心筋梗塞を引き起こす原因って?どうすれば予防できる?

2018/12/25

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

私たちの生命と健康を維持するために、休むことなく全身に血液を送っている心臓。
もし、心臓の大きな血管が詰まって血流が滞ってしまう「心筋梗塞」になると、私たちの体は全身に大きなダメージを受けてしまいます。
今回は心筋梗塞になる原因と症状、そして有効な発症予防策についてご紹介します。

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心筋梗塞を引き起こす原因は?

心臓の前面・後面に張り巡らされ、心臓を動かすために必要な血液を送る冠動脈が血の塊によって詰まり、心臓組織の一部が壊死するのが心筋梗塞です。

冠動脈を詰まらせる血の塊・血栓は、脂っぽい食事や運動不足、また高血圧や高コレステロール血症、糖尿病など生活習慣病が原因となって起こると考えられています。
血中のコレステロール値や脂質が多くなってくると、その処理のために血管内にプラークと呼ばれる隆起ができ、血液の通り道を狭めてしまいます。このような状態を「動脈硬化」と呼びます。

放っておくと動脈硬化が進行してプラークはどんどん肥大化し、プラーク表面の組織がもろく剥がれやすい状態になってくるのです。

ここに高い血圧やストレスが加わると、プラークが損傷または破裂を起こしてしまいます。その表面に血小板が集まって血管内にかさぶたのようなものを作ろうとした結果、血栓となって心筋梗塞を引き起こすのです。

心筋梗塞の原因となる動脈硬化は、血管の劣化や生活習慣病の進行に伴い、加齢とともに時間をかけて進行し60~70代になってから心筋梗塞に至るのが一般的です。ただし、食生活や生活習慣の乱れや服用している薬剤(経口ピルなど)によっては、もっと早い20~30代でも発症します。

心筋梗塞になるとあらわれる症状は?

心筋梗塞を発症すると、安静にしていても治まらず20分以上持続する胸痛や、冷や汗、吐き気や嘔吐などの症状に見舞われます。

突然発症するケースが多いとされますが、前兆として心筋梗塞発症の24時間以内、または1週間以内に20分以内でおさまる胸痛が起こる人もいます。

前兆となる胸痛は「狭心症」や「不安定狭心症」などと呼ばれますが、痛みに鈍感になった高齢者や糖尿病患者では、何の前兆もなく急性心筋梗塞を起こすケースが多いです。

どうすれば心筋梗塞を予防できる?

心筋梗塞の発症は、原因である動脈硬化の発生・進行を抑えることで予防できます。
つまり、動脈硬化を起こす血中のコレステロール値や脂肪値の上昇、高血圧などを抑えるため、生活と食事の習慣を改めれば良いのです。

具体的には、以下のポイントに気を付けて生活と食事の習慣を見直す必要があります。

  • 糖分と脂質の多い揚げ物やお菓子の摂取を控え、食事はバランスよく摂る
  • 高血圧の発症と悪化を防ぐため、塩分の過剰摂取を控えるよう心がける
  • 食事は1日3食、規則正しい時間によく噛んで食べ、腹八分目を心がけること
  • 1日合計で30分程度、散歩やウォーキングで運動する習慣をつける
  • 可能な限りストレスフルな状況を避け、こまめに気分転換やストレス解消する
  • 定期的に健康診断を受け、血管や心臓の状態をチェックする
  • タバコの煙は血流を阻害するため、禁煙する

おわりに:心筋梗塞の原因は動脈硬化!生活習慣の改善で予防が可能

心臓に必要な血液が届かなくなり、心臓組織の一部が壊死してしまう心筋梗塞は、主に生活習慣から発症する動脈硬化が原因で引き起こされます。発症すると20分以上おさまらない強い胸痛に見舞われ、全身の血流と健康に多大な障害を起こしてしまうのです。

心筋梗塞の発症を予防するには、原因である動脈硬化が起こらないように生活と食事の習慣を見直し、血管と血流環境を良くするのが効果的です。自身の健康管理のために、覚えておきましょう。

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