記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/12/14
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
オムレツ、出し巻き卵、煮卵などなど、卵料理は美味しいものがいっぱい。でもコレステロールを気にして、「1日1個まで」と控えている方、割と多いと思います。ただ、この「1日1個まで」の定説は、近年見直されてきていることをご存知ですか?以降で詳しく解説します。
コレステロールを多く含む食べ物として、よく知られる「卵」。かつてコレステロールの目標量は成人男性で1日750mg未満、成人女性で600mg未満とされていましたが、鶏卵1個に約210mgものコレステロールが含まれていたために、「卵は1日1個まで」といわれていました。
しかし2015年、厚生労働省「日本人の食事摂取基準」の改定に伴い、コレステロールの目標量の上限の記載が削除され、「卵は1日1個まで」説は否定的となりました。
これは、コレステロールの8割は体内で合成されたものであり、食事から摂取されるコレステロールの影響は全体の2割程度にすぎないと判明したこと、仮に食事から多くコレステロールを摂取したとしても、健康な人の体にはコレステロール量を一定に維持する機能が備わっていること、数々の研究で「卵の摂取量と心臓病など循環器系疾患の発症には関連性がない」と報告されたことなどが関係しています。
コレステロールは、コレステロールを運ぶ物質の種類の違いによって、HDLコレステロールとLDLコレステロールに呼び分けられます。
HDLコレステロールは全身の余ったコレステロールを回収して肝臓に運ぶという、いわばコレステロールの代謝役なので「善玉コレステロール」と呼ばれます。一方のLDLコレステロールは肝臓で作られたコレステロールを運び、各組織に必要なコレステロールを届ける役割があるのですが、増えすぎると血管壁に沈着し、動脈硬化を引き起こすので「悪玉コレステロール」と呼ばれます。
長らく卵は「コレステロールを上げる食べ物」といわれてきましたが、卵黄に含まれる「レシチン」という成分にはLDLコレステロールを減少させ、HDLコレステロールを増やす作用がある―つまりコレステロールが血管壁に付着するのを防ぐので、血中のコレステロール値に影響を与えないという報告が注目を集めています。
先ほどお伝えしたとおり、コレステロールは体内で合成される割合が大きいという点から、そこまでたくさんとる必要はない栄養素ともいえます。現在、卵の摂取量の目安は1日何個までとは厳密に決まっていませんが、コレステロールを多く含む食べ物という点には変わりないので、1日2個までとしたほうが無難でしょう。また食べ物からのコレステロールの吸収率は個人差が大きいので、高コレステロール血症の家系の方は過剰摂取を控えることをおすすめします。
体内のコレステロールの多くは肝臓で合成されたものであり、食べ物から吸収される分は実は多くありません。なので、卵を1~2個食べたところでコレステロールが大きく上昇する心配はなさそうです。卵は良質なタンパク質であり栄養価も高いので、適量摂取を心がけつつ、いろいろな卵料理を楽しみましょう。
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