記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/12/27
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
胃の痛みや不快感、吐き気といった症状に悩まされているとき、最初に思い浮かべるのは胃炎かもしれません。ただし、こうした胃のトラブルに加えて熱も出ているときは、別の病気の可能性があります。この記事では、発熱を伴う胃炎の場合に考えられる病気を解説します。
「胃炎」は、「胃カタル」とも呼ばれる胃の内側にある粘膜の炎症で、胃の不快感や痛み、吐き気などを起こします。
胃炎には急性のものと慢性のものがあります。急性胃炎は日常的にも起こりやすい病気で、暴飲暴食、特にアルコールやコーヒー、紅茶や緑茶などの飲み過ぎや、香辛料など刺激物の摂りすぎ、アスピリンや抗生物質など薬の副作用、ストレス、タバコの吸い過ぎ、不規則な生活などから起こります。胃痛のほか食欲不振、おう吐、場合によっては吐血することもありますが、発熱はありません。
一方、慢性胃炎は加齢や急性胃炎を繰り返すことで発症するといわれていますが、最近ではピロリ菌の長期感染が慢性胃炎を引き起し、さらにさまざまな胃の病気を発症させる場合があることもわかっています。慢性胃炎になると胃の不快感や痛み、胃もたれなどが続きますが、やはり発熱はありません。
胃の調子が悪くかつ熱が出ているなら、「感染性胃腸炎」の可能性があります。感染性胃腸炎とは、細菌やウイルスなどにより引き起こされる感染症で、ウイルス感染による胃腸炎が毎年秋から冬にかけて流行しています。
原因となる病原体には、ノロウイルス、ロタウイルスなどのウイルスのほか細菌や寄生虫もあり、それぞれ症状は異なります。潜伏期間は1~3日程度で、接触感染(病原体が付いた手で口に触れる)、経口感染(汚染された食品を食べる)によって起こります。
ノロウイルスによる胃腸炎では、吐き気、おう吐、下痢、腹痛、そして発熱があり、平均して24~48時間で症状があらわれます。ロタウイルスの場合も、おう吐、下痢、発熱があり、乳児の場合はけいれんを起こすこともあります。
平均すると5~6日間は症状があらわれますが、感染しても発症しない場合や、軽い風邪のような症状の場合もあります。胃炎はストレスや刺激物などにより発症しますが、発熱のある感染性胃腸炎は感染により発症します。
ウイルスによる胃腸炎に特効薬というものはなく、症状に応じた対症療法を行うことになります。
おう吐や下痢がひどい場合は、電解質や糖がバランスよく配合された経口補水液を体重(kg)と同じ量(ml)を5分おき、または倍の量を10分おきに少しずつ飲ませて脱水や低血糖を防ぎます。飲むことができない場合は病院で点滴を行います。
発熱や腹痛がある場合は、解熱鎮痛剤を使って症状を緩和させ、自然に回復するのを待ちます。
脱水症状を起こしやすい乳幼児や高齢者は、早めに医療機関で受診するようにしましょう。特に高齢者は、おう吐物が気管に入って誤嚥性肺炎を起こすことがあるため注意が必要です。回復期には消化しやすい食事をとるよう心がけましょう。
胃炎で発熱があるなら、感染性胃腸炎の可能性があります。特効薬はなく対症療法が基本で、脱水症状等に気をつけ、熱や痛みは解熱鎮痛剤で緩和させて自然回復を待つことになります。ただし、乳児や高齢者は早目に医療機関で受診するようにしましょう。
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