脳血管造影検査ってどんなときにするもの?検査内容や注意点は?

2019/2/1

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

脳血管造影検査は、脳梗塞やくも膜下出血など、脳の状態を調べるときに行われる検査です。この記事では、脳血管造影検査の方法や副作用、検査前・検査後の注意点を解説します。

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脳血管造影検査とは?

脳血管造影検査とは、脳の主要血管の形態診断、くも膜下出血脳梗塞などの脳血管障害、動脈瘤などの脳血管の病変や脳腫瘍などの血行支配の状態などを調べるために行います。造影剤と呼ばれている薬剤を頭部の血管にカテーテルを通して注入し、血管の中を造影剤が流れていく様子をX線で連続撮影することで、頭の血管の詳しい様子を調べることができます。脳血管造影検査で得た情報を、手術などの治療計画へと活用します。

脳血管造影検査の方法は?

脳血管造影検査は1泊2日程度の入院をして検査を行うもので、検査そのものは1~2時間で終了します。

カテーテルの挿入は鼠蹊(そけい)部、手首の橈骨(とうこつ)動脈、肘窩(ちゅうか)の上腕動脈のいずれかから行います。穿刺する部位に痛み止めである局所麻酔注射をして、穿刺部の動脈内にカテーテルを挿入していきます。レントゲン透視を見ながら適宜造影剤を注入し、確実に脳の血管にまでカテーテルを進めていきます。

まず動脈の入口にカテーテルを入れ、胸から首までを撮影します。次に、カテーテルを奥まで進めて頭部を撮影します。そして、病変部は拡大撮影して精査するという流れになります。

X線撮影中は、数秒~十秒程度頭を動かさないことが必要です。検査終了後はすぐにカテーテルを抜き、15分間圧迫して血を止めます。その後鼠蹊部であれば約6時間ほどベット上で安静にします。橈骨動脈、上腕動脈の方が、鼠蹊部の大腿動脈から穿刺するよりも安静にしている時間が短くて済むこともあります。

検査を受けるにあたって、どんな注意点があるの?

脳血管造影検査は、動脈に針を刺して行う検査となるため、血液をサラサラにする薬を内服している場合には、検査前に薬を中止するか、もしくは検査後に長めの安静時間をとる必要があります。抗凝固薬およびワーファリン、バイアスピリン®、バファリン®、パナルジン®、プラビックス®、プレタールなどを内服している場合は、必ず医師に申告しましょう。

また、ビグアナイド系糖尿病用剤を内服している場合、ヨード系の造影剤と併用してしまうと一過性の腎機能低下をきたす可能性があります。その結果、ビグアナイド系糖尿病用剤の腎排泄が減少して血中濃度が上昇し、乳酸アシドーシスとなる危険性があります。脳血管造影検査前はビグアナイド系糖尿病用剤の服用を中止し、検査後48時間経過したのち再開することが望ましいとされるため、こちらも医師に申告するようにしましょう。

造影剤そのものでアレルギー反応を起こしたことがある場合も、アレルギーによるショックを起こす可能性があるため、医師への申告が必要です。

検査前は確実に穿刺部から穿刺ができるよう、穿刺部に毛がある場合には剃毛を行う必要があります。また、検査前は絶食し、医師の指示があるまで食事を摂ることはできません。薬を飲むための少量の水分なら摂取可能ですが、水分もとれる時間が限られているため、自己判断で飲まないように注意しましょう。

検査後は、出血を防ぐため絆創膏を貼ります。翌日の診察時に医師が外すため、自己判断でとらないようにしましょう。また、安静中の排せつはベッド上で行いますので、自己判断で動いたりしてはいけません。検査後、水分摂取が可能となったら、造影剤を早く体外から排出できるように水分摂取を積極的に行いましょう。

止血から24時間経てば、シャワーを浴びることができます。ただし、傷が完全に治るまでは湯船につかったり、プールに入ったりすることは避けましょう。また、穿刺部の傷が感染に治るまでは、力仕事や重いものを持つことも避けましょう。

この検査で起こりうる合併症って?

脳血管撮影で何らかの合併症が起こる確率は、0.1~1%程度と割合は低くなっているものの、合併症が起こりうる可能性は十分あります。

直接動脈を穿刺するため多少の出血は伴うものとされていますが、止血後に再出血したり、皮下血腫を形成する場合があります。また、カテーテルを血管に通す際に、血管の中に血の塊ができたり、壁に沈着しているコレステロールや内皮が剥がれたりして、脳の血管へ飛ぶことで脳梗塞を引き起こす可能性もあります。さらに、検査後の圧迫止血によって、穿刺部末梢の循環障害や正中神経麻痺を起こす可能性もあります。

このほか、前述したように造影剤によるアレルギーや腎機能の低下など、造影剤によってさまざまな合併症を引き起こす可能性があります。

おわりに:合併症を伴う検査であるということを理解して医師の指示に従いましょう

脳血管造影検査は入院が必要になるほど大がかりな検査となります。検査前だけでなく、検査後にも注意すべきことがたくさんありますし、合併症を引き起こす可能性もあります。

特に検査前は、薬剤を確認する必要もあります。検査前および検査後は医師の指示に従い、合併症を起こす可能性を減らして安全に確実に検査が受けられるようにしましょう。

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