冠動脈狭窄って何が原因で起こるの?治療するには?

2019/1/1

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

冠動脈狭窄は、体内でもっとも太い血管である冠動脈の内側が、動脈硬化などが原因で狭くなってしまうことがきっかけで発症する心臓の病気です。この記事では、冠動脈狭窄が起こる原因とともに、検査や治療法を紹介します。

冠動脈狭窄ってどういう状態?

冠動脈狭窄とは、心臓を通る冠動脈の内腔が狭くなることによって、心筋に十分な血液が供給できなくなることをいいます。心臓に血液が供給できなくなると心臓が酸欠状態となるため、結果として心臓の筋肉が死んでしまいます。この状態が心筋梗塞です。

冠動脈狭窄が起こる原因は、冠動脈の内腔にコレステロールが沈着することとされています。この状態が動脈硬化です。動脈硬化になるのは、高脂血症、糖尿病、高血圧と言った生活習慣病のほか、喫煙も関係しています。また、血縁者の中に動脈硬化の方がいると、動脈硬化になりやすいといわれています。

冠動脈狭窄の状態だけでは特に症状はあらわれませんが、狭心症や心筋梗塞を発症してしまうとさまざまな症状があらわれます。最も多い症状は胸の痛み(狭心痛)で、胸部圧迫感、心窩部痛、背部痛、肩痛、のどの痛み・詰まる感じ、息苦しさなど、人よって感じ方はさまざまです。

冠動脈狭窄の程度はどうやって調べるの?

冠動脈がどの程度狭くなっているかは、さまざまな検査をすることで調べることができます。冠動脈狭窄について調べる検査として、運動負荷試験、心臓カテーテル検査、心臓核医学検査、心エコーがあります。

運動負荷試験とは、安静時の検査で診断が困難な場合行われる検査で、マスターダブル心電図、トレッドミル試験、エルゴメーター試験があります。階段昇降やウォーキングマシーンよる運動を実際に行い、運動しながら心電図を記録することで、運動時の心電図変化を測定し心筋に虚血があるか診断します。

心臓カテーテル検査とは、手首や腕の正中の動脈、鼠蹊部の動脈からカテーテルと呼ばれる細い管を挿入し、そこから造影剤を注入してX線撮影を行う検査です。冠動脈病変の部位や狭窄の程度が正確に診断でき、現在のところ最も信頼性の高い検査といわれています。ただし、体に針を刺してカテーテルを挿入するため、気軽にできる検査ではありません。

心臓核医学検査とは、微量の放射線物質を投与して、安静時、運動負荷時の変化を記録しながら心筋虚血部位を調べます。心筋へ流れる血液の量や心筋の機能を画像化することができるので、心筋の機能を直接判断することができます。

心エコー検査とは、心臓の動きや心筋の厚さ、血液の流れる方向や血液の流れる速度などを診断します。非侵襲的検査にもかかわらず心臓の動きを直接的に確認できる検査で、患者の負担も軽い検査です。

冠動脈狭窄の治療法は?

冠動脈狭窄の治療は、症状の程度に応じて治療法が変わります。その治療方法は薬物治療、冠動脈形成術(PCI)、外科手術(冠動脈バイパス術:CABG)があります。

薬物治療では血液をサラサラにする効果を持つ抗血小板薬、心臓の酸素需要量を減らすβ遮断薬、冠動脈を拡張させる冠血管拡張薬、高脂血症治療薬などを使用します。病状によっては薬のみで血管を広げることはできないため、他の治療法と並行して行われます。

冠動脈形成術(PCI)とは、ガイドワイヤーやカテーテルを使用し、冠動脈の狭窄部や閉塞している部分を直接広げる治療法です。手首、腕の正中、鼠蹊部からカテーテルを挿入します。カテーテルの先端についている狭窄を改善する機器として、バルーン、ステント、ロータブレーダー、方向性アテレクトミーなどがあります。

冠動脈バイパス術とは、自分の体の他の部分の血管を移植して、新しい血液の流れを作る外科手術です。手術は心臓を動きを止めて人工心肺を使用する方法や、人工心肺を使用しないで心臓を拍動させたまま行う方法があります。

おわりに:冠動脈狭窄を診断されたら放置せずに詳しい検査、治療を

冠動脈狭窄は、冠動脈が狭まってしまうために心筋に十分な血液が供給できなくなることをいいます。この状態が続くと、狭心症や心筋梗塞といったさまざまな心臓の病気に移行する可能性があります。健康診断などで冠動脈の狭窄が疑われたら、早めに診察をして検査、治療を受けましょう。

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