記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/1/7
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
胸のあたりに痛みを感じたとき、もしかして心臓に何かトラブルがあるでは…と不安に感じがちです。たまに感じるぐらいならまだしも、痛くなる回数や痛みの程度が強くなってきたら、一度検査でも受けてみてもらったほうがいいかもしれません。この記事では、心筋梗塞が疑われるときにどんな検査を受けるかを中心に解説します。
心筋梗塞を疑う胸痛などの症状があるとき、一般検査として心電図やレントゲン(X線)、血液検査などが通常行われます。
心電図とは、心臓の拍動、すなわち心臓の電気的活動を目で見て分かるように記録する検査です。両手、両足、心臓に電極をつけて行います。心筋梗塞が疑われる場合、異常Q波、ST上昇、冠性T波などといった特徴的心電図所見がみられます。しかし、発作発症から15分以内でないと、心電図は正常時の形に戻ってしまいます。
レントゲンは心筋梗塞を起こしているかどうか判断することは難しいものの、心電図と同様に簡単に検査をすることができ、肺炎や気胸などの他の疾患の評価をすることができます。
レントゲンと同様、血液検査も心筋梗塞を確定させることは難しいものの、急性心筋梗塞の場合、血液検査で白血球、CPK(クレアチンフォスフォキナーゼ[筋肉細胞のエネルギー代謝に重要な役割を持つ酵素のひとつ])、LDH、トロポニンTなどの値が上昇します。そのため心筋梗塞になっているかどうかや、どの時期に起こったかの判断の補助となることができます。
次に心筋梗塞が強く疑われる場合には精密検査を受ける必要があります。心筋梗塞の精密検査では、心エコー検査、心臓カテーテル検査などが行われます。ある程度時間が経過していると思われる場合は運動負荷心電図、24時間(ホルター)心電図なども検討されますが通常は急性期には行いません。
心エコー検査とは、心臓の動き、心筋の厚さ、血液の流れる方向や血液の流れる速度などを診断する検査で、心臓に超音波を当てて検査を行います。心臓の動きを直接確認できるうえに非侵襲的であり、患者側の負担も非常に軽い検査です。
心臓カテーテル検査とは、手首や腕の正中、鼠蹊部の動脈からカテーテルを挿入し、造影剤を注入して冠動脈病変の部位や狭窄の程度が正確に診断できる検査です。現時点で最も信頼性の高い冠動脈狭窄の検査ですが、患者への侵襲は大きいというデメリットがあります。また狭窄部位を再開通する治療も同時に行うことができます。
運動負荷心電図とは、安静時の検査では診断が難しいときに行われる検査で、階段昇降やウォーキングマシーンによる運動を実際に行いながら心電図を記録します。マスターダブル心電図、トレッドミル試験、エルゴメーター試験といったものがあります。運動負荷心電図を行うことで、運動時の心電図変化を測定し心筋に虚血があるかを診断します。
24時間(ホルター)心電図とは、24時間かけて心電図をとる検査です。小型の心電図を病院で装着した状態で1日生活してもらいます。行動も記録しておくと、どんな行動をしたときに心電図の波形が乱れるかを調べることができます。
心筋梗塞の治療は、心臓カテーテル治療(PCI)が行われます。通常はステントを用いて確実に血管を再開通させ、再び閉塞しないようにします。また、心筋梗塞を発症してから数時間以内であれば、冠動脈にできた血栓を溶かす血栓溶解療法を行うこともできます。
このように、閉塞した血管を開通させる治療を再灌流法といい、心筋梗塞ではこの再灌流法が不可欠となります。
心筋梗塞が疑われ、検査をしてもさらに心筋梗塞の疑いが濃厚となった場合には精密検査を行うことが必要です。精密検査は簡易的に行えるものから体に針を刺すなど、侵襲が強いものまでさまざまな検査があります。
これらの精密検査を受けた結果、心筋梗塞の疑いが強い、あるいは心筋梗塞が確定された場合には治療が必要です。心筋梗塞が疑われたら早めに精密検査を受け、確実な治療を受けましょう。
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