慢性胃炎になると、どんな症状が現れる?治療中の注意点とは?

2017/11/6 記事改定日: 2018/11/16
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

慢性胃炎とは、長期化・慢性化した胃炎のことであり、主に4種類に分けられます。自覚症状に乏しいため治療開始が遅くなり、治癒が長引くケースも少なくありません。
この記事では慢性胃炎の症状や特徴、治療中の注意点などをまとめているので、慢性胃炎のサインを見つけるための参考にしましょう。

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慢性胃炎とは

胃粘膜が活動力を失い、胃酸を分泌している腺細胞が萎縮している状態であり、慢性的に胃酸の分泌が減っている状態の胃のことを慢性胃炎といいます。
胃粘膜の状態によって、胃粘膜表面に軽い炎症のある表層性胃炎、胃粘膜がえぐられた状態になるびらん性胃炎、炎症が長期化したことで胃粘膜が萎縮している萎縮性胃炎、胃粘膜が正常より厚くなる肥厚性胃炎の4つに分けることができます。

「なんとなくお腹の調子が悪い」といった不快感を感じることはありますが、自覚症状がほとんどなく、定期検診などで初めて病気に気づくこともあります。

慢性胃炎の症状とは?

症状の程度は人によって様々ですが、明らかな不調を感じることは稀で、多くは調子が悪い程度のものです。
具体的な症状としては、胃の不快感、あっさりした食事でも胃がもたれやすくなる、腹部膨満感などが挙げられ、毎食後に腹痛を起こすこともあります。他にも、食欲不振で体調不良を感じる人もいます。

症状が重くなると、胸焼けを覚え吐き気がすることもあります。とくに、空腹時や夜間など食事とは直接関係のない時間帯に胸焼けしたり、むかむかすることが多いようです。

まったく自覚症状がない場合や症状があっても不定期で不明確である事が多いので、体に病気が潜んでいると気付きにくく発見が遅れることも少なくありません。

慢性胃炎の原因

直接的な原因としては、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染が挙げられます。ヘリコバクター・ピロリ菌は強酸性の胃液に耐えることができる細菌であり、胃の粘膜に有害な物質を作り出すことで胃粘膜に炎症を起こします。

ヘリコバクター・ピロリ菌は、胃炎だけでなく、十二指腸潰瘍、胃潰瘍などを発症している人にも多く感染が見られます。菌に感染し、重症化、悪化すると一部が胃がんに進行することがあるので、感染がわかったときは早めの除菌を検討しましょう。

他にも、加齢によって胃の働きが弱まることや、免疫が低下し細菌に感染しやすくなることなども原因として挙げられるでしょう。また年齢に関わらず、過度の喫煙や飲酒が続き胃が荒れたり弱ってしまうことも感染の原因になると考えられています。

慢性胃炎の治療と予防

胃の不調を訴える病気はいくつか考えられるので、病気を特定するためにもまずはバリウム検査や内視鏡検査などで胃の中の状態を確認する必要があります。

進行していなければ、主に薬物療法で治療により、ピロリ菌を除去、胃酸の抑制、胃粘膜の保護、胃の動きの調整が行われます。

薬の服用は長期に渡るので、症状が軽くなると勝手に薬を飲むのを止めてしまう人もいますが、ヘリコバクター・ピロリ菌は完全に除菌できていないと、再発しやすいといわれているので、必ず医師の指示に従って薬を服用し治療を継続していきましょう。

さらに、普段から食事に気を使ったりして予防を行うことも大切です。胃が痛むときには消化のよい食材を選び、油物や飲酒は控えるようにしてください。

慢性胃炎のときの食事 ― どんな食べ物、メニューがおすすめ?

慢性胃炎のときは、なるべく胃の粘膜に負担をかけないメニューを選ぶようにしましょう。胃の痛みが強い時は特に注意が必要であり、お粥や野菜スープなど軟らかく煮込んだメニューを選ぶとよいでしょう。揚げ物などの油物や硬いものは消化に時間がかかって胃に負担をかけますので、控えた方が無難です。また、塩分や香辛料は胃粘膜に刺激を与えますので、キムチやカレーなどを食べるときは程々に抑えましょう。

さらに、アルコールは胃の粘膜に炎症を引き起こすことがありますので痛みが強い時は禁酒をし、普段でもビール瓶1本、日本酒1合など適度な飲酒を心がけるようにしましょう。

食事以外の注意点

食事以外にも慢性胃炎の治療中には注意すべき生活習慣があります。

まず、喫煙は血管を収縮させる作用があり、胃粘膜への血流が減少することで粘膜の収縮が妨げられます。治療中はなるべく禁煙するようにしましょう。
また、睡眠不足やストレスは自律神経のバランスを乱し、胃酸の分泌を増加させて粘膜の炎症を引き起こすことがありますので、十分な睡眠や休息を取るようにしましょう。

おわりに:予防のためには規則正しい生活が大切。ただし、疑わしい症状があるときは必ず検査を

慢性胃炎にならないためにも、普段から健康的生活習慣を送るようすることが大切です。ただし、慢性胃炎を放置してしまうと重症化し、治癒が遅れてしまう可能性があります。少しでも疑わしい症状があるときは早めに受診し、早めに治療を開始できるようにしましょう。

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