萎縮性胃炎とは、どんな慢性胃炎?どんなリスクがあるの?

2017/11/15 記事改定日: 2018/11/16
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

内視鏡やバリウム検査で指摘される、萎縮性胃炎や慢性胃炎はどんな病気でしょう。簡単にいうと、「萎縮性胃炎は慢性胃炎が長引いて発症する病気」です。
今回は、その原因や注意点、治療法などについてまとめました。

萎縮性胃炎と慢性胃炎の関係性

「慢性胃炎」とは、ピロリ菌などが原因で胃の粘膜に慢性の炎症を起こした状態のことです。慢性胃炎では、胃酸を出す胃腺が収縮し、胃の粘膜が障害されます。この慢性胃炎が長く続き、胃の粘膜が萎縮にまで進行した状態が「萎縮性胃炎」です。

慢性胃炎の症状は、上腹部の不快感や、腹部膨満感、食欲不振、胃のもたれ感などがあります。萎縮性胃炎の症状は基本的にあまりなく、軽い胃のもたれや胸やけです。正常な胃の粘膜を内視鏡で見ると、きれいなピンク色をしていますが、萎縮性胃炎まで進んだ胃は褐色で、粘膜の下の血管が透けるような状態になっています。

萎縮性胃炎の原因

萎縮性胃炎の原因には、食生活や喫煙の関連もありますが、ピロリ菌の感染が一番多いといわれています。ピロリ菌は、正式名称を「ヘリコバクター・ピロリ」といい、胃の粘膜に付着するらせん状の細菌です。

ところで、ピロリ菌にはどうやって感染するのでしょう。はっきりとした感染経路は分かっていませんが、汚染した水や食糧からの感染と考えられ、衛生設備が整っていない環境で育った世代での感染者が多く見られます。衛生設備が整っている近年では生水を飲むことで感染することはなく、感染率も低下しています。

ほとんどの人が幼少期にピロリ菌に感染するといわれているため、親が子供に食べ物を与える時には注意が必要です。萎縮性胃炎、胃潰瘍など胃の病気は、主にピロリ菌による胃粘膜の損傷が原因と考えられていいて、ピロリ菌が発見されたことにより、胃潰瘍や萎縮性胃炎の原因や治療法、胃癌発症のリスクなども明らかになりました。

萎縮性胃炎を放置すると、どんなリスクがある?

萎縮性胃炎を治療せず放置すると、どのような影響があるのでしょう。

胃潰瘍

胃潰瘍とは、胃の中に分泌される胃酸が胃壁を傷つけ、痛みや出血を起こす病気です。萎縮性胃炎の胃は胃粘膜のバランスが崩れた状態のため、胃酸から胃壁を守ることができず、胃潰瘍を起こしてしまいます。
また、胃潰瘍の原因としてストレスも挙げられます。しかし、同じストレスでも、ピロリ菌がいる胃といない胃とでは、ピロリ菌がいる胃の方が、潰瘍をつくりやすいと考えられています。また、タバコのニコチンは粘膜の血流を妨げ、病気を悪化させる原因になるため、喫煙者はさらに注意が必要です。

ピロリ菌検査が陽性の場合は、胃がんのリスクにも注意

長期間にわたって萎縮性胃炎を発症している状態が続くと、胃がん発症のリスクが高くなるとされており、時にピロリ菌に感染している人は、非感染者よりも発症リスクがさらに高くなることが分かっています。

ピロリ菌は胃粘膜にダメージを与える物質を多く産生するため胃がんの発症リスクになることが証明されており、近年ではピロリ菌感染の有無で胃がん発症リスクを判定する胃がん検診が行われることも少なくありません。
萎縮性胃炎の人は、ピロリ菌の検査を行い、陽性の場合は除菌治療を行うようにしましょう。

萎縮性胃炎の治療法

萎縮性胃炎は、軽い胃もたれ程度の症状か、ほとんど症状がでないこともあるため、一般的には定期的な検診を受けることをすすめられています。萎縮性胃炎と診断されると、次のような治療を開始することになります。

内服治療

治療では、数種類の内服薬が処方されます。ガスター®などの胃酸分泌抑制薬は胃酸分泌を抑制します。マーロックス®などの制酸薬は、胃酸を中和して胃粘膜を保護する薬です。
その他ムコスタ®などの胃粘膜保護薬、ガスモチン®などの運動機能改善薬で胃の働きをよくし、吐き気や食欲不振といった症状を改善します。ただし、これらは症状改善のための治療であるため根本的な治療法とはいえません。

ピロリ菌の除菌

萎縮性胃炎の治療では、原因となっているピロリ菌を除去することが、根本的な治療法とされています。3種類の抗菌薬を一週間内服し、ピロリ菌を除去します。除菌の4週間後に、ピロリ菌の有無を再度確認し、失敗の場合は二次除菌を行なうのが一般的な除菌方法です。除菌後も定期的に受け、胃の粘膜が正常に戻るまではフォローする必要があります。

食事や生活習慣の改善

内服治療だけでなく、胃にやさしい食事をとることが大切です。硬いものや食物繊維が多い食材は、消化しにくいため胃に負担をかけてしまいます。また、胃粘膜に悪影響を与える喫煙や飲酒も避けるようにしましょう。

ピロリ菌検査が陰性でも注意!

ピロリ菌検査の結果が陰性の場合でも、ピロリ菌に感染していることがあります。また、ピロリ菌は萎縮性胃炎が悪化すると生育環境が悪くなって死滅することがあります。この場合、胃粘膜の状態は極めて悪く、胃潰瘍や胃がんの発症リスクが非常に高いと考えられています。ピロリ菌が陰性と判定された場合でも、定期的な内視鏡検査を受けるようにしましょう。

おわりに:萎縮性胃炎は、ピロリ菌に注意!医師による適切な診断のもと治療をしていこう。

萎縮性胃炎は、医師による検査と治療が必要な病気です。症状があるなしに関わらず、定期的な内視鏡検査も重要になります。萎縮性胃炎についての理解を深め、適切な対応で健康に努めましょう。

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