るのではなく、インナーの上にニットを着る、といった工夫も大切ですね。」

ヒートインナーを着ると肌がかゆい…。かゆくなくて暖かいインナー選びのコツは?

ヒートインナーって凄く暖かいんですけど、毎日着ていると肌がカサカサになって、かゆくなってしまいます。これはなぜですか?

「そもそもヒートインナーを着るとなぜ暖かくなるのかというと、「吸湿発熱繊維」という、汗などの水分・湿気を吸収して熱エネルギーに変換する繊維を使っているからです。なので非常に暖かいのですが、一方で本来肌に保持されるべき水分もどんどん奪われてしまうので、肌が乾燥する原因にもなってしまいます。その結果、肌のカサつきやかゆみが現れたのではないでしょうか。

また、ヒートインナーの化学繊維自体、肌への摩擦が大きいという点も肌トラブルの原因と考えられます。」

繊維によって肌が乾燥したせいで、かゆくなっていたのですね。では、代わりにどんなインナーを着ればいいでしょうか?

「インナーの素材としてまずおすすめなのは、綿(コットン)です。綿は繊維の表面がらせん状になっており、柔らかい性質なので肌触りがよく、さらに繊維の内側に空気が含まれているので、保温性に優れているという特長をもちます。さらに、水分を吸い取って外に放出してくれるので、汗をかいてもムレにくく、かゆみやあせもなどの肌トラブルも起こりにくいです。

そのほかには、シルク素材のインナーもおすすめです。肌触りがよく、水分の吸収・放出性に優れつつも、繊維の間に空気をたくさん含んでいるため、保温性も高いです。また、シルクは蚕の繭から作られたタンパク質でできており、人の肌の成分に近い構造をしているため、アレルギーなどの皮膚トラブルを起こしにくい素材ともいわれています。」

ニットやヒートインナーによるかゆみ、適切なケア方法は?

ニットやヒートインナーを着てかゆくなってしまった場合、どうケアをすればいいですか?

「ニットによるチクチクもヒートインナーによるかゆみも、根本的には肌の乾燥や炎症が招いた現象と考えられます。なので服の素材選びに注意するだけでなく、肌自体のケアをすることが欠かせません。かゆくなる服は着ない、かきこわさない、といったことはもちろんですが、まず普段から体に保湿剤を塗るなどの保湿ケアを習慣づけるようにしましょう。

保湿剤はお風呂上がりにすぐ塗るほうが効果があるというデータもあれば、1日のうちに塗る回数が多ければ多いほど皮膚の水分量が増えたというデータもあります。いずれにせよ、しっかり保湿をすれば皮膚の水分量が増えて刺激に強い皮膚になります

また、乾燥が続くと皮膚が炎症を起こして「皮脂欠乏性湿疹」の状態になってしまいます。そうなると衣類の刺激で簡単に湿疹ができてしまうので、この場合はステロイドの塗り薬でしっかりと炎症を抑えて、もとの丈夫な皮膚に戻してあげる必要があります。まず自宅でできるのは保湿剤をしっかり塗ることですが、それでも改善しない場合は皮膚科を受診されるのがいいでしょう。」

おわりに:服の素材チェック&保湿ケアで、かゆみにサヨナラ!

「おしゃれなニットを買ったのに、かゆすぎて肌をポリポリかいてしまう…」「肌がカサカサになって、買ったばかりのヒートインナーを泣く泣く捨てた」なんて残念な事態、今季こそはゼロにしたいもの。服を買うときは素材に注目することはもちろん、こまめな保湿ケアでかゆみ知らずの肌に整えていきましょう!

この記事に含まれるキーワード

かゆみ(76) 乾燥肌(16) 皮脂欠乏性湿疹(3) 敏感肌(3) ニット(1) ヒートインナー(1) チクチク(1) 洗剤アレルギー(1) ラノリンアレルギー(1)