安静にしていても心臓のあたりに違和感が。これって怖い病気?

2019/1/14

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

運動をしたときではなく、家でぼーっと安静にしているとき、息苦しさなど心臓に違和感を感じたことはありませんか?今回はこの原因となる病気について解説していきます。

胸の違和感が続いてこわい…。これって何の病気?

心臓の筋肉は休むことなく動いているため、酸素や栄養が十分に供給されている必要があります。酸素や栄養を補給するために、心臓の上には冠動脈(かんどうみゃく)と呼ばれる血管が覆っています。

この冠動脈が細くなったり、けいれんを起こしたりして心臓に血液が行かなくなると起こるのが、一般的にみられる狭心症です。胸が圧迫されるように痛む、しめつけられるように痛むといった比較的広い範囲の痛みが特徴です。また、階段の上り下りをしたあとに症状が現れ、しばらく休憩すると症状が落ち着くといったことがあります。

一方、安静にしているのに胸に違和感を感じるほか、息苦しさや吐き気、胃の痛みや背中の痛み、顎やのど、耳の後ろの痛みなど、多様な症状を示すときには、微小血管狭心症の可能性があります。心臓の血管のうち非常に細い血管に問題が起こることで生じ、患者のほとんどが女性です。

微小血管狭心症ってどんな病気?

一般的な狭心症は、心臓に血液を与えている冠動脈という動脈の内側に脂肪が蓄積したり、血管がけいれんを起こしたりして、血液が流れづらくなることで起こります。これらは、ニトログリセリンが作用して改善することが知られています。一方で、ニトログリセリンが作用しづらい狭心症として知られてきたのが微小血管狭心症です。

微小血管狭心症は、髪の毛ほどの細さの微小な血管が広がらずに狭くなってしまうために、血流が一時的に低下してしまうことで起こります。運動したかどうかには関係なく、安静にしていても起こります。

発症は女性に多く、特に40代後半から50代前半の年代が中心です。この時期の女性は、女性ホルモンが減少し、月経が止まる閉経の時期にもあたります。また、子育てや介護、本人や家族の病気、仕事上での責任など、何かと負担が大きくなる時期でもあります。

微小管狭心症は、喫煙や冷え、精神的ストレスなどが誘引となるといわれています。はっきりとした原因はわかっていませんが、女性ホルモンが関与しているとされています。

微小血管狭心症かどうかは、どうやって診断されるの?

微小血管狭心症では、胸のしめつけや圧迫の痛みとは異なり、息苦しさや吐き気、胃の痛みや背中の痛み、顎やのど、耳の後ろの痛みなど、症状はさまざまです。冠動脈の異常による狭心症も、微小血管狭心症も、心筋に血流が不足することで起こるため、心電図では同様の検査結果がみられます。

そのため、さらに詳しく冠動脈の異常を調べるための検査には、足の付け根や肘などからカテーテルを挿入して冠動脈まで到達させて行う「カテーテル検査」があります。

カテーテルを通して冠動脈にアセチルコリンを投与すると、正常な状態では正常な血管は広がり、異常がある血管は収縮をします。微小血管狭窄症では大きな血管に収縮はありません。しかし、カテーテル検査を行いながら同時に計測している心電図では、心臓に血液が不足しているという心筋虚血の状態を示す結果が得られるのです。

また、心臓に血液が不足すると、普段は血液中にみられない乳酸という物質が測定されるようになります。

以上のような検査を組み合わせて行うことで、微小血管狭心症が診断されます。

微小血管狭心症はどうすれば治る?

治療には、交感神経遮断薬が有効とされています。交感神経は、活性化すると心拍が増加し、心臓が多くの血液を必要とします。交感神経遮断薬を用いることで、心臓への血流を抑えることにつながります。また、カルシウム拮抗薬は、微小血管のけいれんを抑える作用があるといわれ、治療に用いられています。他に、血流を改善する薬などの薬物療法が行われています。

微小血管狭心症は、一般的な狭心症に比べれば経過は良いといわれています。治療後に心筋梗塞に移行する事例も、今のところはみられていません。しかし、微小血管狭心症は、ストレスや冷えも引き金になると考えられています。全てのストレスをゼロにすることは難しいものですが、身体を動かして発散したり、独りで抱えこまずに相談する場所を見つけたりなど、個々に応じた方法でストレスと付き合っていくことが大切となるでしょう。睡眠不足や冷えなども、できるだけ解消しましょう。

おわりに:適切な治療とともに、ストレスケアにも注意しよう

安静にしているのに胸のしめつけや圧迫感といった違和感を感じるといった症状は、微小血管狭心症という心臓の異常の可能性があります。微小血管狭心症の患者は、特に女性ホルモンが急激に減る時期の女性が多いといわれています。心臓の細い血管の血流が乏しくなることで起こりますが、その原因にはストレスも関わっています。
薬物療法のほか、ストレスをうまく処理するといった対応が回復につながると考えられています。

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